・・・・・・・っということで、日本の不幸は、西から伝わってきた技術や芸術を日本独自の工夫で完成度を高めても、東に伝える国が存在しないことだと書いてきました。
そこに太平洋があるからです。
日本は極東、すなわち世界の果てのどん詰まりに位置するからです。
しかし、今回南アメリカを見て、彼らも同じだったことに気づきました。
出アフリカから1万2000年後に南米に渡った彼らは、世界のどん詰まりまでたどり着いたのです。
そこから東は大西洋に阻まれてしまったのです。
渡る可能性はありません。
マルコポーロによって世界の東端にはジパングがあると知られていましたが、その先の南北アメリカ大陸は長いあいだ世界に存在さえしなかったのです。
北アフリカを出発した人類は長い旅をつづけ、南米大陸の南端まで到達したのに、ヨーロッパ大陸からショートカットしてきた連中にいとも簡単に征服されてしまいました。
ぼくが見たのはアンデス文明の一つであるインカ帝国だけですが、土木技術ひとつ見ただけで、その文明の高さに驚嘆せざるを得ません。
クスコには破壊されたインカの石積みの上にスペイン人の積んだ石垣が見られるのですが、そのお粗末さに呆れるほどです。
それを見ただけで、南米の文化は劣っていると誰が言い切れるのでしょうか。
人間(特に女性)を生贄にしていたとデマを広め、自分たちの侵略を正当化した話は書きました。
あれだけの帝国がどうして少数の侵略者に征服されてしまったのでしょう?
不思議ですね。
ピサロ隊の兵力は、わずか168名の兵士と大砲1門、馬27頭だけだったのですよ!!
注目すべき要因は、インカ帝国は「鉄」を発明していないのです。
鉄の優位性は武器に限らず、文明の発達に大きな意味を持ちます。
インカの武器は棍棒や石だったそうです。
「火薬」も知らなかった。
硝石など、火薬を作る鉱物に恵まれてるのが皮肉ですね。
あれだけの文明だったのに、「車輪」も発明していないのです。
そして何より大きな要素は、「文字」を持たなかったことです。
ペンは剣よりも強しといいますが、文字を持たない国は持つ国に勝てないのです。
アメリカインディアンもそうだったし、中米のメソアメリカ文明も、そしてアイヌもそうだったのです。
さらに、南米にとって悲劇だったのは、ヨーロッパから持ち込まれた「伝染病」です。
天然痘はわずか数年間でインカ帝国人口の60パーセントから94パーセントを死に至らしめ、人口の大幅な減少を引き起こしたといわれています。
アメリカインディアンたちは、慈善のためと称して配られた毛布に天然痘菌が仕込まれていたのです。
南米は1万2000年もの長きに渡って独自の文明を築き上げてきました。
そんな偉大な文明が、東からやって来た謂わばヤクザどもにあっという間に蹂躙され破壊されてしまったのです。
彼らは布教者の仮面をかぶっていましたが、その正体はインカの金銀財宝に目が眩んだ泥棒です。
南米のたどった歴史から連想しなければならないのは、同じく世界の果てにある日本が彼らに蹂躙される可能性が非常に高かったことです。
日本はそれを免れた。
何故か?その理由を考えるのはとても大切でしょうね。
・・・つづく。
