・・・・・・・っということで、ヨルゴス・ランティモス監督の作品は、【女王陛下のお気に入り】【ロブスター】に続き、これで3作目です。
コリン・ファレルがショボい心臓外科医を演じています。
ニコール・キッドマンはこの時50歳だけど、オールヌードを披露します。
そして、脇役でも不思議に存在感を示すバリー・コーガンが25歳なのに16歳を演じています。
どうやらギリシャ悲劇がベースのようですが、知らなくても問題ありません。
この監督の【ロブスター】でもそうだったように、あり得ない設定をサラッと土台にしてしまいます。
この映画では、理由もなく外科医の家族の子供が歩けなくなって、目から血を流し、はては死んでしまうという設定です。
バリー・コーガンがそう予言して、その通りになっていくのですが、彼が神だとか悪魔とか、はたまた預言者なのかは一切説明がないのです。
外科医が手術中に患者を死なすという罪を犯します。
もちろん、医者は知らぬ存ぜぬで罪を問われることはありません。
しかし、死んだ患者の息子であるバリー・コーガンは、医者に罪を償うよう要求します。
その要求とは、家族の誰かを生贄に差し出せというものです。
ここがギリシャ悲劇と同じです。
じつに奇妙で特異な設定です。
そんな設定の中で、人間の悪い面ばかりが描かれます。
人間の持つ良い面は一切描かれません。
医師はホント〜にロクでもない人間です。
妻も、やはり子供を生贄にすべきだとか、子供だったらまた産めるからとか言います。
娘も息子も一癖あって、善人とはいえません。
実に後味の悪い顛末を迎えます。
特異な環境に主人公を放り込んで、人間の持つ醜い面を炙り出すのが得意な監督ですね。
最新作の【哀れなるものたち】が評判のようです。
★★★★☆