葛の葉の隙間からのぞいたミゾソバの花とツユムシ
気づけば夏が終わっていた。
うだるような日差しの中で、嬉々として流れに浸かり鮎を追いかけていた日々。
寝ても覚めても、頭の中は鮎のことでいっぱいだった。
虫取り網をかついで野山を駆け巡っていた夏休み。
五十路になっても、あの頃からまったく成長できない自分がいる。
10/7(土)
今期最終の釣行
天気が良いのは今日だけだろう。
鮎の顔だけでも見たい。
今朝寄った長良中央の矢島オトリ店もこの週末分までしかオトリがないようなので、どちらにしても今シーズンはもう強制終了だ。
踏ん切りがついてちょうどいい。
土曜日は朝から寺瀬。
もう専用区じゃないから釣り人も少ない。
この時期の鮎は、深トロか淵に群れているのは分かっている。
もしくは、チャラの泳がせがセオリーだろう。
だが…
最後まで自分らしい瀬釣で、竿先を引ったくるアタリを記憶に刻んだままオフシーズンを過ごしたい。
単なる自己満足だが譲れない。
しかし、この時期の鮎は私のワガママをきいてはくれなかった。
早速、瀬を一通り探ってみるが留守番の鮎はいない。
やはり、トロか淵でオトリを取って瀬の時合が来るのを待つしかないだろう。
深いトロでは盛んに鮎が跳ねている。
群れ鮎だ。
フロロ仕掛けに替えて泳がせると、面白いように絡んで掛かる。
自分の釣りではないが仕方ない。
そこで掛けたオトリを持って移動し、大淵を狙う。
仕掛けをロングメタルに張り替え、オモリを打って流心の底を引く。
狙いは正解。
淵の底では、良型の黄色いメスが追って掛かる。
午後2時過ぎ、そろそろ瀬の時合が来る頃。
風が出て来たので竿を9.5から9.0mに替えて瀬を狙う。
ガツン、ギューン!
読みは正しかった、やっぱり居た!
黄色いオスが瀬に入ってきていた。
オトリを差す度に、また面白いように目印が飛ぶ。
だが、鮎のサイズの割に竿が硬すぎたのだろう…3つもバラした(涙)
見ていた友人にも笑われてしまった(笑)
それでも午後3時までに20匹。
この時期にしては上出来で、このまま終わっても満足できる釣果だ。
夜は、また釣友達と河原で納竿の大宴会。
私はいつものコック長。
毎週毎週、何やってんだか…(笑涙)
10/8(日)
今日は午後からは雨。
午前中が今シーズン最後の釣りになる。
場所はいつもの御神手洗(オミタラシ)。
釣友達は皆、この時期のセオリー通りにトロを狙いに行く。
私は昨日の釣果で満足したから、今日は徹底して自分らしい釣りをする。
釣れなくてもいい。
もう荒瀬に鮎が居ないのは、先週痛いほど確認している。
それでも今日は「荒瀬のド芯だけを攻める!」と決めた。
もちろん、この時期の荒瀬の真ん中に立つ人など誰もおらず、無人。
やった!やりたい放題だ!(アホ)
傍から見たら、馬鹿にしか見えないだろう。
幸いにも元気なオトリは沢山ある。
釣れても釣れなくても、荒瀬の底流れをノーマル仕掛けのゼロテンションで引く感触だけ体に刻み込んで終わりたい。
「バカの一つ覚え」と言われても、これが確立した私のスタイルなのだ。
そう言い聞かせて、無人の荒瀬に立ち込んでいく。
最後だからなのだろうか…
オトリを沈めると、いつも以上に感覚が研ぎ澄まされている。
荒瀬の中でも、竿先からラインを通じでオトリの泳ぎが水中映像でも見るかのように伝わってくるのだ。
ガンガン瀬の白泡の底、オトリの鼻先を引かずに石から石へと横にスライドさせる。
掛かるはず・・・
そう思った直後。
コン!
ギューン!
居た!!
なんと、そこから黄色いオスの4連チャン。
ギューン!
ギューン!
ギューン!
ギューン!
荒瀬で掛かった鮎の引きを味わうことで、私は生きていることを実感する。
そして、シーズンの終わりに、長良川の荒波に身をあずけて水流に抱かれる。
長良川の流れを全身で受け止めて、その感触を脳裏に刻むのだ。
(聖なるガンジス川で沐浴するヒンズー教徒のように)
…ギューン!
そんなキツイ荒瀬の芯で、まだ良型が追ってくれた。
やはり、荒瀬で釣れたこの日の釣果は全てオスだった。
でも、この時期のオスを引くと…悲しいかな黒くなる。
もう、そういう季節なのだ。
そろそろ納竿しよう…
この日、長良川は最後まで私のワガママに応えてくれた。
実釣3時間で良型ばかり10匹。
シーズン最後の釣行で納得の出来だ。
これで後ろ髪引かれずに納竿できる。
愛竿にもお礼を言いながら仕舞うと、それを待ってくれていたかのように空から冷たい秋の雨が落ちはじめた。
(この日、友人が撮影してくれた鮎たわけ)
今シーズンも長良川でたくさんの新しい友人と知り合うことができた。
また、毎年のように増える釣り友が一緒だからこそ、川でも淋しくない日々が過ごせた。
若い友が成長し追ってくる姿と、人生の先輩の後ろ姿、だからこそ自分の今の在るべき姿が見える。
このブログを通じて関わらせていただいた多くの方々に感謝したい。
そして何より、シーズン中の全ての週末を釣行に費やす「たわけ」を、笑顔で許してくれた妻に感謝したい。
最後に、豊かな長良川の恩恵に感謝し、これが末永く続くことを願ってやまない。
さて、来シーズンまでの半年、何を生きがいに日々を暮らそう(涙涙涙)
鮎シーズンが終わっても、新しい「ディープな世界」でブログを更新しますので見に来てくださいね。