コンタクトする事の恐れを喜びに | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

私達日本人は欧米人に比べて他人と接触する事を苦手と

している方が多いです。普段から握手をしたりハグをしたり

他人と直接触れ合う事が自然な行為と成っている欧米人に比べ

日本人は他人に接触するだけでなくお互いのテリトリーに

入る事さえ抵抗を覚える事が多いです。

文化圏の違いとも言えますが私達日本人は自分の周囲の人を

常に気遣いお互いに気持ちを察しながら生活しています。

この事は自分の生活だけでなく他人の生活更には環境に対し

配慮しながら自分の行動を決めていると言えます。

 

これは長年培われた生活行動で日本を世界に秀でた国とするに

大きな力となったとも言えますがその一方ビジネスやスポーツ

に於いて障害と成ってしまう事も多いです。

社交ダンスを踊るにあたってフィガーや運動表現を覚える事

の難しさと言う以前にこの日本人の性格が原因と成って

思い通り楽しく踊れない理由でも有るのです。

 

小さい頃から家族だけでなく他人とも気楽に握手したり

ハグをする習慣の有る欧米人は身体を触れ合う事は

お互いの気持ちを確かめ合う普通の行為なのですが

日本人にとって他人と接触すると言う事は喜びより

むしろ不安や恐怖を抱かせる事に成りがちです。

直接触れたり相手の意向を確かめたりするよりも

離れた状態で察すると言うのが日本人の特性とも言え

触れ合うと言う事は特別の意味合いを感じがちです。

 

この影響は社交ダンスを習う時大きな障害と成っています。

現代社会に於いて日本人の欧米化が進んだとはいえ

他人と触れる時は大きなプレッシャーを感じる方が多く

ステップやフィガーを覚える以上にコンタクトする事に

不安や抵抗を感じている方が少なくありません。

その為運動表現をする以前に心にブレーキが掛かってしまい

思い通り踊れない方も多いのです。

 

社交ダンスはお互いに積極的にコンタクトする事に因って

お相手の心と身体を知る事が出来るのですが身体を触れて

踊れない方も多くいて腕や手先でつかまり合いながら

足形のみを合わそうとしている踊り手も目立ちます。

お相手が気に入らないと言うよりも如何にコンタクトして

演じて良いのかが感じられず頭では分かっていても身体が

反射的に拒否してしまう方も見られます。

 

日本人の多くが持つ特性とも言えるのですが社交ダンスは

ボディコンタクトを通じてお互いのリード&フォローを

行う事が前提で様々なフィガーや運動表現が作られている

事も有って日本人にとって社交ダンスは決して易しい踊り

とは言えないのです。

しかしながら対人的な運動表現は互いの体重のやり取りで

演ずる事も有って少なくとも100キロ前後の重さが動けば

重心が離れ合って演ずる事は楽しさよりも苦痛と成る事が

当たり前とも言えます。

 

何故コンタクトして踊るかと言う意味が解っていない踊り手が

実に多くただ外見的な音楽表現とフィガーを覚えるだけで

楽しく踊れると思っている事も問題と成っています。

どんなに簡単なステップやフィガーを演じたとしても

コンタクトして踊ると言うことはお互いの運動表現が

体重を伴って大きな力を生む事を知らなければなりません。

 

同じ音楽表現を求めるならば出来るだけ運動表現が同調し

体重はむしろお相手の運動表現を助ける様に働く事が

とても重要です。

社交ダンスが上手く踊れない方の多くもこの体重の動きが

互いに邪魔しあっている事が多くテクニックや運動表現が

二人の体重の動きを伴って作られる事を知らなければ

楽しく自由に踊る事は不可能と言えます。

 

初心者の内からコンタクトして互いの心と身体を知りながら

運動表現を行う事が如何に楽しく踊れるかを習う事が

とても大切です。

普段私達は体重を意識する事は殆どありませんが

スポーツや社交ダンスをする時は体重が大きな役割を果たし

戦いの場では大きな武器と成り社交ダンスに於いては

豊かな表現を生み出す事にもなるのです。

 

しかしながらお互いの重心の運動が同調しないで互いの

運動表現が個別に行われれば社交ダンスの楽しさは消え

格闘技の世界と成ってしまいます。

またコンタクトは見た目の動作ではなくコンタクト面を通し

お相手の心と身体を如何に知るかを学ばなければなりません。

社交ダンスは身体を触れ合って互いの思いを伝え合って

踊る事が上手く楽しく踊る基本でも有ります。

 

フィガーや運動表現の知識だけでは上手には踊れません。

男女がコンタクトした時運動表現だけでなく如何にお相手を

感じ自分の音楽表現を生み出すかの知識を身に付ける事が

と手も重要と言えます。

コンタクトは身体を触れ合う事ではなくお相手の心に触れ

お相手の気持ちを知る事に意味が有ります。

この事は欧米社会で握手やハグが如何に重要な意思表示と成り

社会を円滑にしているかの理由でも有るのです。