2025年(令和7年)の振り返り―前編―
昨年の日経平均株価は年間上昇率26%と、NYダウ工業株30種平均を3年連続上回った。
思えば、1年前(2025年)の1月10日にヒルトン東京での新春経済講演会で、『トランプ2.0 日米大相場劇場の開幕!』副題として「ビッグウェイブにテイクオフ!」と申し上げた。
トランプ再登場により、日米政治の先行きなどに警戒感が漂っている時に、日米大相場がやってくると断言したのだ。
そして、2025年の日経平均株価を日本のエスタブリッシュメントやインテリエコノミストの総弱気の嵐の中で、私は日経平均株価は5万円を超えると断言した。
さて、昨年(2025年)に何故、日経平均株価があれだけ上昇したのかを私なりに解説したい。
要因は3つ。
1つ目は、今の日経平均株価は5万円を超えても、昭和の終わりの1989年の時のようなバブルとは全く違うということ。
私は1983年(昭和58年)に野村證券に入社して以来、43年間株式マーケットを見てきた。
1989年12月の日経平均株価38,915円の時の日本企業の株価収益率(PER)はなんと61.7倍もあった。当期利益の61年先分まで買っていたのだ。
株価純資産倍率(PBR)では5.6倍。企業としての解散価値の5.6倍で評価していた。
それが2024年2月22日に34年ぶりに、過去の最高値38,915円を抜けた。約2年前の話だ。
その時の株価収益率(PER)はたったの16.5倍。株価純資産倍率(PBR)もたったの1.4倍。
要するに、2年前に最高値を日経平均が更新した時、私は「バブルではない」と数々の講演会で主張をした。
最大の要因は、日本企業の努力の証しである「企業の利益成長」が大元にあったからだ。
過去12年間の日本企業の1株利益の伸び率は米国企業を上回っている。
こうした日本の企業の変化を素直に評価していたのが海外投資家であった。
2020年8月のコロナ禍の真っ只中に米カリスマ投資家のウォーレン・バフェットが日本の大手商社株を大量に購入してきたのがいい例だ。
そして、昨年末の大納会の50,339円における日経平均の株価収益率(PER)は前期基準で18.44倍、株価純資産倍率(PBR)で1.69倍でしかない。
今、来期の企業の収益の2ケタの伸びを考えると、更に日本株は割安となる。
因に、NYダウのPERは23.9倍。S&P500は25.8倍。ナスダックはなんと36.5倍の高水準にある。
日本株のローハンティングフルーツの状況は今年もまだまだ続くということである。
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今年の日本の株式と不動産マーケットについて
① 米国の中間選挙の11月までNYダウはトランプ大インフレ相場となり、シリコンバレーのデジタル資本主義とウォールストリートの金融資本主義の合体のハイブリッド資本主義により強烈に上昇していくであろう。
② NYダウに連動し、日経平均株価も大幅に値上がりしていく。
サナエノミクスはアベノミクスの再来を海外投資家に想起させ、天井知らずの大相場となると予想する。
③ NYダウ、日経平均が大幅に上がり、日本の大都市圏の不動産も資産インフレ相場の波に乗って、更に上がっていくだろう。
富裕層は節税、相続対策のために流動性の高い不動産を大量に購入することを急ぐであろう。
特に金融、不動産関連の会社の株は暴騰していくと考える。
米・ゴールドマンサックス・グループは日本国内の不動産を投資対象としたファンドを組成、約5億ドル(785億円)3末募集締め切り。昨年9月には米モルガン・スタンレーが初の日本の不動産に特化したファンドを立ち上げ1310億円を調達した。
④ 日経平均株価は年内65,000円。2027年には、1989年の最高値(38,915円)の倍の78,000円を突破し、2028年末には10万円を超えると予想する。
米国の尺度で日本株が再評価される時代が来る。
米国株のPBRは5.5倍。日本は1.7倍。
日本株は米国から見たら3分の1の価値しかなく超割安。
進撃の巨人の主人公ならばこう言うだろう。
「Just shut your mouths. And invest everything in Japan!」
「いいから黙って、全部日本に投資しろ!」
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AIの行方について
AIバブルの崩壊をリスクと考えている人もいるが、私はAIの行方を知る上で、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の動向に注目すべきだと考えている。
孫会長のやることがコロコロ変わるように見えるのは素人の見方だ。
彼は移り気な経営者ではなく、情報産業のインフラを握る存在になることを目指しているのだ。
現代ではプラットフォーマーと呼ばれ「胴元」とも言う。
注目すべき点は情報産業では主役となるテクノロジーが次々と変わっていくということだ。
1980年代はフロッピーディスクなどに書き込めるプログラムが主役だった。
90年代にインターネットが広まると、その「玄関」となるヤフーに目を付けた。
その後はブロードバンドや携帯電話の回線に進出した。
近年、近未来の胴元と見るのがAIだ。
半導体でビッグデータの流れを押さえに行く一方で、孫氏は巨大ファンドを運営している。
投資を通じて未来のAIの担い手を発掘する狙いだ。
孫氏は情報産業の胴元となり、残された時間でAIの胴元になりたいのだ。
投資会社からAI分野の実業へと重心を移している訳だ。
次代のAIリーダーを掘り起こす「10兆円ファンド」から人知を超えた「人工超知能(ASI)」実現を狙っているのだ。
孫氏の考え方のポイントは6つ。
① AIはあらゆる産業、人類の未来のライフスタイルを変革する。
② AIの一丁目一番地は米国であり、イノベーションの中心地である。
③ AIインフラ計画「スターゲート」は4年間で5000億ドル(約70兆円)を米国に投じる。全米にデータセンターを建設し、その電力需要を賄う発電施設も併設する構想。(2025.1月発表)
④ チャットGPTを開発した米オープンAIと共同出資会社を立ち上げ、企業向けAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を始めると発表した。企業に眠る膨大な情報をAIに集約し、顧客企業ごとのブレーンを作る。日本中の企業にセールスをかけ、いずれ世界に展開すると考えている。(2025.2月発表) ※GPT(General Purpose Technology・汎用技術)
⑤ ソフトバンクグループはASI(人工超知能)時代の到来に向けたAI企業へと転身していくことを目指している。
※ASI(Artificial Super Intelligence・人工超知能)
そして、AIは自己改良を始めていく。AGI(汎用人工知能)が出現してくる。人類が生む最後の大発明となるのだ。
※AGI(Artificial General Intelligence・汎用人工知能)
⑥ 世界で最も過小評価されているAI企業の一つがソフトバンクグループ(9984)かもしれない。日経平均株価を上げるか下げるのかの生殺与奪権を握っているのも、ソフトバンクグループなのだ。孫さんと私には共通点がある。それは髪が生えるスピードを時代とすると時代が遅れているので、髪が生えていない状況に見えるということ。
AIというテーマは難しい。
技術が指数関数的に成長するのを正当に評価していくのは、本当に難しい。
後で振り返れば、こうした事象がどう生まれ、どう成長したかを理解することはできるが、その渦中にいる時、これがどれほど重要で、どれほどゲームチェンジャーなのかを捉えるのは困難である。
日本はAI後進国になりつつある。デジタル赤字は2035年には18兆円に到達してしまう。
エヌビディアが600兆円の時価総額で、ソフトバンクグループが20分の1の30兆円の評価は正しいのかどうか、後でわかることなのだ。
日本に唯一勝ち筋があるとすれば、産業用データと地政学的立地を武器にするしかない。
製造・車載・医療など濃密で質の高いデータこそAI時代の金鉱脈である。
これを活用して米国勢と共同モデルを構築し、日本初の産業AIで主導権を奪い返すことだ。
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どんでん返しの2025年株式相場から2026年の相場を読み解く
⑴2025年の日本株に関する主な記録として7つ
① 年間値幅(高値一安値)は2万1274円で過去最大
② 東証プライム市場の1日売買代金が初の10兆円超え(昨年10月30日)
③ 東証プライム市場の時価総額が1100兆円超え
④ 日本の10兆円クラブは23社から28社へ
⑤ 海外投資家の年累計買越額が5兆4430億円。アベノミクス(2013年)以来の高水準。
⑥ 自社株買いを示す「事業法人」の年累計買い越し額が10兆円台と過去最高。
⑦ 日経平均の年間上昇率が3年連続で2ケタ台、2000年以降で初めての快挙。
次に、
⑵利回り革命の発生の予感
長期金利の指標である新発10年物国債利回りは2%台の一方、日経平均の予想配当利回りは1.86%(昨年末)。
リスクフリー資産とされる国債の利回り上昇を受けて、リスクをとって株式に投資してもらう上場企業にとっては収益性の低い資産や事業の選別が求められるようになると考える。
今年は企業としての成長投資や資本効率改善といった点がより重要視されるだろう。
配当利回り2%以下で国債の利回りより低い会社で、利益剰余金のあるPBRの低い会社は投資対象として狙うべきだと考える。
又、長期金利が2.5%から3%を超える水準まで上昇したら、株式相場は一時的に調整する可能性が出てくる。
長期金利の利回り動向は要注意だ。
続いて、⑶日本株の逆襲として7つ
① 配当込みで日本のTOPIX、米国のS&P500、欧州のMSCI Europeの指数を比較した場合、2000年に比べて、米国株は8倍、欧州株は3倍、日本株は2倍の状況。日本株は欧米株式に比べて大幅にアンダーパフォームしている。今年、高市政権下、再注目される。
② ROE、PBR、EBITDA等の指標で収益性の低さから割安に放置されている日本株に、26年半ば目処にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指標)の改定を受けた資本効率改善の指導が出る。改善期待により、日本株の上昇基調を後押しするだろう。
③ 日本はPBR1倍未満の企業がTOPIX採用銘柄で3分の1もまだ存在している。米国のS&P500ではPBR1倍未満は3.4%しかない。PBR1倍未満の企業はアクティビストの恰好のターゲットとなり、経営陣を苦しる。よって株価を上げる算段を取ってくる可能性が大である。
④ 株主からの高まる圧力、政府・取引所からの圧力により、株主価値向上を図らねばならなくなる。海外投資家からの株主総会での圧力。企業変革を試み株価上昇傾向へつながっていく。昨年の株主提案数は10年前の2倍の398件。アクティビストの株主提案は137議案に。特にアクティビストの取締役選任議案数が大幅に増加している。
⑤ 配当金総額は5年連続増加で約20兆円、自社株取得は過去最高の約18兆円を突破している。
⑥ 今後PBR1倍割れのままマーケットから退場する行為は、資本市場のただ乗りと捉えられる。PBR1倍割れでMBOを発表すると、アクティビストが放っておかない。上場廃止後に企業価値が高まるのであれば、その成果を前もって既存株主に還元(高いプレミアム価格でのMBO)しなければ、MBOに支持を得られなくなる。
⑦ 26年度の企業業績は前年比10~11%増益となる予想だ。円安メリットを受ける外需系の製造業がけん引し、国内金利上昇に伴い収益率が大幅に改善する金融業も全体を押し上げることになる。
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今年行くべき場所
米紙ニューヨーク・タイムズが発表した「2026年に行くべき52カ所」に、日本から長崎と沖縄が選ばれた。
17番目に長崎、そして46番目に沖縄だ。
ちなみに、25年は富山と大阪、24年は山口が選定された。
長崎について「核拡散の権威が世界に広がる中、訪れる強い理由がある」とした。
昨年は、戦後80年を迎えたが、この80年という時間の中で、今の美しく豊かな日本が形づくられた。
その時代を知る人が少なくなる中で、我々日本人は、次の世代に伝えるべく問われる節目でもあった。
長崎駅周辺で再開発が進む駅前の新しい風景、カステラの老舗の福砂屋や、観光名所のグラバー園、そして昨年末のNHK紅白歌合戦では、故郷・長崎の平和への思いを込め福山雅治が被爆クスノキが題材の「クスノキ-500年の風に吹かれて-」を披露し、平和へのメッセージととして大きな反響を呼んだ。
長崎では世界中の方に長崎にお越しいただけるように、まちの魅力と被爆の実相について国内外に向けて積極的に発信していきたいと長崎市長がコメントしている。
沖縄については、「壊滅的な火災の後に再オープンする壮大な城」として、那覇市の首里城を挙げた。
首里城跡はユネスコの世界遺産で、2019年に正殿が火災で焼失したことを紹介。
「鮮やかな赤色で丘の上に築かれた城塞は、伝統的な手法を用いた再建工事を経て、今秋に再開する予定だ」と説明している。
2年前には私自身、広島を訪れ、平和記念公園内にある「広島国際会議場」で、高校生が描いたヒロシマ「原爆の絵画展」を観た。
胸が締め付けられる思いだったが、世界の平和の実現に向けた取り組みとして出展したその高校生を称賛したいと思った。
我々が当たり前だと思う、この美しい日本。
街を行き交う人々の穏やかな日常も、毎日多くの仕事でクタクタになる日常も全てが「当たり前ではない」平和なのだ。
だからこそ私は、経営者の皆様と共に「視察ツアー」を続けている。
昨年2月は台湾でアジアの躍動に触れ、10月には米国ハワイ州で観光と地域経済のつながりを学んだ。
今年も視察ツアーは続く。
土地の空気を吸い、そこに住む人々の生活や産業に触れ、歴史に触れる機会をつくる、次の一手を考える最良の機会になるからだ。
「今年行くべき場所」とは、自分の人生において、仕事、家族など大切なものを改めて考える機会になるのではないか。
2月には沖縄、4月には福岡、その後は海外視察も予定している。
是非、参加していただきたい。
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