『〇〇を行う』が日本語を壊す──言葉の実感を取り戻すために | so what(だから何なんだ)

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そんなお年頃。
68カ国で止まったまま先に進みません。(;^_^A

・・・・・・・っということで、このブログで何度も取り上げた「行う」の多用。

 

AI君と何度もやりとりしてぼくの言いたいところをまとめてもらいました。

 

・・・・・・・

 

最近、テレビや新聞でやたらと目にする言い回しがある。


「集会を行う」「討議を行う」「確認を行う」――あらゆる場面で「行う」が使われている。


NHKでさえ例外ではない。むしろ率先して“無味乾燥な文語風表現”を撒き散らしているように思える。

 

この「〇〇を行う」という構文、形式ばってはいるが、どこか空虚だ。


たとえば「討議を行っています」より「討議しています」あるいは「討議が交わされています」の方が、やりとりの生きた手触りがある。

 

「ロケットの打ち上げが行われました」では、誰が何をしたのかが霞んでしまう。


「ロケットが打ち上げられました」の方が、ずっと明瞭だ。

 

言葉は本来、出来事の実感を運ぶ器だ。


「雨が降っている」には、空の様子、湿った空気、傘の音すら含まれている。


それを「降雨が行われている」と言ったら、冗談だろう。

 

「〇〇を行う」は、まるで空っぽの器のように、どんな語にも無理やりかぶせられる。


だがそのせいで、本来の動詞が持っていた重みやニュアンスがごっそり抜け落ちてしまう。


まるで言葉の蒸留水化である。

 

背景には、英語の影響もあるかもしれない。


英語には「have a discussion」「make a decision」など、動詞+名詞構文が多い。


これを直訳すると「討議を行う」「決断を行う」となりがちだ。


だが英語と日本語では、言語の骨格がまったく違う。


日本語は動詞の質感が命だ。「交わす」「進める」「加える」――動きと関係性を生む言葉が、文化を織ってきた。

 

とくに危機感を覚えるのは、こうした型どおりの表現が、“正しい日本語”として若い世代に刷り込まれてしまうことだ。


子どもが作文で「質疑が行われました」と書いたら、教師は褒めるかもしれない。


でも、その言葉には、だれがどんなふうに、どんな思いで問うたのか、まったく伝わってこない。

 

このままでは、日本語はどんどん無機質になっていく。
 

合理的で効率的だが、感情も風景も温度も伝わらない――そんな言葉だけが残る。
 

それをぼくは「日本語の自殺」とすら感じている。

 

だから今こそ、僕たちは言葉の手触りを取り戻さねばならない。
 

「する」でいい時は「する」でいい。「開く」「交わす」「進める」「伝える」――
 

本来の動詞を呼び戻そう。言葉に血を通わせよう。
 

言葉が生きていなければ、そこにある人の心もまた、死んでいるのだから。

 

・・・・・・・

 

ついでに、辞書を作ってもらいました。(^^)/

 

『〇〇を行う』言い換え辞書(初版)

 

「〇〇を行う」表現

言い換え候補

備考・ニュアンス補足

集会を行う

集会を開く

開催の主体・意志が伝わる

討議を行う

討議を交わす/進める/する

交わす:双方向性がある

理事会が行われる

理事会が開かれる/開催される

公的・正式な印象を強調

協議が行われる

協議がなされる/進められる

双方のやり取りが主眼

質疑が行われる

質疑が交わされる

動的・議論的な印象

施政方針演説を行う

施政方針演説をする/発表する

「する」で十分。誤解されない

届出が行われていない

届出が提出されていない/なされていない

法的手続き感を出すなら「なされていない」

議論を行う

議論を交わす/進める/深める

場合に応じて使い分け

撮影が行われる

撮影がされる/実施される/行なわれる(写真業界では許容)

記録映像系なら「実施」もあり

規制緩和を行う

規制緩和を実施する/進める/する

「する」でOKな文脈も多い

捜索を行う

捜索をする/実施する

緊急性を強調するなら「捜索を急いでいる」なども可

コンクールを行う

コンクールを開く/開催する

イベント色が強いので「開催」が自然

確認を行っている

確認中である/確認している

報道では「確認作業中」も多用

立ち入り調査を行う

立ち入り調査をする/実施する

「調査を行った」も定型的だが味気ない

ロケットの打ち上げが行われる

ロケットが打ち上げられる

「誰が」「何を」したかが明瞭に

検討が行われている

検討が進められている/されている/なされている

「なされている」はやや堅いが正確

確認が行われている

確認中である/確認されている

現在進行形が合う場面多し

攻撃が行われる

攻撃が加えられる/実行される/あった

「あった」なら報道語っぽい簡潔さ

会見が行われる

会見が開かれる

自発性・公式性が出る

修理が行われていない

修理がされていない/終わっていない

結果が重要なら「終わっていない」