・・・・・・・っということで、またヘリコプターの事故が起きましたね。
日時:5月13日(月)正午前(午前11時40分頃離陸)発生
場所:熊本県阿蘇市で遊覧飛行中
機体:ロビンソン R44Raven II
機体番号:JA718W
製造番号:14001
登録年:2016/08(新機での登録)
所有者:匠航空(3番目の所有者)
人的被害:男性パイロット(57)胸or背骨、女性客(33)肋骨、男性客(32)腰の骨を骨折。乗客の男女は中国籍。13日時点での情報。
破損状況:
ヘリコプターの諸元:
- 全高:3.3m
- 胴体長:9.0m
- 主ローター直径:10.1m
- 自重:658kg
- ペイロード:408kg
- エンジン:ライカミングIO-540-AE1A5 6気筒水平対向レシプロエンジン245hp
- 乗員:1または2名
- 乗客:乗員含め4名
- 最大速度:240km/h
- 巡航速度:200km/h
- 航続距離:560km
- 初飛行:1990年3月31日
例によって事故原因は事故調がレポートするまで確定できません。
個人的な感想:
ぼくはR44に一度乗ったことがありますが、操縦したことはありません。
それまでのR22(2人乗り)にはイヤというほど乗りました。(^^ゞ
待望の4人乗りで、安価なうえに安定した飛行をするベストセラー機です。
事故現場写真を見て、転倒しなかったのはパイロットの腕が確かだったのでしょう。
ヘリコプターの事故現場は大抵転倒しています。
ということは、機体は回転せず、真っ直ぐな姿勢で不時着したと見ていいでしょう。
パイロットは「機体後部から異音がして、エンジンの回転数が低下したため、不時着を試みた」と証言しているらしいので、オートローテーション(滑空飛行)により不時着を試みたのは間違い無いでしょう。
ヘリコプターパイロットは、こういう事故を想定した訓練を繰り返しています。
まあ、オートローテーションができないとライセンスが取れませんが。
パイロットは57歳ですので、ベテランパイロットの部類でしょう。
ぼくのようなアマチュアパイロットに最低限求められるレベルは、機体を壊しても「生きて帰ること」です。
その点、事故を起こしたパイロットは最低限の義務を果たしたと言えるでしょう。
スキッドはたわむことによってある程度の衝撃でもクッションの役割を果たします。
しかし、3人とも骨折して大怪我をしたと報告されているので、相当の衝撃があったと思われます。
その証拠に、テールブーム(シッポね)が欠損してテールローターが吹っ飛んでいます。
オートローテーションで大切なのは、(回転が低下した)エンジンからの動力をすぐにクラッチで切り離し、メインローターの回転数を維持することです。
メインローターの回転が維持できてさえいれば、揚力を保持できます。
着陸寸前にメインローターのピッチ(迎え角)を上げることにより、着陸のショックを和らげる操作をします。
いわゆるソフトランディングですね。
そのタイミングは早すぎても遅すぎてもダメで、いわゆるハードランディングしてしまいます。
今回の事故写真を見ると、そのハードランディングですね。
阿蘇山ですから、標高が高いことがマイナスに働きます。
風向や、地上の状況によっても難度が上がります。
いくらベテランパイロットでも、訓練以外にオートローテーション着陸をするのは初めてのことでしょう。
以上、ヘリコプターの事故が起きるたびに、ブログに書いていますが、これで何度目でしょうね。
それで、いくら安全な乗り物だよと言っても、説得力ないかもね。(^^ゞ