新型コロナウイルスが警告する私達が失ってはならないもの | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

今や私たち人類は誰もが未来に不安を感じ、日常生活に

不自由を感じる毎日です。

私達の生活は、互いに近づき合い協力し合う事で成り立って

いたのですが、生きる為の基本が奪われ距離を保つ生活に

戸惑いと言いようのない焦りを強めています。

ほんの数週間の我慢ならまだしも、先の見えない不自由さと

もどかしさは、たとえ衣食住が満たされていたとしても、いずれ

心に大きなストレスを溜めることとなり、生きる事への意欲すら

失いかねません。

 

人類が何百万年に渡って築き上げて来た生きる為の基本を

失う事が如何に辛く息苦しいものか、誰もが身をもって感じ

始めています。

どんなに文明が進歩しても、私達は互いのコミュニケーションを

通じて健全な日常生活を行う事が出来、如何に流通機構が

完備されたとしても、その延長には常に人と人との生きた

関わり合いが必要なのです

 

社交ダンスを踊る時も、どんなに男女が其々のステップや

テクニックを完璧に身に付けても、踊るその時々の互いの

心と身体の状況を正しく判断できなければ、持っている

社交ダンスを踊る為の道具は何の価値も生まれない

だけでなく、踊ればかえってお互いを邪魔する事と成って

しまいます。

アマチュアの踊り手で有りながらプロ顔負けの知識や

運動能力を持っている方も少なく有りませんが、実際に

踊ってみると、コンタクト面から伝わって来る心と身体が

殆ど感じられず、ただ自分の踊りに精いっぱいの方が

とても多いです。

 

社交ダンスを踊る時、何故コンタクトして踊るのかの

大切な意味は、自分とは違う心と身体の状況を感じる事で

ペアとしての素晴らしい踊りを生み出す事が出来るからです。

互いの違いを感じながらペアとして最も適切なリード&

フォローを見つける事が重要なのです。

互いに同調して踊る為には、触れあう事に因り確実に

スピーディに情報を得て、瞬時にペアとしてベストの踊りを

創り上げる事が大切なのです。

 

しかしながら、上手くコンタクト出来なかったり無理やり上体を

固定して見た目の美しさを作ろうとしたりしているペアが多く

本当に正しいコンタクトの方法を知らない方がとても多いです。

手を取り合い身体を着け合って踊っているのではないのです。

コンタクト面を通してつぶさにお相手の心と身体の変化を

感じ取って自分の持つ踊る為の道具を反射的に動かして

ペアとして最高の踊りを踊っているのです。

 

ラテンアメリカンダンスに於ける手の取り方を正しく出来ていた

踊り手はほんの僅かでした。

見よう見まねで、ただお相手の手を掴まえているだけの方が

とても多く、心と身体を知る事は殆ど不可能と言えます。

ボディコンタクトも、ただ身体を近接したり付け合っているだけの

意志の疎通が感じられない踊り手が実に多いです。

手を取る時もボディを触れる時も、誰にでも最も適切な方法が

ある事を知りません。

 

コンタクト部分は如何に触れるかを正しく知っていれば、

少なくとも今のテクニックは数段上達する事は明らかです。

上手く踊れ無い方々の殆どが正しいコンタクトの方法を

習っていませんでした。

社交ダンスに於いては、男女が如何にコンタクトして互いの意志を

的確に伝え合うかが一番大切で有り踊る為の基本なのです。

 

この事は社交ダンスに限った事では無く、日常生活に於いても

最も大切な部分であり、如何にお互いの心と身体を知るかで

楽しく共同生活や仕事が出来かどうかが決まります。

この一番大切な部分を引き裂いているのが今回のウイルスです。

私達が生活していく上で当たり前のことが失われる事が

如何に不自由で苦しい事か、病で伏す事の恐怖以上に

私達の心に重くのしかかっているのです。

 

私達は日頃から互いに深く心から繋がっているのです。

ただ、意識する事は殆ど無く、当たり前の様に自己主張をして

生活する事で様々なトラブルを生む事と成っているのです。

身近な人とだけでなく他人とも社会とも無意識の内に

心と身体を触れあって生活しているのです。

また、誰もが唯一無二の存在であり、同じ心と身体の人は

皆無とも言え、常にお相手の気持ちを察する事がマナーであり

楽しく生きて行く為の術と言えるのです。

 

コンタクトする方法はお相手に依っても環境に依っても

千差万別です。

五感を駆使してお相手の状況を感じ取る事が出来れば

その時最も適切な言葉や行動をとる事が出来、自分が描く

楽しい人生が送れるのです。

社交ダンスを踊る時も、対人的なやり取りは全く同じです。

コンタクトする事に依ってより正確に知る事が出来る為

ペアとして最も魅力的な踊りを踊る事が出来るのです。

心を通じ合わせた濃密な接触が社交ダンスにも日常生活にも

とても重要なのです。

この大切な部分を奪っているのが今回の悪夢と言えます。