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ドラッカーなんて深めてみる

「経営者に贈る5つの質問」がよかったよー。

我々のミッションは何か?
◆Tシャツに似合う簡潔な言葉でミッションを規定する その2


さて、前回に引き続きその2とする。


「ミッションを成果に結び付けるには、機会と能力と意欲が必要である。ミッション・ステートメントとは、これら三つの要素からなるものである。」


このパートの後半は、三つの要素についてそれが何かが書かれている。


機会でのポイントは三つ。一つ目は、組織の外を見る。二つ目は、あらゆる世界が変化している。三つ目は、問題を設定する。
ヘアースタイルを変えたいのであれば、客観的にヘアースタイルを映し出す鏡が必要になる。でも、野外に出ればそこは風、風、風。一度決めたスタイルが変わってしまう。さて、どうしたものか。友人や美容室に相談する。すると自分の思い込みを指摘されるのだ。
“風が吹いても変わらないヘアースタイルってまるでヘルメットみたいで変だよ”
問題は外にあるのではなく、自らの認識にあったのだと気付く。


現実を変えたいのであれば、今いる現実から離れることが必要だ。経営スタイルやパートナーシップ、本当にやりたいことは何か、どう生きていくのか。あらゆることが当てはなる。
問題解決の本質は、唯一変化していないことを変化させることにある。


能力のポイントは二つ。未来を創造すること。埋めるべきギャップを知ること。
外に出て見るとは、つまるとこ“観る”ということになる。
観るとは全体を観、部分を疎通させることにある。
時系列の観点から観れば、全ては今この瞬間にしかない。過去も未来も今この瞬間に創造し続けている世界でしかないのだ。
“昨日飲んだ梅酒美味しかったな”というのも、美味しかったと思っている今のあなたがいるだけなのだ。


しかし、ポイントは未来を創造することである。
ほとんどの人が過去に重きを置きたがる。過去の成功の先にあるのは過去だ。あらゆるものが変化し続けている。過去に支配されていては未来は創造できない。自らは変わらず、埋めるべきギャップでさえ、過去から探そうとする。


「人と能力に限界がある中で、どこに力を入れ、成果をあげるかが問題である。何を成果とし、何を活力の源とするか。」
意欲のポイントは一つ。変化の原動力はなにか。
変化し続けていかなければならない。それは大変なことだ。しかし、自らが変化し続けることで精神体としての人が成長する。それを可能とする原動力は何かということだ。


自分にとって一番BESTな状態。人によってそのニュアンスやイメージはそれぞれだが、一言で表現するなら感動となる。
一番BESTな状態とは、原動力そのものになっている状態なのだ。
エモーションと表現してもいいだろうし、心の振動と表現してもいいだろう。


我々のミッションは何か?
◆Tシャツに似合う簡潔な言葉でミッションを規定する



「それは、何を、なぜ行うのかを表すものである。いかに行うのかを表すものではない」


スタバのミッション“人々の心を豊かで活力あるものにするために。一人のお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから”


マイクロソフトのミッション“世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること”


確かに、いかに行うのかを表すものではないらしい。
ミッションを掲げる企業は日本にもある。しかし、長々としたものや、何を、なぜ行うのかに当てはまらないものが目に付く。


その中でシンプルなものがアミタグループのミッションだ。
“持続可能社会の実現”
googleでミッションと検索。日本の企業で一番トップに出てきた。
簡潔でいて力強い。Tシャツに載せてもいろいろと遊べそうだ。



「ミッションは大きくしなければならない。無限大でさえなければならない。しかも、直ちに行動に結びつくものにしなければならない。」
ミッションは使命と書く。命をどこに使うのかと解釈する。当然決められたものではなく、選択と決断が必要となる。
命は心でもある。その昔、侍は剣に心を宿した。剣は侍の魂であり、その剣で自らの命をも絶った。心=命をどこに宿すのかが宿命である。


企業はその心をどこに宿すのか。目先の利益なのかそれとも、無限大なのか。それが企業の器となり、命の大きさとなる。心が狭ければ、おのずと使い道も狭くなる。固定されでもすれば、時代の変化に受け身となり、たちまち心さえも見失ってしまう。


日本には、新しい価値を創造することが出来ず、時代に取り残されているにもかかわらず、公的な資金を投入し、巨大という理由で延命処置が繰り返されている企業がある。
古い価値観が基準となって残り、伝統や習慣となって新しい価値を無意識的に排除してしまう。巨大企業ともなれば、その習慣が社員の意識深くまで浸透し、トップが変わったとしても、人の意識をイノベーションするには時間がかかりすぎる。


いかにピリオドを打つのかを考えなければならない。ピリオドはスタートでもある。伝統を廃するには器が変わらなければならない。
新しい価値基準を持つリーダーを育成し、期が満ちたら自らがその器を絶つ決断を伴わなければならない。価値基準をいったんZERO化しなければ新陳代謝は働かない。古いイスから新しいイスへと。



「「私は貢献している」と誰もが言えなければならない。したがって、明確でなければならない。人を行動に駆り立てなければならない。全員が、「そうだ。これが私が憶えられたいことだ」と言えなければならない。」」
人の心を動かすには、まず自らがその言葉をTシャツにのせ、着るくらいの楽しさが必要なのだろう。それくらいじゃないと、心を宿すのが苦しいものであってはならない。


我々のミッションとは何か?
◆組織の存在理由



「組織は全て、人と社会をより良いものにするために存在する。すなわち、組織にはミッションがある。目的があり、存在理由がある。
 アメリカでは非営利組織の数は1000万を超える。それぞれがそれぞれのミッションを持っている。いずれも人の生活と人生を変えることを動機とし、成果としている。」


組織はどこに向かっていくものなのか。何をアウトプットしていくものなのかが書いてある。ここでは、非営利組織がそのモデルとして書かれているが、現代において、その範囲は営利組織にも、個人経営者にも当てはまるのではないかと思う。


少し前、日本で企業の社会的責任CSR が流行ったことがあった。
CO2の削減の為に、植林を行ったり、美術館に寄付をしたり、ゴミ拾いや社会的弱者(幼稚園や高齢者施設など)へ援助したりと、その活動は企業のPR活動として認識され、クリーンやグリーンといった企業イメージアップの手段として誤解されることが多々あった。
それらの投入されたエネルギーのどれほどが、人の生活と人生に変化をもたらしたのだろうか?


フリーターの数が過去最高になるだろうという ニュースが流れた。
いや、この不景気が企業の責任だと言いたいのではない。
教育がいまだに偏差値的な教育を止めようとはしない。いい学校に入れば、いい企業に入れる時代は既に現実ではない。大学を卒業しても、企業は再教育をしなければ使い者にはならないのが現状だ。しかし、そのミスマッチを補おうとしない。
卒業すらしていないのに就職の活動を企業が先導しているのは日本だけだ。他の国は卒業証書がなければ話も聞いてくれない。


多くの企業が新しい波についていくことが出来ていない。経営的に先行きが見えなければ、雇用どころかリストラを考えなければならない。
ビジョンを描けず、社員間にワクワクな交流はない。


このままでいいとは思っていない。だが、何をどのように考えればいいのか明確な答えはない。


CSRからCSMへの転換が必要だ。すなわち責任という曖昧な基準からミッションを決断できる企業が新しい時代を創っていくことが出来る。
企業が社員の生活や人生に投資をすることが出来ることだ。
未来に投資をする。社員一人ひとりがどんな人生を歩むのか、一人ひとりにミッションを持たせる教育。生きる意味や価値を考え抜かせる教育。
社員の生きる方向性を明確にし、その課題や問題を解決する教育がなければならない。


人は不完全な生き物だ。企業は消費者を育成しなければならない。何が幸せなのか、何が美なのか。その問いかけを怠ってはならない。消費者もまた、その商品が人のどこへアプローチしようとしているのかの心を探らなければならない。お互いに助け合う関係性が必要な時代だ。


「救急室のミッションとしては、あまりに簡単だった。しかし、その為には、運び込まれた患者を一分以内に診てやらなければならなかった。大事なのは直ちに診ることだった。本人と親を安心させるには、絶対に必要なことだった。」
ミッションとは、全ての人を対象としている。そこに境界線はない。68億人に対してとなる。しかし、その正体は一人なのだ。目の前の一人を深く満足させることが、社会貢献につながる。


本当に大事なことが何かを知ることが出来るということは、無知であることに気付くということだ。


絶対に必要なこと。MUSTの答えは、自分の中にある。