思わず「懐かしい」なんて言うと、年齢が知れてしまう、「写植・版下」という言葉。
アナログ時代のデザイン用具の英語名は、他ではほとんど紹介されていないので、ここにまとめておきたいと思います。
「版下(はんした)」についてはさまざまな言い方がありますが、もっとも一般的なのは「pasteup(paste-up/paste up)」と「mechanical」でしょう。
英語のWikipediaでは「paste up」が表題として掲げられています。
個人的には「mechanical」のほうを使います。形容詞のような綴りですが、この場合はもちろん名詞です。
アナログの版下を「hard mechanical」、電子データの版下を「soft mechanical(またはelectronic mechanical)」と呼び分けることもあります。
版下のことをartworkと訳している和英辞書をときおり見かけます。
英英辞典を調べると、たしかに版下という意味も掲載されているのですが、通常、artworkといった場合には、「印刷を目的とした写真、イラスト、タイポグラフィーなどの素材」のことを指すことが一般的であると思います。
方眼が印刷された「版下台紙」は、「quadrille paper」といいます。
「写植(写真植字)」の文字は「phototype」、写植機は「phototypesetter」、写植の技術自体をさすときは「phototypesetting」です。
こんなものもありましたね。
紙焼き
blackprint/Photostat/
PMT(Photomechanical transfer)/stat/Velox
スプレーのり
mounting spray/spray mount adhesive
ペーパーセメント
rubber cement
ラバークリーナー(ペーパーセメントを取るやつ)
pick-up rubber cement remover
(製版されない)水色の色鉛筆
blue pencil/non-repro pencil
インレタ(インスタントレタリング)
dry transfer lettering/alphabet sheet/instant lettering/rub-on lettering
烏口(からすぐち)
ruling pen
「トレスコープ(トレスコ)」は商品名。
英語では、あのような小型の製版カメラを「stat camera」といいます。
「モンセン」は、Monsen Typographers, Inc.の社長の名前(Gordon L. Monsen)です。
英語圏には「級数表」はありませんが、似たようなものは「type gauge」、「line gauge」、「E-scale」などと呼ばれています。
透明な定規に、各種サイズの「E」の文字が印刷されています。
「ピンセット」はオランダ語に由来しているそうですね。英語では「tweezers」といいます。靴、パンツ、ハサミなどと同様に、「a pair of tweezers」と数えます。
ロットリングのような「製図ペン」は「technical pen」といいます。
日本ではRotring、Staedtler、Faber-Castellを使っている人が多かったと思います。
アメリカには、Koh-I-Noor、WRICO、Leroyなどのブランドもありました。