電車の中でなくしてからわかることが揺れる
口が乾く
借りた言葉で考え借りた言葉で測り借りた言葉で語る
芝生は伸び放題で手入れするものはいない
端から枯れていく
物置の扉が途中で止まり開けも閉めもできない
自転車に乗ることができない
じゃああの頃に戻って何をしろと
過去の自分を罰するのか
あの頃の自分は私の言うことを聞かない
オリジナルはフォーマットされ続ける
今だって借りた言葉で考えている
モノクロームの男が見事なセリフを言ってのける
作られた雨の中必要以上に濡れながら息は白く
夏のシーンなのに確実に撮られたのは冬の中
とんでもないまでの決め台詞を吐いてみせる
私は手帳にメモし
来るべき未来に使う日を心待ちにする
誰もその映画を観ていないことを確認しながら
君との愛を適当にチョイスした言葉で詠う
後悔するにもしきれない
他に手帳に書かれた言葉はなかった
電車の中でなくしてからわかることが揺れる
口が乾く
手帳の紙を一枚一枚口に放り込む

