社交ダンスで最も大切なものは音楽です。
音楽が無ければ如何に演じて良いかどんなに知識が有り
運動表現が有ったとしても社交ダンスは成り立ちません。
しかしながら踊り手が全て音楽を表現して踊っているか
と言えば音楽を感じられる魅力的な踊りをしているペアは
非常に少ないと言えます。
その多くは自らが演じるフィガーやルーティンを間違いなく
演じる為に音楽は脇役の様に成っていて習った通り記憶した
通り演ずる事が踊る目的と成っている事が多いです。
しかしながら本人は納得できる踊りをしていると思っても
外見的には音楽をあまり感じないフィガーやルーティンの
説明の踊りに成ってしまっている事が有るのです。
気を付けなければならない事は自分たちで楽しむ分は良い
のですが音楽表現を目的とする場合は音楽の感じ方と演じ方を
工夫しなければなりません。
まず音楽の感じ方は音楽を聴きながら演じると言うよりも
自分達が自ら音楽を生み出している様に演ずる事です。
多くの踊り手が自分のフィガーやルーティンに音楽を当てはめ
確認作業の様な踊りをしている事から踊り手からは音楽が
感じられずペアとしての魅力的な音楽表現に成りません。
この事はカラオケを歌う時モニターに映る歌詞を見ながら
歌っている人と同じであり正確に歌っていたとしても
聴いている人の心を打つ歌唱とはなっていません。
音楽を演じている様に見せるには音楽を聴きながらリズムや
メロディーに身体が反応して踊っている事が大切です。
自分が踊るフィガーやルーティンは大切なのですが
それらの運動表現が記憶からの演出と成っているだけでは
その時演ずる音楽と周囲の臨場感が感じられません。
実際自分が演奏している様に歌っている様に心と身体が
反射的に動くようにする事が求められます。
身体をしっかりと動かす以前に心が躍動し音楽とお相手を
感じることが重要と言えます。
長年努力をして頑張ればその様に踊れると言うものでは無く
初心者の頃から普段から感性豊かな心を育てる事が大切です。
誰しも素晴らしい踊りを見れば自分には無い才能や音楽性を
感じがちであり自分とは程遠い存在と思う事も有るでしょう。
しかし感じる思う力は誰にも備わっているのです。
にも拘らず与えられたテクニックや音楽表現だけで思いを
達成しようとする事でかえって難しい選択をしているのです。
多くの人達に認められ求められる踊りをするには人並以上の
努力がいる様に思われがちですが努力以上に自分自身の感覚を
育ててきた人がその喜びを勝ち得ているのです。
自分のスキルを高める事は大切ですがそのスキルを自分の
心を表現する道具として使える事が大切です。
目を見張る技術を持つ方は幾らでも居ますが自分の心を捉え
離さない踊り手は完成度が高いエキスパートだけとは限らず
まだあまり上手に演じられない踊り手のなかにもいるものです。
自分がその存在と成るにはまず自分の思いを大切にして心を
信ずる事が大切です。そしてお相手の気持ちも自分と同じく
尊いものである事を理解する事が重要です。
音楽にも人にも心から寄り添える感情を持つ事は自分自身の
パフォーマンスをより豊かにし本当に満足できる社交ダンスを
身に付ける事が出来るのです。
社交ダンスに限らずあらゆる世界で活躍している方々の多くは
自分の心を信じ諦める事無くセンスを磨いて来たのです。
様々な環境で自分の考えや行動を主張できその道で秀でるには
誰もが持っている自分自身の能力を信じ育てる事が大切です。
社交ダンスが上手に成ると言う事は自分の心を表す事が出来る
フィガーや運動表現をその時踊っているお相手と環境に合わせ
お互いにスムーズにやり取りが出来る様に構成する事です。
フィガーやステップ更には運動表現は踊っている時の感覚で
様々に変化し着色される事で生きた踊りと成ります。
どんなに単純なフィガーであってもペアの心が感じられると
踊り手だけでなく見ている人も幸せな気持ちになります。
社交ダンスは踊る人も見ている人達も心から笑顔に成れて
初めて価値が生まれます。
初心者であろうとプロであろうと人としての魅力が感じられる
社交ダンスを目指すことが一番大切と言えます。