素晴らしい衣装を身に纏い溢れんばかりの笑顔で踊る姿は
見ている人達をも笑顔にしてしまいます。
心から心へ喜びが伝わる笑顔は、社交ダンスに於ける最も
重要な感情表現と言えます。
その為社交ダンスを習うと、ステップやテクニックを覚え
運動表現を身に付けると共に、常に笑顔で踊る事を教え
られると思います。
しかしながら、多くの踊り手を見ていると、笑顔と言うより
顔が引きつっているように見えたり、口元だけが単独に
口角を上げて楽し気に見せている様に感じるペアが多いです。
例え口元だけでも歯を見せて楽し気に踊る事は必要かも
知れませんが、笑顔は踊る事に依って自然に生まれなければ
全身の音楽表現と表情がマッチせず、笑顔が返って違和感を
生んでしまいます。
初めて競技会を見に来た方々が会場で所狭しと踊る選手を見て
その素晴らしい演技に目を見張る一方、彼らの取って付けた
様な底抜けの笑顔に抵抗を覚える事も多いのです。
華やかな演技に合う様な強調された笑顔は競技としては良いと
思われますが、普段様々な方と社交ダンスを楽しむ時も
この習慣的な笑顔はお相手に違和感を与えるだけでなく
見ている人を後ずさりさせる事も有るのです。
では時と場合に応じた的確な笑顔はどの様に創れば良いので
しょうか。
先ず大切な事は全身の運動表現と同じく背中側の筋肉を下肢と
繋ぎ頭骨を包む顔を含む外皮と繋げる事が大切です。
口角を上げる筋肉は顔や口の周りの筋肉を部分的に使うと
身体の運動と繋がらず違和感のある表情と成っていしまいます。
背中の坊僧筋から首へ繋がる筋肉が顔の前面の筋肉と
繋がります。
背中の筋肉が肩甲骨を伴い下肢と連動して動くと、顔の周囲筋が
後方に引っ張られし自然に口角が上がりやすく成ります。
つまり感情だけでなく背中の筋肉を音楽に合わせて動かすと
自然に表情筋が動きやすくなるのです。
上体を固めて顔だけ笑顔にしている競技選手を多く見受けますが
身体と連動すると表情が豊かに成り見ている人からは自然な喜び
として受け入れられます。
社交ダンスに於ける様々なステップワークやショルダーワーク、
そして表情を含む頭骨の運動は、全て全身の筋肉と関連して
動く様に出来ています。
ステップを踏む時と同じく外見的に見える印象的な部分を動かす
のでは無くて全身の運動表現が繋がった結果見た様な素晴らしい
音楽表情と成る事を知る事が大切です。