デスパレートな妻の大学横入り事件 | 双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子をアイビーリーグに入れた母が綴る『知らないと損をするアメリカの教育事情』

双子の子供を2人ともアイビーリーグに入学させた母親であるフレックスラーニングのシニアカウンセラーがニューヨーク近郊から発信しています。フレックスラーニングはアメリカ大学進学相談、オンライン家庭教師のプロです。

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デスパレート(desperate) と言うのは、自暴自棄だとか、死に物狂いだとかと言う意味がありますけど、やっぱり有名大学に子供を入れる時は、親は確かに死に物狂いかも。

 

日本でも有名なTV番組『デスパレートな妻たち』(Desperate Housewives) の妻のひとりを演じた女優フェリシティ・ホフマンが近頃、大問題になっている大学不正入学のスキャンダルで検挙されちゃいました。彼女も公私ともに、死に物狂いで子供を有名大学に突っ込んじゃったと言うことなんでしょうねえ。この不正入学のスキャンダルは、アメリカ史上一番大きい。何せ、ハリウッドのセレブも財界の大物も一網打尽ですから。50人くらい捕まったみたいです。

 

一番悪いのは、死に物狂いの親たちを食い物にした大学進学カウンセラーなんでしょうけど、この人、ガンガン、有名大学に進学させる実力(?)の持ち主と言うことで、セレブも顧客に取り込んでいたんでしょうねえ。つまり、有名大学のスポーツコーチへの橋渡しをする実力。ちょっとねえ。

 

それにしても、賄賂の金額は10万ドルから650万ドル。(1千万円から6億5千万円くらい)アメリカのTVでコメンテーターが言ってました。『こんな不正入学は、世間が注目するような男子のメジャースポーツでは、無理だったでしょうね。フットボールとか、バスケットとかはまず難しい。だから、女子のスポーツでしかもセイリングとか、結構目立たないものを選んだんですよね』と。ホント、この悪徳カウンセラー、目の付け所が違いますねえ。

 

今回スキャンダルに巻き込まれたのは、アイビーリーグのイエールを始めとして、スタンフォード、南カリフォルニア大学、ジョージタウン、UCLAとか、いわゆる超エリート大学ばかり。まともに入ろうと思ったら、合格率10%もない大学ばかり。とにかく、万人のドリームスクールで、どんなに優秀な学生であっても、絶対の保証はない。

 

(イエール大学キャンパス)

 

 

このスキャンダルで名前が上がったどの大学も、自分たちは被害者だと取り調べのFBIに言っているとか。まあ、自分たちの大学の雇っているスポーツコーチの懐が暖かくなっただけで、大学は騙されて、得にならない学生(スポーツも出来ない、勉強も出来ない、お金もくれない学生)を入学させただけですから。

 

なんで、悪徳カウンセラーはスポーツコーチにアプローチしたのか?と言うと、簡単。普通の学生は、アイビーリーグとかスタンフォードとかに入るのは、ものすごく成績が良くて、統一テストの点も凄く良くないといけない。でもスポーツでリクルートされるのなら、ちょっと成績が悪くても入れます。しかもスポーツ枠で、別枠。ホント、盲点。

 

袖の下をもらったコーチは、大学に出すプロファイルに、何だか活躍しているような写真をつけたり、嘘の経歴をまず書いてもらって、実力判定は全く無視。普通、大学のコーチは、実際に本人の活躍を見たりして実力を判断するんですけどね。それどころか、全然そのスポーツが出来ない学生をリクルートしちゃったんですよね。ビックリ。もちろん、コーチもそんなにリクルートの人数枠はないし、そんな人ばかり入れちゃったら、大学、全く試合に勝てなくなりますから、毎年ひとりとかなんでしょうけどね。いやはや。

 

前にブログに書いたことがありますけど、アメリカには正々堂々の裏口入学があります。つまり、大学への多額寄付。これは利益団体である私立大学に取ってみれば、正しい合格者の選び方。ですけど、この寄付の金額は、半端ない。数億円単位。図書館を作ったり、音楽ホールを作ったりなんて言うのまであります。こう言うのは、正しい裏口入学。法的にも問題なし。英語で言うと、”back door”。もちろん普通は、志願者の実力で入る正門入学。”front door”ですが、この正式入学は、さっきも言いましたけど、メチャクチャ難しい。だから、デスパレートな親が生まれる。

 

今回のスキャンダルは、正式に大学に寄付金の交渉の上の入学ではなく、横入り。”side door”『正式』な(?)裏口と違って、中途半端な金額で入るアレンジをしてもらったと言うことです。儲けたのは、悪徳カウンセラーとお金で動いたスポーツコーチ。

 

以前、ルイジアナの貧困黒人家庭専門の学校が、在校生の成績やプロファイルをデッチ上げて、アイビーリーグに押し込んだ事件を書きました。大学側は、自分たちが判断して受け入れたのだからその責任を取って、その学生を退学には追い込まないと言う結論を出したようですけど、それまでにほとんどドロップアウトしていたと言うことでした。たったひとりブラウン大学に残っていた学生に対して、授業について行けるように、ブラウンは、特別サポートをつけたと言う話でした。不正で入ったとしても、本人が本気で頑張りたいなら応援すると言うちょっといいお話。

 

『何が正義か』ルイジアナの学校の不正大学進学の話

 

有名女優のローリー・ラフリンも、娘二人を南カリフォルニア大学に入れたことで検挙されましたけど、娘たちは事件が明るみに出たら直ぐに退学してしまったようです。ちょっと悲しいのは、この娘たちお母さんがこんなことをして、突っ込んだなんて知らなかったとか。それでも、話が大きくなる前にとにかく退学した。ラフリンは人気番組『フラーハウス』の次のシーズンから急遽、外されました。まあ、暫くは、芸能活動から干されるんでしょうねえ。

 

(南カリフォルニア大学)

 

日本では、あまり馴染みがないかもしれませんけど、アメリカの大会社の大物たちも検挙されています。パシフィック・インベストメント・マネージメント(PIMCO)のCEOだったダグラス・ホッジとか、ハーキュリー・キャピタルのCEOのマニュエル・ヘンリケスとか、ウィルキー・ファー アンド ギャラガー法律事務所のチェアマンのゴードン・キャプランとか。ケチらないで、裏口入学に出来なかったんですかねえ。まあ、どちらにせよ、しょうもない話。

 

アイビーリーグの合格発表まで後10日。この事件を受けて、名前の上がった大学は、合格者の見直しをしているのかもしれませんねえ。

 

ちょっと、やりきれないデスパレートな事件だったことは間違い無いですね。


不正入学事件を報じる記事

 

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