筋肉トレーニングは何の為? | 社交ダンスはヒップホップよりやさしい

社交ダンスはヒップホップよりやさしい

学校教育におけるダンスと言えば,ヒップホップが主流となっていますが、社交ダンスは二人で助け合って踊ることにより誰でも覚え易く、技術とマナーが自然と身に付きます。
子供からご年配まで、踊ることにより相互理解が得られる、素晴らしい芸術的スポーツです。

今日は体育の日です。
新聞の記事を覗き込んでみると、60歳以上の中高年が
ジムに行く率が高くなっていると有りました。
確かに、健康志向から、中高年になっても身体を鍛える事は
素晴らしい事ですが、単に筋肉を付け、外見を逞しくすれば
いいかと言えば、そうとも言えません。

一体何のために身体を鍛えているのか、中高年が鍛える事で
単にナルシストが増えるだけでは、どこかのコマーシャルで、
強制的に筋肉質になった人々が、自慢げに披露するだけの
安っぽい身体になってしまいます。

身体の筋肉は、私達が日頃生活したり仕事したり、スポーツ
を楽しんだりする時に、なくてはならないものです。
筋肉の量が多いという事は、健康維持にも、運動能力に於いても
大切であることは言うまでも有りません。

しかし、その筋肉がいかに身体の為に使われているかを
知っていないで、単に、鍛えて、外見が筋肉質に見えれば良いと
思っている様では、人の目を気にしただけの、中身が疑われる
人間となってしまいます。

社交ダンスに於いて、全身の筋肉が発達している事は、
あらゆる表現や運動が思い通りに出来る条件と成ります。
その為、中には、筋肉の存在を見せつける様な表現をしたり
スタイルを誇張する様な演技に目的を見出そうとしてしている
ペアも目に付きます。
つまり、筋肉美を見せる、ボディビルダーが二人いる様で
音楽とは異なった、違和感を感じる事が有ります。

海外のペアの中にも、素晴らしい肉体美のペアが何組もいますが
彼らの踊りは、その肉体美を見せるのではなく、その筋肉を利用し
素晴らしい男女の表現を演出します。
その美しさは、時にしなやかに、時に力強く、身体も心も変化し
見ている人を深く感動させます。

私達、中高年も、体力の衰えを補うために、多くの筋力運動が
日常的に必要と成ります。
増して、踊りを仕事としていると、体力の衰えは、直ぐに演技に
技術に影響を及ぼします。

しかし、気を付けなければならないのは、全ての筋肉がトータルで
繋がって一つの運動をする様にしていかなければならないのです。
つまり、身体の筋肉の使い方、繋がり方、表現の仕方を知ってこそ
社交ダンスを美しく踊れるのです。

アマチュアの方が、ホールドが弱いとか、トウで立てないとか言って
その部分を鍛えようとしても、努力の割に効果が無いのは、
部分を鍛えても役に立たない事を知らないからです。

ステップを綺麗に踊りたい、綺麗なホールドを保ちたいからと言って
部分を鍛える事がいかにナンセンスであるか、あまりにも身体の
パーツを鍛えようとすると、怪我の原因にもなりかねないのです。

時速150キロで投げるピチャーの手は、とても柔らかく、
投げる時は、強い握力は使いません。
地面から得た力を、身体を通して指先までしなやかに
繋いでいるのです。
まるでムチの先の様にしなる腕は、強い円運動を伴い、
全身の力を手のひらに、そして指先に伝えているのです。

社交ダンスも全く同じで、伝えられる機能があって、力強い筋力が
意味を成してくるのです。
踊っている時は、目で見える何百倍も身体が動いて、外見的に
静かに見えるだけです。
ジムに通って、身体の筋肉を鍛えても、それがどの様に
使われるかを知っていない限り、単なる重い鎧を身に付けて
いるだけに過ぎないのです。