■AMPKが活性化されるには
体内で起こるエネルギーを必要とする全ての反応において、ATP(アデノシン3リン酸)がエネルギー源として使われています。
ATPはAMP(アデノシン1リン酸)に2つのリン酸が結合したもので、ATPの『T』はトリ(3つという意味)、『M』はモノ(一つ)を表しています。
ATPは加水分解されリン酸を切り離す時にエネルギーを放出しますが、1つを切り離してADP(アデノシン2リン酸:『D』はジで2つという意味』)となり、ADPはさらにリン酸をもう1つ切り離してAMPとなってエネルギーを放出することもできます。ATPが2つのリン酸を1度に切り離すこともあります。
つまりADPやAMPが増加していくような状態というのは、それだけATPが減少してエネルギーレベルが低下している状態だということになります。これを感知してAMPKが活性化されます(それ以外にもメルマガに書いたような状況でも活性化します)。
AMPKが活性化されると、減少したATPを回復させるように代謝がコントロールされる。つまりATP産生は亢進して、解糖系や脂肪酸のβ酸化が促進されます。他にもインスリン非依存性の糖輸送も活性化されたりなどして良いことなのですが、AMPKは同時にATPの浪費を防ぐようにも作用します。
■AMPKはmTOR経路の負の調節因子
浪費の経路はいくつかありますが、細胞の増殖も抑制します。脂肪酸合成の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ活性化を阻害して脂肪酸の合成を抑えます。これはいいけど、同じように、アナボリズムの中心的役割であるmTOR経路を阻害してたんぱく質の合成もAMPKは阻害してしまうんですね。脂肪細胞だけでなく、筋肉の増殖も抑えてしまう。
だからトレーニング後は素早く吸収される糖質を摂って細胞エネルギーを回復させAMPKを抑えることでたんぱく質の合成をレベルを高め、筋肉の成長を促すようにする。
mTOR経路といえば、ロイシンやHMB(β-ヒドロキシβ-メチル酪酸)によってビルダーの間ではすっかりお馴染みですが、これが抑制されてしまうというのは、筋肉を発達させたいトレーニーにとってはありがたくない話。
ちなみにHMBはカタボリズム機構であるオートファジー系とユビキチン・プロテアソーム系も抑制してくれるので、バルクアップ期も減量期も上位にチョイスされる成分ですね。
BCAAやHMBのアンチカタボリック効果は明らかになっているので、AMPKによるmTOR抑制作用に対抗できると捉えていいのだろうか。
また、HMBはメバロン酸経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素に変換されて、コレステロールを合成してくれる。コレステロールと聞くと悪者扱いされやすいが、カラダにとっては必要なもので細胞膜の安定性を強くし、細胞の活動を強化してくれるから、トレーニーにとってもとても重要。 そして面白いことにHMBの摂取によってHDLコレステロールは上昇することも明らかになっているという。HMBって素晴らしいなぁ。逆にAMPKはこのHMG-CoA還元酵素も阻害します。
ということで、特にバルクアップにはHMBとトレーニング中~後のカーボって大切。もちろんホエイとクレアチンも。mTOR経路活性にはホエイやフリーフォームのロイシンに比べてHMBが圧勝。
ところでmTOR経路はC1とC2の2種類あるが(CはComplexで複合体の意味)、たんぱく質の合成を促進するのはmTORC1。特にインスリンはこれを刺激するので、サプリメントだけではなく、バルクアップ中は炭水化物が重要だという理由の1つ。
メルマガではアディポネクチンとAMPKの健康面の恩恵の素晴らしさをお伝えしましたが、バルクアップに関しては反する作用もあります。といったところがメルマガで書ききれなかったところです。
AMPKの健康面の素晴らしさの1つとしてガンとの関係はメルマガでお伝えした通りですが、mTORの話がでたので最後に少し補足を。
AMPKの作用であるHMG-CoA還元酵素や、先に述べたアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害、mTOR経路の活性を抑えること、これらはすべてガン細胞の増殖活性を低下させる効果がある。ガン細胞の増殖に関わっているのもmTORC1なので、その阻害剤はガン治療薬としても使用されている。
mTORC1の活性はインスリンによって刺激されるので、インスリンをたくさん分泌させてしまう食生活は避けたいところ。食べ物や食べ方だけでなく、ある程度空腹時間を長くするような食生活というのは健康・長寿という面では良いのかも知れない。
こんな話をすると筋肉をつけることは寿命を縮めるのか?と思ってしまう人もいるかも知れませんが、それは、お酒や甘いもの、大食いがやめられずに年々体重増加しながら『プロテインって太らない?』と言っているのと似ているような気がする。
トレーニングは健康に良いに決まっている。大事なのはその方法だと僕は思う。年齢や健康状態、自分が何を優先するかなどによって変化させていくものだろう。その中で自分の目的を達成しようと模索すること、そしてそれができる奥深さに意味がある。
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