リード&フォローは、コンタクト部分を動かすのではありません | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

多くの方と長年踊って来ると、そのほとんどの方が

コンタクト部分周辺へ力を入れたり動かそうとします。

また、ステップと床の接点付近に力を入れていて、特に

スタンダードダンスを踊ると足先に力を入れながら

頑張っている方が少なく在りません。

 

トウライズの場面では指先にかなりの力を入れながら

演じようとしている方が多い一方、指先で立つことを諦め

殆どボールかフラット状態で踊っている方もいます。

基本的に体力が無かったり足腰が不自由であるなら

致し方ないのですが、何の問題もなく接触部分にばかり

力を入れて踊っている方を多く見かけました。

この事はご本人の能力や運動機能の問題では無く、

身に付けた知識が先端技術?であることに因ります。

 

レッスンを受けると、多くの場合テキストに書かれている

ステップやボディ説明のもとに社交ダンスを踊る術を

教えられます。

また、教える方も殆どの場合が外見的な所作で有ったり

知識である事が少なくなくて、結果的に社交ダンスが

踊り手の持っている筋肉や運動機能を殆ど使う事無く

男女がコンタクトする事で不自由な踊りと成っています。

 

この事はまだ自由に踊れない初心者に限って目立つ傾向

では無く、数十年のキャリアのあるベテランの方でさえ

更に言うなら教師の資格を持っている方でさえ見られ

社交ダンス全般に渡って大きな問題と思われます。

教える側も習う側も、社交ダンスを本当に心から楽しむ

方法を知らないで単なる知識を再現しているだけの

心から楽しめない踊りを踊っています。

 

まず社交ダンスを学ぶにあたって大切な事は、

私達の身体は踊る時のみならず普段の生活に於いても

どの様に動いているかを知る事で有り、教える側も

この基本的な運動機能を熟知している事が重要です。

テキストに載っている事や教師試験で出る様な事を

どんなに正確に覚えたとしてもそれは紙上の空論です。

私達は生き物であり常に心も身体も変化しています。

そして外界の影響を受けながら反射的に応ずることで

日々の生活を送っています。

 

殆どの事が無意識の内に行われていますが、

この私達に備わっている心と身体の関係はとても重要で

生きていく上で常に健全でなければなりません。

時にアクシデントや病魔に襲われてもいずれ復活し

また正常な日常生活を続けられるのも私達の身体に

備わっている誰にでも共通の機能が有るからなのです。

その仕組みは医学的には非常に複雑なのですが

それを本能的に反射的に機能させる事で人類として

素晴らしい発展を遂げてきたのです。

 

社交ダンスを踊る時も全身の機能を繋ぐ上半身と

下半身を上手く連動させることが大切です。

しかしながら、身体を動かす為のステップやフィガー

そして多くの種目のアイテムが単にそれらの知識を

再現する事のみに使われ本来の身体を動かさないで

外見だけ取り繕うとしているのが問題なのです。

どんなに笑顔で美しい外見を作っても本当に心から

踊り手が楽しんでいなければ社交ダンスの意味は無く

見ている人も心を動かされる事は有りません。

 

特に社交ダンスに於ける最大の特徴である男女の

コンタクトは二人の身体の機能を繋ぎ互いのより豊かで

自由な美しい音楽表現を生み出す事が出来るのですが、

其々が自分の考えだけで動いたりコンタクト面周辺

ばかりに力を入れたりして踊る事でペアとしての踊りは

社交ダンスというより顔で笑って心で泣いている

格闘技に成っているのです。

 

私達の身体は不思議な力を持っていて正しいコンタクトで

自分の運動機能を使うと同じ部分がお相手に伝わり

同調した踊りが出来るのです。

目に見えないコンタクト部分を通した意思表示がお相手の

心と身体に作用してペアとして理想的な音楽表現が

自然と生まれて来るのです。

目に見える具体的な運動表現しか信じられない方もいる

かも知れませんが、例え指一本でも二人の運動機能が

上手く繋がり合うと思った通りの踊りをお相手が反射的に

演じてくれるようになるのです。

 

具体的な力や運動表現が社交ダンスの音楽表現と成ると

思われがちですが目に見えない心が大きな役割をしている

という事を信じられるようになると習ったテックニックや

運動表現に気持ちがしっかりと入り能力以上の美しい

感動的な踊りが踊れる様に成るのです。

そういった意味でも自分の身体と心を信じる事が大切で

更にお相手の心と身体を気遣う事でペアとして最も理想的な

心豊かな音楽表現が出来るのです。

 

コンタクト面からのお相手の心に通じるリード&フォローが

外見的には美しく心豊かな社交ダンスと成るのです。

多くの知識や運動表現を身に付ける事はあらゆる場面において

様々なフィガーやテクニックを反射的に使える様にする為です。

たまたま選んだルーティンであっても踊る事でペアとしての

愛情ある心豊かな表現が出来る事がとても大切と思えます。