愛しい人と踊る幸せ | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

もうすぐクリスマスがやって来ます。

多くの踊り手が、パーティに備えて技術を増したり、

発表会に備えて連日汗を流している事でしょう。

様々なサークルやダンス教室では、年末のパーティが

恒例事業の様に成っていて、美しい衣装に身を包み

楽しい夜を過ごす方も多い事と思われます。

 

特に発表会をに出演する為に、何か月も練習を
積んできた方々は、楽しさと言うより、如何に
練習の成果を出して、多くの人達に喜んで

頂きたいと思うものです。
本番で、如何に、美しく間違わないで踊る事が
出来るかが気になるものです。


ただ、社交ダンスは、沢山の人の前で、

着飾って踊るだけが目的では有りません。

出来る事なら、心の通じ合えるお相手と、

自分達の踊りを見せるのではなく、二人の為の

心を確かめ合う踊りをしたいものです。

社交ダンスは、一見、競技会やパーティの

発表会で踊る、見せる為の踊りが主流の様に

思われていますが、本当は本来は、極めてプライベートな
二人の幸せを確かめ合うものです。


私がアマチュアの競技に出ていた頃、
競技会の後、反省会を兼ねて、競技仲間と

ビルの最上階近くのラウンジでお酒を飲んでいると

私達の話が聞こえたのか、バンドの演奏が

競技会で踊るような派手で賑やかのリズムと成り
私達は一斉に、フロアーに繰り出し、昼間の

踊りの再現と成りました。


若い競技選手ばかりの踊りは、華やかで美しく

まるで舞踏会の様に成りました。
お酒の勢いもあり、どのペアも、気兼ねすることなく

フロアーをわがもの顔でした。
軽快でリズミックな踊りが何曲か終わった後、

急に照明が薄暗くなり、音楽はムーディーな
映画音楽と成りました。

 

窓の外は夜景が美しく、東の空には月が上がって
とてもいい雰囲気です。
元気な若者達も、昼間の疲れも有って、お酒が入ると

各自自分の席で、静かに話しだしました。

そんな時、広く空いたフロアーに、一組の中年のペアが

手を取り合って下りて来ました。

男性が手を差し伸べると、二人は一つの影と成りました。

やや薄暗い部屋の照明の中で、静かな曲に合わせながら
ゆっくりと部屋を回って行きます。

時折、男性が肩越しに話しかけると、笑顔で答える女性は
本当に幸せそうです。

次に、映画音楽で知られたジャズ曲が流れると、一気に
二人の踊りは若者の様に弾けます。

その後、スローテンポのワルツに合わせて、ゆっくりと
確かめ合う様に揺れた後、男性が女性の片手を導き
席に戻って行きました。


私達競技選手は、少しでも目立ち格好良く、誰よりも

良い成績が得られる様にと日頃頑張ります。

お互いの存在は、異性と言うより、戦士と言った感じで

社交ダンスは、より良い成績を上げる事が前提です。

しかしながら、その日、私達、若い競技選手が受けた
感動は、そんな思いを恥ずかしく思わせる様な
本当の社交ダンスを見る様なショックを受けたのです。

私達競技選手が、これ見よがしに踊る踊りよりも
遥かにシンプルで、人の心を動かすものでした。


自分達の両親程の年齢のペアが、難しいステップや
運動表現を使うことなく、お互いにあれ程幸せな時を
作り上げる事が出来るものとは思いませんでした。

大人の深い愛情に裏打ちされた、男女の美しい踊は
私達が将来求める姿ではと、心の中に強く残りました。

確かに競技ダンスやデモンストレーションダンスは
見ていて美しく感動的では有りますが、ペアにとって

どれ程深い理解と愛情によって生まれているかと
考えると、外見と中身との差が感じられる事が多く
世の中の社交ダンスに対する認知度が、いまだ

外見に偏っている様に思われます。


願わくは、全ての世代に於いて、踊る事で

言葉を交わすように、お互いの思いを伝える

社交ダンスが踊られる様に成る事を望みたいです。
国民の多くが親しみ、その中から、豊かな感性と
人間性に溢れた選手が多く生まれる日が来る事を
心から望みたいものです。