【きみに読む物語】
原題:The Notebook
ニコラス・スパークス/著 雨沢泰/訳
アーティストハウスパブリッシャーズ刊
2004年12月発行
最近のアメリカ人作家が書く小説は、常に映画化されることを念頭に置きながら描いているとしか思えない。
この本も、ストーリー展開がいかにも映画館で見ているようだ。
逆に本は読まずに映画で見ただけだが、【マディソン郡の橋】も同じような書きぶりなのだろう。
作者31歳の時の作品である。
若い人が老人の心理を描くとすれば、余程の想像力がなければ書けない筈である。
だから、この本を読んでいて、心理描写がものすごく観念的であると感じた。
でも、上手く書けている。
実際に身近な人、たぶん祖父から聞いた話がベースとなって、インスピレーションを膨らましたはずである。
非常にストレートな語り口である。
付随的なストーリーは極力排除している。
間違いなく、作者はこのスタイルを意識して書いている。
私なんかは、ひねくれ者だから、この作者はこのスタイルでしか書けないと思っている。
文章力というか、文学的というか、その方の才能は力不足だと感じる。
だから、他人の詩をちりばめて、その方面を補っているのであろう。
かなり、ひねくれた見方だなと自分でも思う。
全米でベストセラーだという。
アメリカ人の心にストレートに響く物語だということは分かる。
もう一つ、アメリカ人作家の小説で感じるのは、人と人との距離が遠いことである。
要するに舞台が広いので、人と人との間隔も自然に広がるのだが、文章にそれが滲み出る。
それに比べ日本の小説は、人との距離が異常に近いこと。
もう、ものすごい人口密度である。
こういうことを比較するのも、小説を読んでいて楽しい。
おっと、この本の本質とは関係ないことばかり書いてしまった。
よく書けています、この本は。
最後のほうでは、はからずも涙が溢れてきてしまった。
このような無垢な物語は、私のような人間にこそ必要なのではないかなァ~。