“ なんちゃって “ にもほどがある『CASINO』JLモデル ★Reprise★ 『その9』 | FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

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『その8』から つづく。)




引き続き、

◆ 課題1 (『なんちゃって JLカジノ 2』新規製作)
 ● 1-2:塗装をマット仕上げに。


バックの次に作業のし易い「サイド」を片付けます。
これまでと同様に、一旦マット仕上げに均してからヘアライン的加工を追加。


これ ↓ は既に「After」の状態です。

ピンボケですが、トップとのツヤの差はよく分かるかと思います。



この作業のためにテールピースのステーを外したら、こんなところにアース線が・・・。

ストラトの場合は特に意味もなく割と気軽にバラしたりしてるので中身はよく見ております。
というか、ストラトのアース線はトレモロのスプリングのプレートにハンダ付けされているので特にバラさなくとも見えてますけど。

一方、ギブソン系のギター(スバリ『ギブソン』は持ってませんが)は、あまりバラしてみる機会もないので、わざわざこんなことろにこんな細工をしてまでアースしているとは思ってませんでした。ちゃんと弦に落としてたのね・・・。
じゃあ、レスポール(タイプ)などのストップテールピースの場合はどうなんでしょう?
裏側からテールピースのアンカーとかに繋がってたりするんでしょうか。
あるいは、CASINO の『P-90』はシングルコイルなのでアースが必要だけど、ハムバッカーだったらノイズ対策という意味ではあまり気にしなくてもよい・・・とか??
今度、気が向いたら見てみます。



今回の「マット仕上げ」は再三書いている通り、ホンモノの ジョン・レノン機 の塗装を剥がした状態を “ なんちゃって “ で再現するため、ナチュラルフィニッシュのクリアー塗装の表層のみをサンディングして木肌っぽく見せようという方針。


なのですが・・・。

ベースとなる『Epiphone CASINO Coupe』の塗装について、購入時からずっと気になっている箇所がありまして。

f字ホールの端面の処理。

あからさまに黒い塗料で塗られております。
しかも、トップ面のエッジに塗料が乗り上げ気味だったりと、かなり不安定な仕上がり。

当初、端面を黒い塗料ごと ひとさらい棒ヤスリで削ってしまおうかとも思ったのですが、この塗膜のボッテリした厚さを見る限り しっかり削り落としたらホールが一回り大きくなってしまうのは避けられないでしょう。

私の技術レベルでは恐らく f字ホールの形状自体が変わってしまうに違いない。



因みに。

ホンモノのビンテージがどういう仕上がりなのかは分かりませんが、『’65年リイシューモデル』(サンバースト)の状態を確認してみたところ・・・。

端面にサンバーストの色が被ってはいますが、プライの層がはっきり見える程度の着色具合です。

ただ、ボディ外周に近い方のエッジは恐らくサンバーストの色を吹く際に自然に乗った濃さ止まりなのに対して、ボディ内側のエッジにはあえて色を乗せている様にも見えます。
(本来なら白木であるはずの一層目に しっかり色が着いているので。)

サンバーストのブラウンの塗料が吹き込む向きによって ちょうどそんな風に仕上がるのかな~とも思ったのですが、それにしては狙った様にキレイにエッジをなぞっている・・・様に見える。

う~む。
謎です。

f字ホールは機能としては「サウンドホール」なのですが、アコースティックのピックギターならともかく、CASINO はエレキなので、どちらかというと装飾的意味合いが強い気がします。(あと、電気系の作業孔ってことでしょうか。)
装飾メインとなると、見た目的にアクセントを付けるために塗装で輪郭を強調しているというのも充分有り得ます。
さすがにこの『Coupe』のあからさまな黒色塗装はちょっと乱暴な気はしますけど・・・。




更に、因みに。

ホンモノの ジョン機。

(1992年 『JHON LENNON DAYS 「ジョン・レノン、もう一つの魂」』展 パンフレットより)

正直 よく分かりません。
が、やはりプライの層は見えている・・・気がする。
端面にサンバーストの色が 残っている様にも見えるし/そうでもない様にも見える。
表の塗面を一層削っているためなのか、ホールの外周は けっこうエッジが立ってます。




で、『Coupe』の方をどう処理しようかと迷いましたが・・・。


たまたま近所に出来たツール屋さんで見掛けた『リムーバー(剥離剤)』を使ってみることにします。

ちょっとトロみのある、ゆる~いゲル状の透明の液体。
塗装を剥がしたい部分にたっぷりと塗って、5~30分後にこそぎ落とすべしとのこと。

取り扱い説明を読んだ限りでは剥離した塗料のカスが出る様な印象だったので、カスがボディ内部に落ちるのを防ぐためホールをマスキングテープで塞ぎます。




本来なら目立たない所で試してみるべきとは思いつつも、本番と同じ条件で試せる場所は無いので いきなり本作業に突入。
まずは控えめに、端の丸穴部分にのみ剥離剤を塗布して様子を伺う。


実を言うと、剥離作業に入る前まではこの黒い塗装はクリアー塗装の下に埋まっているものと思っておりました。
f字ホールからクリアーの塗面を透かして見ると、優に 1mm はあろうかという厚さ。
従って、局所的にではありますがこの厚味分をまるまる剥がさねばならないのかと。

が。
この黒色塗装、実際にはクリアー面の上に塗られていました。

剥離剤を含ませた刷毛を当てると、思った以上に素早く黒い塗料が溶け出して刷毛に吸い上げられる様な状況。
すぐにヘラで擦ってみたところ、もうそのまま浮き上がって拭き取れる状態に。

つまりはカスがポロポロ落ちる様な状況ではなく、却ってマスキングテープはジャマだと分かったので テープを剥がして作業続行。


恐らく・・・ですが。
この黒い塗料、下地のクリアー塗装よりも幾分 耐溶剤性が低いタイプかと思います。
クリアー面が完全に溶け出すよりも前に ほぼ拭き取れてしまいましたので。
プラモデル界隈でいうところの「ラッカー系塗料(強)」と「エナメル系塗料(弱)」みたいな関係ではなかろうかと。

何度か 塗って/拭いて を繰り返していると次第に下のクリアー面も溶け出しますが、この剥離剤程度の強さ(弱さ?)だと、もし 1mm もあるクリアーの塗膜を完全に剥がすとなると かなりの量の 剥離剤と/労力と/時間 が要るものと思われます。(あまり考えたくないレベルの負荷。)
黒塗装が上側でよかった~。

あ、あと。
そもそも「全面的に “ 剥離 “ しよう。」とか思わなくてよかった~〜。


この理屈からすると、あえて剥離剤を使わなくとも弱目のシンナーで黒塗装だけを落とすというのもアリだったかも。
ただ、この剥離剤の ” トロみ “ がいい感じに塗面に留まってくれるのと/単に溶剤で溶かすというよりも何某かケミカルな作用で “ 絡め取る “ という感覚だったので、やはり餅は餅屋ってことでしょうか。
恐らくこれが正解だったと思います。



f字ホール処理の「After」。


下地の木部端面の仕上げが粗くて凹凸が激しい部分には黒塗料が奥まで食い込んでしまっているため、全ては落とし切れずに点々と残っております。
まあ、毎度ながら 私の ” なんちゃって “ 基準では「及第点」ですけど。




それにしても、改めて『’65年リイシュー』と比べてみると『Coupe』のクリアーの塗膜の厚さが尋常じゃない気がする。
恐らくソリッドのボディとかだったらよく分からなかったと思うのですが、こうして f字ホールから塗膜の断面を透かして見られる状況だったので明確に比較が出来ます。

一般的に、ギターの塗装は塗膜が薄い程 木材本来の鳴りを阻害しないと言われております。
つまりは この場合、塗膜が厚い程「 “ 悪 “ 影響アリ」という文脈かと。
まあ確かに『裸の木 至上主義(?)』的なベクトルであれば「塗装は無いにこしたことない。」という理屈になるかとは思います。(木部の保護や装飾的な意味合いを除けば。)
ビートルズのメンバーがギター/ベースの塗装を剥がしたのもそういう観点からというのが通説になっている様です。
でも、以前にも書きましたが私の見立てでは、

 〜 サイケペイント祭りの熱が冷めたら急に恥ずかしくなって、慌てて塗装を剥がした。

ってのが真実ではないか・・・と。(自身の経験に照らして。)

とはいえ。
この『Coupe』くらい露骨に塗膜が厚いと、ボディの振動に少なからず物理的な影響を及ぼしているというのは確かにありそうな気がします。(箱モノなので尚更。)
正にこの『Coupe』こそ、本気で塗装を剥がしたら劇的に音が変わるのかも。
(結果、音が 良くなるのか/悪くなるのか は知りませんけど・・・。)


強いて屁理屈を重ねるなら、「塗膜の厚さ故に生まれたサウンドキャラクター」というのも結果論的にはあるでしょうし、「塗膜の厚さや/硬さで積極的にサウンドキャラクターをコントロールする」ってのもアリってことですね。
(どっちにしても私の耳で「良し/悪し」が判断出来るとは思えませんが・・・。)




この後は、トップの「マット仕上げ」遂行。
コントロール類の変更などと並行した作業となります。





『その10』へ つづく。)





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