映画【黄金のアデーレ】 | so what(だから何なんだ)

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人生のバックパッカーのブログです。
一日に数本書いていますので、遡って読んで下さいね。

・・・・・・・っということで、久々に良い映画と巡り逢えた。


映画作品として実に完成度が高い。

最後は涙が止まらなかった。

ヘレン・ミレンがイイ。

実にイイ。

物語の構成がイイ。

台詞がイイ。

オーストリーを辛口に描いているけれど、作品を本当の持ち主に返すべきだと決心したのだから立派であります。

ご存じのように、ナチスドイツはユダヤ人の命を奪ったのと同時に、美術品も奪った。

多くの移民と同様に、ユダヤ人もオーストリーに住み着き、オーストリー人としてのアイデンティティーを確立しようと努力した。

ところが、ナチスが進駐したとき、オーストリーはユダヤ人たちを守らなかった。

アメリカに亡命しようとする主人公が、両親に最後の別れを告げるシーン。

それまでドイツ語で話していた父親が、娘に、これからオマエの祖国になる国の言葉で話そうと英語に切り替えるのです。

完璧な英語で、娘も完璧に理解できるのです。

ユダヤ人が辿ってきた歴史を考えさせられると同時に、彼らのしぶとさ、したたかさを思い知るのです。

大英博物館、ルーブル美術館、ペルガモン博物館・・・展示物は盗品ではないか?

正当な所有者に返却すべきではないか?

難しいテーマであります。

この物語では、本当の所有者が勝訴し、絵画はアメリカに持ち去られ、現在はアメリカに展示されている。

法律的に正しいだろう。

だが、ウィーンを少しでも知っている者なら、この絵画は「ウィーンに飾られるべき」だと思うだろう。

いくら法的に正しかろうが、美術鑑賞者としてはウィーンに置くのが正しい。

誰が何と言おうとも絶対正しい。

実話だそうだが、もし、映画の通りの手続きによってアメリカの弁護士が勝訴したのなら、姑息な手段だと言えないか?

映画では描かれなかったけれど、実際はアメリカが大国の正義をかざして、小国オーストリーに政治圧力をかけたのではないか?(いつもの遣り口)

もしそうならば、この絵画は二度略奪に遭ったことになる。

まあ、そこまで考えずに純粋に(単純に?)この映画を楽しもう。

尤も、オーストリー人は楽しめないことは確実ですけど。(;^_^A

★★★★★