【世界で一番おもしろい地図帳】
おもしろ地理学会 編
青春出版社
2005-7-10
受験に役立つか立たないかで、世界史や日本史などの教科が扱われる国というのは、若い人達にとって大変不幸なことだ。
地理も同じ立場に追い込まれているようだ。
自分の子供達を見ているとそう思う。
何しろ地理に関する常識がない。なさ過ぎる。
まあ、自分の子供に限ったことかも知れないので、これを一般化して考えるのは危険とは分かっているが、知らなさ過ぎる。
私らの世代は、県庁所在地とか、各国の首都の名前とかは否応なしに詰め込まれたはずだ。
私自身はあまり得意ではなかったが、それでも一応常識的な地理の素養は身に付けていると思う。
例えば、滋賀県はどこにある?と子供たちに聞いても、滋賀という名の県があることさえ知らない。
海外の主要国の首都の名前などになると、もうボロボロだ。
だから、こういう本で興味深いだろうというという項目を挙げても、それ以前の地理の素養がない人間には、ここで挙げられた疑問の面白みが伝わらないのではないかと心配になってしまう。
私自身はかなり「あーそうだったのか」と感心するウンチクが盛り込まれていたと思う。
特に、自分が行ったことのある国や、場所についてはそうだ。
こういうウンチク本について、とやかく批評するのは野暮だが、トピックの取り上げ方はセンスがあると思う。
地理の奥深さと楽しさを伝えるという目的は十分達成できている。
ところで、日本人は地政学的な発想方法が非常に弱いといわれる。
逆に、アメリカ人や西洋人は、外交戦略を考えるうえで、地政学を非常に重要視する。
なぜ日本人は弱いのかというと、やはり日本の地理的な位置が大変影響していると思う。
世界地図の右端、Far East(極東)の島国だから、世界的な観点からポリティクスを考えるというのが苦手なのだろう。
この本でも指摘されているように、アメリカ人でさえも日本は太平洋を挟んだ隣国ではなく、世界にとっては遥か彼方の未知の国というのが一般的な感覚だ。
日本は全ての行き止まりだ。日本は伝達者となったことはなく、いつの時代でも最終地点なのだ。
だから日本人は相手に伝達することが不得意なのだろう。
その代わり、最終地点だからそこでは全てが洗練される。技術でも、文化でも、芸術でもだ。
日本の文化ほど洗練された文化はないだろう。
この日本人の特色については、大いに自信を持つべきだ。
日本人の特質を考える上で、日本の地理的な位置が大きく影響しているということを、もう少しいろいろなところで指摘されても良いと思うが。
そろそろ日本は小さな島国という刷り込みから脱してもいいのではないか。
この本にも書いてある通り、日本の面積だって決して小さいものではない。
地理と歴史はセットとして、しっかり教育してほしいものだ。
そうすれば、日本は最終地点ではなく、発信地として洗練された情報や物、文化を世界に発信できるはずだ.......っとまで、考えてしまった。