豊かな時間 | 読書セラピー(幸せのページ)

読書セラピー(幸せのページ)

木に吹いた風が緑色になるように
花に吹いた風が芳香を運ぶように
風に言葉を託して届けます。

存在自体を感じる
豊かな時間が
いのちを
蘇らせてくれる・・・

・・・・・

(私は腕時計を持たない)
草木の平和ないのちに
触れているとき
機械の時間は意味を
喪っている。

森の平和に包まれ
機械の時間に
支配された
日々から脱け出し
またそこに
帰ってゆく
日々を望遠鏡の
逆さ覗きのように
遠く見ている。

そして、その目は
町に帰って
日々のなかにも
もう1つの目と
なって生きている。

八ヶ岳山麓の山荘で
毎月何日か
過ごしているが
私はほとんど
出歩かない。
家をとりまく森を
見ているだけ。

せっせと山を
歩くより
裏の大きな
落葉松の木に
向き合っている
ほうがいい。

それはいつも
平和ないのちの美しさを
見せてくれる。(p30)

・・・・・

縄文土器には
作るよろこびが
あふれている。

数千年前の物なのに
指で粘土を
押したあとなどにも
作った人のよろこびが
見えている。

労働の苦しみは
見えない。

作るよろこびが
伝わってくる。

たっぷり自由な時間が
あればこその
作るよろこびに
違いない。(p37)

出典:『森へ行く日』(高田宏、マインドカルチャーセンター)