私達は常に地球の重力の影響を受け、体重と言う形で
大地に引き付けられています。
スポーツや社交ダンスを踊る上で、この体重を如何に
上手く使えるかが勝敗やパフォーマンスに影響します。
特に重心点が安定して高さを保ち、長い間地面や床に対し
移動できる事が大切で有り、元気で健康で有ると言う目安も
様々な運動表現が出来ると言う事も、重心が止まらず
スムーズに移動できるかに掛かっています。
社交ダンスを踊っている場合、しっかりと床に体重が
乗っていると感じている時も、実際は重心が止まる事無く
移動し続けなければ成りません。
しかしながら、私達の動体視力は極めていい加減で、
前後の運動の変化やスウィングの過程に於いて重心が
止まって見えたり、身体を重くして演じている様に感じます。
特にダウンアクションを行なうと、重心が一番低く成って
見える場所に体重をしっかりと乗せていると思いがちです。
多くの方がテクニックを習う時、ダウンと言えば低くすると
解釈し、アップと言えば高くすると思っています。
しかし、ダンス用語を習う時には、必ずダウンとロアーの
運動の違い、そしてアップとライズに違いを習うはずです。
単に英語を和訳したテクニックをそのまま踊り方として
習ったり教えたりしているとその時点で社交ダンスはとても
難しくなってしまいます。
社交ダンスを踊る時には、身体のあらゆる部分のスウィングを
利用しますが、特に下肢のスウィングの作り方を正しく知る事が
とても大切です。
スウィングは支点から一定の距離を振り子の様に動点が動く様
なのですが、この振り子の原理で私達は歩いたり走ったりして
パフォーマンスを生み出しています。
足を前後に振る時一番振り子が低くなっている所がダウンで有り
これ以上振り上がらない所がアップなのです。
つまり下肢の運動で言うと片足が身体を支え体重を受け止めて
いる時にもう一方の脚が立足の横を振り抜ける瞬間が
ダウンです。
見た目は最も重心が低く成って床に対して体重が重く乗せられ
ていると思いがちですが、重心点が最も低く成るのであって、
重みを掛ける事を目的とはしません。
一番低く見えるダウンの位置はこれから重心が高く成って行く、
ライズの始まりでも有るのです。
説明としてはこれ以上低く成らないと言う事が明記されて
いると思います。
もちろんアップもライズして一番高く成った重心の部分を言い
これからロアーが始まって低く成る場所なのです。
多くの踊り手が間違うのは見た目の低さを体重をしっかりと
乗せて重心を低く構える所と思っている事です。
このダウンの場所で更に体重を重く加えようと下肢に
力を入れると、同じタイミングで振れて来たムービングフットが
止まってしまい、改めてステップを振り込んだり床を蹴って
重心を動かさなければ成らなくなってしまうのです。
床を蹴ったり押したりムービングフットを意識を持って踏み込む
踊り手が実に多く、下半身の左右の脚が同調して動かないと
上体が変形したり脊柱が曲がったりする為常に上半身を固定して
十字架に張り付けに成った罪人の様に踊らなければ成りません。
踊り手の常識が社交ダンスをとても難しくしている事実を
知る事が大切です。
見た目同じように踊っているように見えて、自由に思い通り
楽しく美しく踊っているペアとは全く違った踊りをしている
のです。
社交ダンスは男女がコンタクトして踊る芸術的スポーツです。
一人で踊る舞踊の様に手足を自分の感覚だけで動かしていては
誰と踊っても楽しくは踊れません。
社交ダンスは誰とでも楽しく踊れるはずです。
しかし、多くの方の踊りは特定のお相手やグループそして先生
としか踊れないのが現状です。
他のスポーツの様に誰とでも心から自由に楽しんで踊れる事を
心から願いたいものです。