吹っ切れて(2) | 読書セラピー(幸せのページ)

読書セラピー(幸せのページ)

木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

山口さんが
極度の緊張に
襲われたのには
初めての海外という他に
もっと深いわけがあります。

―それは何?

服飾専門学校から
モデルの世界に
入ったものの
典型的な日本人の
顔立ちということで
全然仕事に恵まれない。
誰もいいと言って
くれなかったのです。

当時の日本は
彫りの深い
外国人のような
モデルばかり。

「やっぱり自分は
向いていない」
と諦めた矢先の出演依頼。

「なぜ、海外で仕事を?」
と意味が分からず
不安だったと言います。

ところが、切れ長の目
透き通る白い肌に
まっすぐな黒髪
を評価され
ショーの後は
海外からひっきりなしに
オファーがくるように
なりました。

つづく

出典:『わたしの失敗』(産経新聞社、pp.177-178)