社交ダンスを踊る時男女がボディの右サイドをコンタクトし
お互いにお相手を右前方に置くようにして踊りますが
このコンタクト面はお相手に対して直接力を加える方向では
有りません。またホールドに因るコンタクトも右方向にいる
お相手に力を与える様に使われるのではありません。
踊り手達を見ていると常にコンタクト面に力を入れながら
踊っていたりコンタクト面に直接力を加える事でリード＆
フォローを行っている場合が少なくありません。
確かにコンタクト面には互いの運動表現が伝わり踊る為の
大切な接点と言えますがこの触れ合う部分の方向に直接力を
加えようとするとボディが思う方向に真っすぐ動かなかったり
互いのバランスを失う事に成りかねません。
とは言えペアとして運動を伝え合い様々な音楽表現を創り出す
最も大切な部分と言えボディやホールドを接触しているだけ
ではなくお互いの音楽表現を決定する場所でも有ることから
正しいコンタクトと運動表現の繋がりを理解する事がとても
重要と言えます。
上手く踊れていない方を見るとステップや運動表現が上手く
出来ないと言うよりもコンタクト面に対する運動表現が
互いの運動機能を繋ぐ様に働いていない事が解ります。
その原因の多くがお相手と踊ろうとして右サイドの接点に
力を加え続けたり右サイドでのコンタクトを維持する為に
ホールドの運動が正しく使えていません。
運動表現を行う時はコンタクトをしていてもしていなくて
常に自分のセンターつまり脊椎を中心としたバランスを
保つ事とその左右のローテーションを均一に行う事です。
この事は身体を目的の方向に動かし重心点を的確にステップの
上に移動させて行く為でも有ります。
しかしながら脊椎を中心にローテーションやリード＆フォローを
行おうとしてもボディコンタクトは直ぐに失われホールドが
変形したり互いにコンタクト面で押したり引いたりの無駄な
労力を使う事と成ります。
先ずコンタクトはペアとしての運動表現によって自然に成される
と言うのが原則であり見たように形作り固定して踊るのでは
有りません。上体の美しいホールドを創り出す時と同じで
ナチュラルとリバースのローテーションによって作られます。
男女が互いにナチュラルとリバースのローテーションを行い
コンタクト面が生まれて来ます。
見た目は常に同じ様に触れ合っている様に見えて実際は
ナチュラルの運動とリバースの運動に因るコンタクトは
コンタクト面に対する運動が全く違って来ます。
右サイドでコンタクトして踊っている事からナチュラルの
ローテーションでコンタクトすると自然にセンターがお相手の
方向に動きステップを踏む方向と回転する方向が同調します。
しかしながらリバースの回転でコンタクトするとお互いの
ボディは左後方に回転しながら演ずることと成り互いのボディは
右サイドのコンタクト面に体重を与えながら踊る事に成ります。
フィガーの回転運動をテクニックとして示された回転だけで
行うと常にコンタクト面は互いの脊椎だけを中心とした回転
と成ってホールドが崩れやすくなります。
ステップの回転量はボディの基本的回転量に従って踊るだけでは
ペアとして美しい上体を保ちコンタクトを維持する事は難しく
やはり上体を最初から固めて崩れない様演じる事と成ります。
多くの踊り手がスタンダードダンスの様にボディコンタクトを
しながら踊る時はしっかりとホールドに力を入れて踊る為
男女の繫がりの有る運動は生まれずホールドもコンタクト面も
其々がシッカリと形作る為の不自然な運動を強いられるのです。
ホールドもボディコンタクトも正しい運動表現から生み出すと
自然に美しい形状を成し様々なフィガーに的確に対応出来
誰と踊っても柔軟性を持って演ずる事が出来るのです。
社交ダンスはペアとして助け合って踊る様に出来ている事から
一人で踊るよりも遥かに大きな美しい演技が自然に出来き
常にペアとしての音楽表現が生まれるのです。
とてもダイナミックに美しく踊っている踊り手が多いですが
ペアとして心と身体が繫がり合って踊っているペアを見る事は
非常に稀と言えます。
ルーティンが難しいのか自分の事で精一杯なのかコンタクト面は
互いに争う国の国境の様に相容れません。
しかしながら笑顔いっぱいで男女共に素晴らしい音楽表現を
創り出している踊り手達が本当にお相手の心と身体を感じて
演じているのか疑いたくなるのも現実です。
見た目派手な音楽表現をする時も基本的なシンプルなフィガーを
演じる時も二人の心はしっかりと繋がり合い自然に笑顔が生まれ
その喜びを見ている人に伝えるものであることが望ましいです。
まだ上手く踊れない方や社交ダンスを全く踊った事の無い人達が
上手な踊り手達の笑顔が心からの物であると感じられる様に
成れば社交ダンスの未来は明るいと言えます。