・・・・・・・っということで、何とかならないですかねぇ?この邦題。
原題は【Loin Des Hommes】でフランス語。
英語訳は【Far From Men】・・・っと、これも意味不明。(^^ゞ
原作はアルベール・カミュの短編小説から。
ヴィゴ・モーテンセン主演で、制作にも深く関わっています。
5年前に見た【約束の地】と似たタッチで、彼はこういう文学的な作品に出演したい願望があるようです。制作時期も同じです。
1954年の時代背景を少し知らないと、話についていけないでしょう。
アルジェリアはフランス領でしたが、アルジェリア独立戦争(1954〜1962年)によって独立を果たしました。
アルジェリアは植民地ではなく、フランス本国の一部とされていました。
どこかで聞いたような話ですね。
フランスはウクライナ戦争で、大きな口を叩けないはずです。
フランスはアルジェリアで、酷い残虐行為を行ったんですよ。
フランス領ですから、フランス人がたくさん移住しました。
主人公(フランス人)は、アルジェリアで生まれたことになっています。
アルジェリア生まれのカミュと主人公が重なります。
現地のアラブ人からはフランス人と見られ、フランス人からはアラブ人と見られていたことが分かります。
この作品は、フランスとアルジェリアに挟まれた人間の苦悩が主題です。
主人公はフランス軍の退役少佐。
アルジェリアに残って、無償で子供たちに学校で教えています。
ひょんなことから、アラブ人の殺人容疑者を裁判所のある村まで送っていく、いわばロードムービーです。
途中、復讐しようとするアラブ人の親戚に襲われたり。
ゲリラ部隊の捕虜になったり。
政府軍のゲリラ討伐隊に保護されたり。
その都度、彼はどちら側の人間かを問われます。
政府軍にもゲリラにも彼の元部下がいます。
投降しようとするゲリラが射殺されるシーンで、彼は政府軍の将校に、「戦争犯罪だぞ」と言います。
将校は「上からの命令で、捕虜を取るなと言われている」と弁明します。
「アラブが勝利した時のことを考えてみろ」と彼は叱りつけます。
そのセリフ、プーチンに言ってやりたいですね。
延々と続く砂漠地帯が舞台です。
その中で、二人は心を通わせていきます。
彼はアルジェリア人にも、フランス人にも加担しません。
どちらにも問題があるからです。
そんなどちらを取るかという単純な思考より、第三の選択肢があることを容疑者に教えるのです。
それは、もっと人間らしい生き方を選択する道です。
・・・・・・・
伝えることはシンプルです。
解釈が難しいとか、退屈な映画とか簡単に決めつける人には向かない映画ですよ。^m^
★★★★★
(蛇足)
砂漠では、命の価値がものすごく安くなるんですよ。
45年前に砂漠で感じたことを思い出しました。