社交ダンスを踊る時に様々なテクニックを覚える事が
上手く音楽表現を創り出す為には重要と言えますが
中でもトウライズは初心者や経験の浅い方にとっては
非常に難しく上手く立てなかったりバランスを失って
お相手に負担を掛けたりと踊る楽しさを失ってしまう
場合が多く見られます。
スタンダードダンスに於けるスウィングの過程で
ボディを上方に引き上げながらつま先で立つ技術は
フィガーやステップを習得するうえで大切です。
しかしながら無理なく正しくトウライズやボールライズが
出来ている方は少なく特に初心者にとっては至難の業
とも言えます。
見ている人にとってはつま先で美しく立つ姿はとても
魅力的であり社交ダンスの美しさを際立たせるものですが
踊り手にとっては踊れるまでにはかなりの訓練を必要とし
かなりの上級者であっても無理なく自由にライズ出来る方は
非常に少ないと言えます。
踊り手達は指先でシッカリと立てる為に足首や指の筋肉を
鍛えシッカリと床をプッシュして持ち上げようとしていますが
思い通り美しく自然な姿で踊れる方は限られます。
トウライズで気を付けなければいけない事は指先に力を入れ
演じているのでは無いと言う事です。
多くの踊り手が勘違いしているのはトウライズは足首から
下の筋肉の力で踊っていると思う事です。
確かに身体を持ち上げる為に大きな力は働いているのですが
直接足首から下に力を入れて踊るとバランスを失ったり
時には怪我の原因と成ってしまうのです。
外見的に身体の先端で行っている様に見える動作は決して
見た目の部分で演じているのではありません。
解りやすく言うと時速150キロのスピードで投げる
ピッチャーはボールを指先の力では投げていません。
同じくトウで高く立ち上がる時は足の指の力だけで
身体を持ち上げているのではないのです。
社交ダンスに限らずスポーツの殆どの運動表現表現が
全身の筋肉を繋げる事に因って行われています。
最終的に足先や指先の動作の様に見えてその部分の筋肉が
使われる前に身体の大きな力の有る筋肉が働いています。
トウライズする時は当然床に対する筋肉運動が必要ですが
それと同じく上体の筋肉が上方に使われる事が重要です。
重心を移動させながら床を強くプッシュしますがその時
同時に上体の筋肉が上方に働いています。
中でも背中側の筋肉が強く上方に使われる事で反射的に
床を押す力が得られます。
この行為は二足歩行の人類がより行動的に演ずる為に行う
自然な行為とも言え社交ダンスを踊る上でも必要不可欠と
言えます。
トウを使う前に重心を前進後退させながら床をプレスする
その一方で脊椎を上方に伸ばす事が必要です。
この事は歩く走ると言った運動の基本とも言えますが
つま先で立つ時はこの上方への運動が肩甲骨によって
より高く引き上げられる事が大切です。
スウィングをおこなうための大きな力が上半身に抜けて
ボディ全体の上昇を作るのですが左右どちらかの肩甲骨が
より高く引きあがる事で左右のヒップが連動しつま先への
運動を創り上げます。
サイドスウィングを行う時はダウンスウィングの後のライズは
先ずスウィング側の肩甲骨がショルダーを伴い上昇します。
大きく開脚しながら肩甲骨の運動が臀部に伝わり下肢の筋肉を
ライズへと導きます。
肩甲骨から繋がった上昇の運動がトウまで伝わると自然に
足首が立ち上がりつま先の上に美しく立てるのです。
男女が同じように運動を行うと無理な力を入れる事無く
美しいトウライズが生まれます。
上半身を固めて踊るとこの大切な運動が行われず
単に足先に力を入れるだけでは思い通りのトウライズに成らず
更には体重が指先に掛かり続け外反母趾の原因ともなります。
美しいトウライズは上半身の筋肉運動が下肢に連動し
反射的にボディを引き上げる事で生まれます。
社交ダンスの踊りは如何なる音楽表現も思うが儘に自然に
無理なく踊れるように出来ています。
自分の身体がどの様な運動機能で繫がり演じているのかの
運動の基本を知る事が上達への道と成ります。