2018年5月の『覚え書き』。(後編) | FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

FLOATING JAM の 『続・浮いたり、沈んだり。』

  不定期更新
  FLOATING JAM & FJスズキ の 『日常と非日常』



『前編』から つづく。)


5/18(金)の 1件のみアンバランスに長~くなったので、この項目だけ『後編』として切り離しました。





● 2018年5月18日(金)島田 プラザおおるりホール
 18:30 ~
 『ASAR国際馬頭琴アンサンブルコンサート』

 

 

K-mix を聴いてたら、バックに『ホーミー』の楽曲が流れる CM が!
辛うじて「5/18」と「島田 プラザおおるり」という単語だけ聞き取れたので、すぐにネットで検索。
当イベントの情報に辿り着きました。



『ホーミー』といえば・・・。

(以下、あくまで FJスズキ 内部のお話。ネット検索などによる裏付けは行なわず、曖昧な記憶と強固な思い込みがベースとなっておりますので 悪しからず。あと、長~くなります。)




ホーミーとは簡単に言うと、

 ~ 独りの人間が 2種類の音を同時に発声する、モンゴルの歌唱法。

です。
尤も、その " 簡単な " 説明以上のことは全く語れませんけど。


もう、30年近く前になります。
当時 WOWOW で放送されていた『宇宙家族マスオさん』というドラマ。
10分枠くらいの隙間番組的な連続ドラマで、『田口トモロヲ』氏 などが出演。WOWOW 開局当初の頃の実験的なドラマシリーズの流れを汲むものかと。
(週替わりで 1話ずつくらいのペースで、全 10数話くらいだったかと思います。)

主人公が知らぬ間に『たそがれ21』という幻覚を見せるタバコの実験台にされている・・・みたいなお話だったと記憶しております。

一応大きな流れとしてのストーリーらしきものはあったはずなのですが、概ねその「幻覚」と思しき支離滅裂なコントのような小芝居と、サイケデリックな映像のコラージュみたいな内容。

そんな中、唐突に(ってゆーか、ほぼ全編 唐突なんですけど・・・)『鳳啓介 法』がなんちゃら とかいう解説と共に「ミョ~~~」って言ってる(?)男性がカットイン。
その時は全く意味が分かりませんでした。



それから数年後。
深夜、『探偵ナイトスクープ』を観ていると、

 ~ モンゴルの『ホーミー』という歌唱法を体得したい。

という視聴者からの依頼が。
そこで初めて『ホーミー』というものを認識いたしました。
そして、そこに登場した「日本ホーミー協会の会長(・・・的な?)」なる人物が、

 ~ 日本人には『鳳啓介 法』という強い武器がある!

てなことをおっしゃる。
ホーミーは声帯で鳴らす低音と同時に、口笛の様な高音でメロディーを奏でる歌唱法(・・・という私なりの認識)。
この発声方法が、あの

 「エッ! 鳳啓介でございます。」

の「エッ!」の部分の発声にズバリ合致するとのこと。
従って、

 「エッ! 鳳啓介でございます。」
 「エッ! 鳳啓介でございます。」
 「エッ!」
 「エッ!」
 「エッ!」・・・

と繰り返しているうちに、自然にホーミーの発声に移行出来るというのです。
ここで初めて『宇宙家族マスオさん』の『鳳啓介 法』の意味が分かった!!


番組を観ながら私も「エッ! エッ! ・・・」とやっていると、確かに。
それらしき発声が出来たのです。

以降、ライブ前の移動中の車の中で発声練習的に利用してたりしております。
何となくノドが開く感じがするので。


ただ。
当時、モンゴル民謡の CD を買って聴いてみたりもしましたが、どうにも解せない。
CD を聴くと、低音の方のピッチは概ね固定したままで、高音の方で自在にメロディーを奏でているように聞こえるですが・・・。

私も一応 高/低 同時に発声までは出来るものの、どうやっても高音側のピッチを動かせない。
低い方の基音を別の高さで始めればそれに応じた高音のピッチの変化は出せないこともないのですが。
スムーズにメロディーを奏でるなんて、どうやってもムリ。



さらにその数年後。
たまたま新聞の書評で見た ヒカシュー の 巻上公一氏 著『声帯から極楽』に行き当たりました。

ちゃんと読み返してはおりませんが、パラパラとページをめくってみた感じでは この著作内では モンゴルの『ホーメイ』と トゥヴァの『ホーメイ』に触れてます。
但し、それらに特化した内容ではなく(尚更 おちゃらけたお話でもなく)、もっと広く様々な歌唱法についてアカデミックに考察されてます。

過去、氏は ホーメイの世界大会(シンポジウム?)にも参加されていて、その時の様子なども記されております。
ホーミー/ホーメイ にはかなり細分化された様々なスタイルが定義されているらしく、もしかしたら私の " なんちゃってホーミー " もどこかのカテゴリーに分類され得るのかも。
(遊び半分に あんまりテキトーなことやってるとそのうち怒られます、きっと。)


あと、確か先の『探偵ナイトスクープ』にもあった気がしますが、

 ~ ホーミーは、失敗すると肋骨が折れる。場合によっては死ぬこともある。

みたいなお話が・・・。
「そんなバカな。」と思う反面、確かに CD で聴くその声色。
尋常じゃないくらいに体中に力が籠っているような印象は受けます。
私が生半可に「出来た」とか言ってるレベルでは到達し得ない、ホントに命がけの奥義・・・なのかも知れない。

・・・となれば。
いつか " 生 " で観てみたい!
と思いつつ早 20年。




そして、ようやく本題。

今回このイベントの情報を知って「これは行くしかない!」と即決。
プレイガイドで前売り券をゲットいたしました。


自由席だったので、間近で拝見しようと前へ前へ。
開演前、舞台には演者用の椅子がセットされてましたが、ホーミー歌手が 上手側か?/下手側か?
チラシの演奏風景の写真を睨みつつ、山を掛けてやや上手側に陣取りました。但し、万が一外した場合の保険として、最前ではなく 2列目をチョイス。
(最前だと、山を外した場合に却って見辛くなるので。)

結果、外れでした。
でも、2列目選択が功を奏して充分 " 間近 " で観られました。


因みに。
客席けっこうガラガラじゃん・・・と思ってましたが、開演までには老若男女で概ね埋まってました。島田市民、意識高い!


『ASAR』は「アサル」と読むそうで。(意味は知りません。)
馬頭琴を始めとするモンゴル民族楽器に加え Pf. / Drs. / 和楽器 を加えたアンサンブル。
楽曲によって そこにホーミーのアンサンブルやソロ歌唱が加わりますが、ホーミー歌手の皆さんは馬頭琴の演奏も兼任。
恐らく、その成り立ちからして両者は切っても切れない関係・・・みたいなところかと。

過去に、馬頭琴のみ(ソロ)の演奏は拝見したことがありました。
馬頭琴の話題となると必ず

 ~ 小学校の教科書に載った『スーホの白い馬』でお馴染みの・・・

という枕が付きます。
確かに。
教科書にも載ってたし、図書館でも書店でも絵本はよく見掛けたので あの挿絵のイメージはあるにはあるのですが。
ストーリーが思い出せない。(苦)
何とな~く、戦争に絡んだ悲しいお話だったような気はしますけど・・・。

擦弦楽器としては、かなりプリミティブな部類に属するものと思います。
弦も太いし、音色もワイルドな印象。意外にも、弓は見た目にはチェロのものとあまり変わらない感じでしたが、やはり馬頭琴専用のものだそうで。
会場で販売されていた CD のタイトル曲の演奏では、実際に馬の革が張られているというビンテージものの馬頭琴も登場。楽器自体に妙に凄みがあります。



で。
問題の(?) " 生 " ホーミー。
楽曲により ソロ ~ 3名 での歌唱。
なんだかあまりにいろんな技が盛り込まれていて、もう笑っちゃうしかないというレベルでございました。
「同時に 2音鳴ってる」のは間違いないとしても、それだけで「ホーミー 出来ます。」なんて言ってたらマジで怒られます、きっと。


ただ・・・。
歌手のみなさん、「涼しい顔」とまでは申しませんが、少なくとも見た目的には『肋骨折れそう』とか『死にそう』なほどに力が入っているとは思えない。
これぞプロの技! ってことなのでしょうか。
却って謎が深まった感がなきにしもあらずではございますが、やっぱり " 生 " は迫力ありました。
恐らくこれこそ「CD には収まらない帯域」の倍音てんこ盛りだと思うのです。
とはいえ、初老の私の耳には 既にあまり聞こえてない気もしますけど・・・。(苦苦)





そうそう。
余談ですが・・・。

巻上公一氏 の『声帯から極楽』。
購入から数年経った頃。我が家に遊びに来た友人が、目敏く本棚から見付けて貸して欲しいと言うので貸しました。
その数ヶ月後だったかと思います。
本を返却しに来たその友人、なぜか妙にニヤニヤしてるので問い質すと・・・。

何と、本の扉裏に 巻上氏 ご本人のサインが!!

その友人、元々 ヒカシュー のファンだったこともあり、この本に触発されて 巻上氏 のワークショップに参加して来たとのこと。

そんなことなら一緒に行きたかった・・・。
 

 


いや。

 「オメェとなんか、行きたくねえよ!」

ってことなんですよね、きっと・・・。
よ〜く分かります、その気持ち。





(おわり。)




■ FJスズキ ■