・・・・・・っということで、このシリーズの約半分が終わって、後半に入ったところです。
【山鴫】
これはロシアの文豪トルストイとツルゲーネフが山鴫を撃ちに行ったときの架空の話。
ツルゲーネフが確かに鴫を仕留めたと言い張るのに、その獲物が見つからず、トルストイがなかなか信用せずに不機嫌になるという、なんとも大人気ない話。
あれほどの文豪同士なのに、ふたを開けてみたらなんとも子供じみたことで葛藤するのだという皮肉。
芥川にかかれば、文豪も形無しである。
【藪の中】
これは面白い。
もちろん、過去にも読んでいるが、何度読んでも面白い。
アイデアの勝利である。
黒澤明が「羅生門」と「藪の中」をミックスして【羅生門】という映画を撮ったけれど、そちらも名作。
その羅生門のアイデアを買って、何人かの外国人監督が映画を撮っている。
まさしく、芥川のアイデアの勝利である。
ある殺人があって、関係者の証言をそれぞれ記述するのだけれど、どれも肝心なところで一致しない。
自分の都合のいいように証言しているのである。
とどめに、殺された本人が死霊となって巫女の口から真相を話す。
もちろん、読者は死んだ者の証言が正しいと思うはずであるが、ところがドッコイ、死霊も自分の都合の良いように偽証しているのではないかと疑わざるを得ないのである。
短編の傑作中の傑作であろう。