23年9月30・10月01日 長良川中央 満月と郡上竿 | 長良川と郡上竿の世界

長良川と郡上竿の世界

ディープな世界にようこそ

私の友釣りは、追い気のある鮎を掛ける釣りだ。

追わない鮎を引っ掛けるのは友釣りではないと思っている。

だから、必然的に追う鮎が居なくなると納竿するしかないのだ。

 

今年の長良川も、既に成熟の早い大鮎は落ちて姿を消し、遅くに遡上してきた中小型中心の釣りになっている。

その中小の鮎も成熟して腹が重くなると遊泳力も弱くなるのだろう、流れの強い荒瀬には極端に薄く、ゆるやかな流れの平瀬や淵に群れ始めている。

そんな晩期の鮎でも、一日何度かの短い時間だけは瀬に入ってきて垢を食む。

その時間だけは、追い星もまっ黄色にして果敢に追い合うのだ。

 

9/30(土)

この日も渇水でシビアな釣りだった。

友人と長良中央のいつもの場所。

石色は明るいが、流れに生命感は薄い。

早朝に数匹掛けるが、日が昇ると瀬の中を金属ラインで引くオトリにはまったく反応がなくなった。

しかたない・・・

フロロラインに張り替えて、剛竿のベタ竿でテンションフリーという必殺技?で、なんとか元気なオトリを泳がす。

やはり、オトリの動きが違うのだろう。

それまで全く掛からなかったのに、追い気満々の黄色い鮎が派手に目印を飛ばして掛かる。

これだけ黄色いのに、引くオトリにはなぜ反応しないのだろうか?

理由は分からないが、結果は正直だ。

そんな釣りで昼までに16匹。

午後からは大移動。

更に長良川中央の下流域へ。

荒瀬好きな二人だから、ヨダレの出そうな無人の瀬に突撃するが・・・

あれ???

スカスカ!(涙)

鮎の気配がない。

時間ばかりが過ぎて既に午後3時半過ぎ。

釣り下りながら諦めかけていた時・・・

突然、夕食みが始まった。

ズキューン!

先ほどまでの沈黙が嘘のよう、オトリを差す度に目印が水面につき刺さる。

型はそれほどでもないが、天然遡上鮎の引きは強烈だ。

まだアタリは続いていたが、秋の夕暮れは早い。

4時半に納竿。

この日の私の釣果は計32匹。

 

 

10/01(日)

ついに10月に突入してしまった。

夜半から強い雨

これで水温が下がると、いよいよ季節替わりを告げる雨になるのかもしれない。

朝方の雨が上がるのを待って、ゆっくり竿を出す。

水位が10センチほど上がったが、これで活性は下がってしまったのか?

それとも・・・

本当に大鮎は荒瀬にいないのだろうか?

淡い淡い期待に、またバカの一つ覚えで荒瀬に一人立つ。

(これで釣れなくても本望だ)

案の定、アタリは遠い。

それでもマグレで掛かった?良型のメスを荒瀬のド芯にねじ込む。

直後、コツン??・・・ズッドン!

ほとんど期待していなかったから、不意なアタリに一瞬竿を絞るのが遅れてしまった。

GamakatsuパワーSP荒瀬9.5mが今年一番に大きく曲がる。

まるで一昨日の中秋の満月のように。

最初の走りを止めて流心のこちら側に寄せられなかったのが致命的で、掛かった大物は荒瀬の流芯を突っ切って対岸に走ってしまった。

(これは獲れないかもしれない)

これ以上下られないように、全身で剛竿を絞り耐えていると、フッと竿のテンションが消えた。

ハリ外れだ。

掛かりどころが良くなかったのか浅かったのか・・・仕方ない。

それで集中力が切れたというのは言い訳だろう。

この日は昼12時までに5匹のみで納竿。

一方で、波立ちの無い平瀬の釣り人の竿は頻繁に曲がっていた。

いよいよ、今年の鮎釣りを終わらせなくてはならない日が近いのだろう・・・

 

PS.

この日、昼に上がって片付けていたら、私の視線がある人から動かせなくなった。

なんと、トンガリ麦わら帽子にタモを乗せ、束ねた竹の郡上竿を担いだ釣り人が歩いているのだ。

麦わら帽子と被りタモは、長良川でもまだ見られるが、竹の郡上竿を実際使う釣り人は、私でもかれこれ10年くらい見ていない。

最初は何かの見間違いかと目を疑ったほどだ。

思わず近寄って話をさせてもらうと、その方は滋賀県から来たKさんで、郡上スタイルに憧れて数年前からこの姿で竹の郡上竿を使って釣っているという。

担いでいる竿は、一目で福手さんの竿と分かった。

やはり、それは福手さんが現役の頃愛用していた4本継ぎの竿を数年前に譲ってもらったものだという。

福手さんも、Kさんに実際に使ってもらって本望に違いない。

私も嬉しくなり、Kさんにブログに載せる許可をいただき撮影させてもらった。

今年長良川中央に来るのは今日で3回目だという。

その竿は4間(7.2m前後)で重さも850gほどあり、現代のカーボン竿とはかけ離れた代物である。

水中糸はナイロンの0.6号の通しで、仕掛けまでも往年の郡上スタイルを貫いていた。

Kさんは自分では「郡上スタイルのコスプレ」だと謙遜していたが、その立ち姿と竿さばきは鮎釣りの経験の長さを物語っていた。

長良川からこの姿の郡上漁師が消えて、もう幾年になるだろう・・・

私ももう見る機会は無いと思っていたが、意外にも県外の方が継いでいてくれたのは大変嬉しかった。

聞くとKさんも私のブログをよくご存じで、来年は長良川で一緒に釣りましょうという話になった。

私も、郡上スタイルの道具は家に山ほどある。

・竹の郡上竿と木製の引き舟

・トンガリ帽子に被りダモ

・ブリキのオトリ缶に木製の道具箱

・肩掛け車掌鞄で腰にはオモリ袋

・足半(なしなか=かかとの無い藁草履)までは無理だろうが・・・

下記は往年の福手氏

古いアルバムから飛び出したような恰好で川に立ち込んだら皆が驚くに違いない(笑)

小心者なので一人では恥ずかしかったが、二人なら少しは和らぐだろう。

来年は本場郡上の長良川で、私もオールド郡上スタイルで郡上抜きをしてみよう。

その時は、やるなら紺染めの法被(はっぴ)も着たいがどこかに売っていないかなぁ。