皆様、こんばんは
時々、ご質問コメントを頂きます。すぐにお答えできなくて申し訳ないのですが、(そしてすべてのコメントに回答することもできませんが)このブログを読んでくださっている方に役立つと思われる内容のコメントにはこちらでお答えしてゆきたいと思います。
こちらは9月13日にいただいたコメントから一部抜粋
顎のヒアルロン酸で舌の壊死という一文を拝見して不安になったのですが、顎で舌が壊死というとはなぜでしょうか?また、このような症状が出始めるのはいつくらいでしょうか?
はい、頻度としては非常に稀ですが、顎へのヒアルロン酸注入から舌の血流障害や壊死は起こりえます。
舌を栄養する血管である舌下動脈と、顎の正中を下から上行してくるオトガイ下動脈の枝が顎の正中でつながっていることがあり、顎の形を整えるヒアルロン酸注入で、顎の正中に針を刺したときに、血管の中にヒアルロン酸を誤って注入してしまうと、舌を栄養する動脈にヒアルロン酸が詰まってしまうことがあります。
図の黄色の〇で囲んだところに、血管の吻合があります。顎先をキュッとシャープに整えようと、顎正中(真ん中)の前面に鋭針💉で注入することはよくある手技で、顎正中の深部(骨膜上)は一般的には比較的安全な場所とされてきました。
が、患者様がこのような血管吻合を持っている場合、全然安全な場所ではなくなります・・・。
ちなみに、舌の栄養血管にヒアルロン酸が詰まった場合は、
舌の異常な痛み、耳の痛み、患側の感覚異常、発話困難、舌の片側の著しい変色などが症状として現れます。(通常、注入直後~数分、数時間)
じゃあ、顎にヒアルロン酸を入れるのは非常に危険なのか?というと、そこは知識と手技で限りなく安全にできると思いますので、ご安心ください。
医師サイドの問題ですが、
✅顎の正中(正中だけに限りませんが)はリスクエリアだという認識を持つこと
✅できるだけ鈍針カニューレを使用すること(ですが、どうしても鋭針を使用しないといけない場合もあります)
✅毎回、プランジャーを引いて吸引テストを丁寧におこなうこと
✅ゆっくり少量ずつ低い圧(動脈圧より低い圧)で注入すること
などが大変重要になってきます。
しかし、そもそもヒアルロン酸注入の怖さを知らないままやってるドクターの多いこと(顎先の正中が危険な部位である、という認識を持って注入している医師はまだ少ないかもしれません)
手早くちゃっちゃ~と注入することが、上手い、カッコいい
と勘違いしているドクターもいます。(高速道路を200キロぐらいで飛ばしてるんと一緒ですよ、事故ったらおしまいです・・・
)
もちろん安全なところは手早くですが、危ないところはホンマに慎重に、慎重に、やらないと怖いです。(車の運転と一緒で、安全なところはスピードを上げる、カーブではスピードを落とす、危ないところはいったん停止
)
そういえば、友人でもあり尊敬する医師でもある麻布ビューティークリニックの加藤聖子先生が、最近ブログにこのようなことを書かれていました。引用させていただくと・・・
注入の診療というのは非常に目と神経とを
酷使する治療です。
手術とは違って待ち時間もなく
常に神経を張っている治療で、1日の終わりには
精神的にも眼精疲労も
半端なくボロボロになります
若いドクターでも
注入治療は続けて3日以上できない
とよく言われます。
て、いやほんま、そう。
注入のご予約が多い日は、ほんとぐったりボロボロになるんです・・・。(しかし、心地よい疲れでもありますが
)
注入治療は続けて3日以上できない、というのも本当にそうでして、私の診療カレンダーを見ていただくと分かると思いますが、連続診療は安全のため、可能な限り3日上限としています。
ヒアルロン酸注入のほんとの怖さを知ってる医師は、加藤先生の言葉が身に染みるのではないかな。
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