・・・・・・・っということで、アイルランドをまとめてみます。
ぼくがどうしてアイルランドに興味を持ったかと、ぼくが持つアイルランドの知識を書きました。
今から読み返すと、いかにいい加減な知識だったか、恥ずかしくて消したくなります。
すでに触れた通り、グレートブリテン島と違って、アイルランドはキリスト教(カトリック)が一気に広がりました。
聖パトリックのおかげです。
彼については面白い物語があるのですが、省略します。
一時期バイキングがダブリンに住み着きましたが、アイルランド全体を占領する規模ではなかったようです。
グレートブリテン島はフランスに住み着いたノルマン人によって征服されたのはご存知の通り。
ノルマンコンクェストとして知られていますね。(ウィリアム征服王)
イギリスの侵略によってアイルランドが辛酸を舐めたことは、すでに触れました。
アイルランドがイギリスに持つ恨みは、とても根深いものがあるんですね。
カトリックとプロテスタントという単純な争いというより、歴史的な背景を通して理解すべきだと思います。
穀物をイギリスに取り上げられ、ジャガイモを主食にせざるを得なかったことも既に触れました。
ところが、この肝心のジャガイモに大凶作が訪れます。
「ジャガイモ飢饉」(1845~1849年)として知られ、アイルランド人の多くが祖国を去りました。
ユダヤ人のディアスポラは有名ですが、同じようなことがアイルランドにも起きたのです。
彼らは世界中に散らばっていきました。
彼らが就いた職業の多くが「傭兵」でした。
そのころは、戦争をするための傭兵の需要が高かったのです。
もちろん命を張る代償は少ないものでした。
彼らのことを「ワイルドギース」というそうです。
そういう題名の映画がありましたね。
そもそも、アイルランド人を表す言葉でもあるようです。
新大陸アメリカに渡る者もたくさんいました。
そこでどんな職業に就いたかというと、危険な警官や消防士の仕事です。
だから、ニューヨーク警察と消防はアイルランド系が多いんですね。
そんな地道な努力の結果、選挙権を得てケネディーやレーガン、そしてバイデンといった大統領を生み出すまでの勢力になったのですね。(もちろん彼らはカトリックです。)
いっぽう、経済面では、リンチ家のように大成功を収める者も現れます。
彼らの強みは、各地に散らばったアイルランド人のネットワークによるものです。
「アイリッシュ・コネクション」と言われています。
この辺はユダヤ人や中国人、イギリス人の世界的なネットワークと共通するものがありますね。
日本が経済大国と言われながらその基盤が脆弱だったのは、こういった日本人のネットワークを持たなかったからでしょう。
これに気付くと、日本の将来は決して明るくないと思わざるを得ません。
今からでも遅くないので、日本の若者は競って海外に出るべきでしょうね。
それができないなら、日本はこれから「小ぢんまりした国」に留まらざるを得ないでしょう。
英語ができない自分が言うのもナンですが、世界の中で生きていくには「英語」が必須です。
日本は国家をあげて、英語教育に取り組むべきです。
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ちょっと横道に外れましたが、アイルランドはヨーロッパの中でも最貧国の一つでした。
借金漬けで首が回らなかったのです。
ところが、1995年から2007年までアイルランドは急速な経済発展を遂げます。
それは「ケルトの虎」と評されています。
ダブリン城の中庭にあった動物の像はライオンでなく、「虎」だったのですね。
成功の秘密は、高い教育水準や、英語圏であることが挙げられますが、税制面にあります。
外資に対しての法人税が12.5%と、ヨーロッパの中では一番安いレベルにしたことです。
その結果、海外の企業が競ってアイルランドに進出しました。
2008年のリーマンショックで一度躓きますが、今では一人当たりのGDPが世界の第5位という高水準を誇っています。
ちなみに、日本のGDPはその約半分で26位です。
貧乏人の日本人が気楽に旅行に来られる国じゃないんです。^m^
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歴史の不思議を感じます。
食うに困って世界中に散らばったのが逆にネットワーク作りに役立ち、いまや世界の富裕国ですからね。
アイルランド人が優秀であり、粘り強い国民性であるのは、歴史に鍛えられた結果なのです。
そういう目で我が日本を振り返ると、歴史に翻弄されたことで逆に鍛えられたというふうには見えないのです。
日本人が優秀なのは、自他共に認めるところです。
日本人自身のためにも、世界のためにも日本はもっと力を発揮できると思うのですが。
そんなことを考えさせられたアイルランド旅行でした。