人懐っこい笑顔と
軽快な語り口で
人気を博した
陳建一さん。
その陳さんが
うつ病だった
時期があります。
―知らなかった・・・。
それは陳さんが
34歳のとき。
四川料理の神様と
呼ばれた陳建民さんが
他界した直後から。
14店舗の四川飯店チェーン
全国に散らばる
1000人を超える弟子・・・。
ジュニアの肩に
お父さんの成功がずしりと
重くのしかったのです。
―大変・・・。
「経営のことや
兄弟子の目も気になるし
料理だってもっと
上手くなりたい
どうしよう
オレこのままいったら
どうなっちゃうだろう・・・
って」
―重圧に押しつぶされそうに
なったんですね。
はい。
しばらく何も
する気が起きず
人と合うのもいや
今でいう
引きこもり状態でした。
―お店はどうなったの?
お父さんの弟子たちが
切り盛りしてくれました。
当時を振り返り
陳さんは言います。
「今だからいえるのよ。
けど、当時は深刻な
状況だった。
がんばれって言葉
そういうときに
言われると
『死ね』ってこと
なんだよね」
つづく
出典:『わたしの失敗』(産経新聞社、pp.159-160)