AMADEUS(アマデウス)at ル テアトル銀座/松本幸四郎さんの演技の深さに心打たれる | 編集者福田清峰の八ヶ岳南麓田舎暮らし 天使のように大胆に悪魔のように繊細に 八美里ファームと実践出版塾と

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八ヶ岳南麓で田舎暮らし。「森の中に暮らす生活」を楽しむ「八美里ファーム」におけるDIY、八ヶ岳周辺の大人の散歩道、主宰している八ヶ岳自然教室のことなどもを紹介。「5年愛される本づくり、そして10年愛される本づくりへ」をモットーに書籍を編んでいます。

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『AMADEUS(アマデウス)』
劇作・脚本:ピーター・シェファー
出演・演出:松本幸四郎
出演:武田真治 / 内山理名
会場:ル テアトル銀座



AMADEUS(アマデウス)といえば、劇作家ピーター・シェーファーの代表作です。
1979年にロンドンで初演されると、1980年にブロードウェイでの公演が大評判となり、1981年に5部門でトニー賞、1984年には映画化され、第57回(1985年)アカデミー賞で作品賞をはじめ8部門を独占した戯曲です。

日本では1982年に松本幸四郎さんがサリエーリ役を、江守徹さんがモーツァルト役を演じられて初演となりました。
脚本と翻訳を江守徹さん自身が担当されたのも話題になりましたが、お二人の鬼気迫る名演が観客を魅了したそうです。
そうでしょうね、お二人のコンビ、今でも「観たい!」と素直に思います。

1993年からは市川染五郎さんがモーツァルト役となり、松本幸四郎さんとの親子競演が、これまた話題となりました。

そのモーツァルト役を今回演じるのが武田真治さんです。
武田真治さん、1972年12月18日生まれですから、御年39歳になられます。
スウィーニー・トッド/市川正親+大竹しのぶ+宮本亜門が放つ、復讐という悪夢
で演じた純真でありながら、少し知恵おくれの感がある少年トバイアスの嬉々とした振る舞いを見事に演じ切っていたことが印象深いです。
実は今回のモーツァルト役も嬉々とした、少しクレイジーな印象、そして天衣無縫な振る舞いの役柄です。
こういった役は今や武田真治さんが当たり役かもしれません。




モーツァルトの妻コンスタンツェ役を内山理名さんが演じられます。
内山理名さん、1981年11月7日生まれですから、御年30歳になられましたが、この舞台がはじまったときにはまだ29歳でした。
公演中の11月7日に誕生日を迎える内山理名さん、「20代最後のお仕事がこの舞台で本当によかった。ちょっと脱いでたり、お色気シーンも結構あります。深いお話なんですけど、遊び心もあるお芝居になってます」なんてかわいいコメントをされています。


内山理名さんご本人がおっしゃるようにちょっとセクシーな衣装です。


(C)SANSPO.COM

もちろん、お誕生日には松本幸四郎さん、武田真治さんらにバースデーケーキで祝福されたそうです。

そして、松本幸四郎さんとのキスシーンも。




松本幸四郎さん、1942年8月19日生まれですから、御歳69歳になれます。
若い!
そしてなんて素敵なんでしょう。
松本幸四郎さんといえば、たくさんの十八番(おはこ)をお持ちですが、ちなみに、上演回数の多い順に並べてみると、1番はミュージカル「ラ・マンチャの男」の1,149回、2番「勧進帳」の1,048回、そして3番目が「アマデウス」です。
今回の初日、11月5日で401回を迎えられました。


(C)松竹株式会社演劇興行部宣伝室 

緻密な演技と巧みな台詞回し、文句なしです。



この物語、いろいろと語られています。
答えはひとつではなくたくさんあるかと思いますが、あえて答えを絞るなら、「神」でしょう。

音楽史上永遠の謎とされるモーツァルトの死。
舞台は年老いた元宮廷楽長サリエーリによる「モーツァルトの死はサリエーリの暗殺によるもの」という自らのが流した噂で街が溢れているところからはじまります。
音楽家としてこれ以上ない地位と名声を得ていたサリエーリは、幼き頃に神が与えた音楽の才に感謝し、名声を得ることを神に祈り、そしてその誓いを守り続けます。
しかし、名声は得たものの、突然自分の目の前に現れた若きモーツァルトの中に真の天才を見出し、彼の背後にいる"神"を見てしまいます。
それはサリエーリにとって、神に選ばれし存在ではなかったとを痛感させられることになり、ここまで忠誠心で仕えてきた神による仕打ちのようにも感じられ、人生を賭けた戦いを神に挑むことになります。

「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」これがモーツァルトのフルネームです。
ミドルネームの「アマデウス」は「神に愛される」を意味します。
神に愛された者と、敬虔に神に仕えた凡庸な者との対峙は決して生半可なものではなく、凡庸な者にとって、その苦しみは想像を絶するものであり、それは一般的な社会にも実は山ほどあることで、多くの人がそのことに苦しみもがくのだと思います。
だから、サリエーリが最後の臨終の場面で、「名もなき人々よ、私は諸君を許す」と観衆に向かって叫ぶのです。
これは凡庸なる人々へのメッセージでもあるかもしれませんが、サリエーリ自身の自分への最後のメーッセージなのでしょう。
人はこうして、自分を納得させて生きていくのだと。

この物語の深さを松本幸四郎さんが余すところなく教えてくれます。



こちらは映画版「AMADEUS」。
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幸四郎的奇跡のはなし
松本 幸四郎
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