いくつになっても | 読書セラピー(幸せのページ)

読書セラピー(幸せのページ)

木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

井口潔先生は
63歳で九州大学退官後
人生とテーマに向き合う
「ヒトの教育の会」という
勉強会を作りました。

先生の言葉で
衝撃的だったのは
「90歳で
分からなかったことが
92歳になって
初めて分かった」。

―すごい!
 いくつになっても
 成長し続けるって・・・。

はい。
私たちもある瞬間
ピースがピタッとはまり
パズルが完成したように
感じるときありませんか。

―あります。
 そういうことだったんだ
 ってスッキリするんですよね。

 ところで、井口先生は
 92歳のとき
 何を悟られたのですか。

「ヒトは自我を
獲得し人間になった。

しかし、同時にエゴを持つ
生き物にもなりました。

そして、合理化や効率化を
追い求め徐々に自然界から
離れてしまったわけです。

最終的には
自我を手放し
『無の境地』に至り
自然界と一体化する。

これが、人類のゆくべき道
ではないかと」

―でも、どうやって
 無の境地に
 至るのでしょう?

その体験は
武芸・遊芸・芸術
でもできます。

―稽古の中で?

はい。

繰り返し繰り返し行う
稽古の中で。

武芸や遊芸には
「道」という字が
付いていますね。

この道はきっと
「無の境地」
「大自然との一体化」に
向かっているのではないか
と井口先生は結んでいます。

出典:『仕事に“磨き”をかける教科書!』(水谷もりひと、ごま書房新社、pp.19-21)