皆様、こんばんは音譜

 

本当は怖いヒアルロン酸注入シリーズビックリマーク(なかなか好評なので、今日も興味深い症例をひとつ)

 

 

今回は血管ではなく、耳下腺管にヒアルロン酸を誤って注入してしまった場合、について解説します。

 

 

随分前のお話ですが、とある症例の経過をご紹介。

 

 

経過

 

某美容クリニック(小規模のチェーンクリニック・医師は臨床経験ほぼなしの直美(ちょくび))にて、頰の外側の凹みにヒアルロン酸を注入してもらった。注入にはカニューレではなく鋭針を使用された。注入時も注入後も特に問題は無かったが、帰宅して夕食を食べていると、痛みとともに頰が腫れてきた

 

翌日は腫れがかなり引いたが、朝ご飯を食べると再び腫れてきたため、当該クリニックを受診。原因が分からないが念のため溶かしましょう、とヒアルロニダーゼを注射されるもあまり変化がなく「しばらく様子をみましょう」と言われ、原因が分からないことに不安を感じ当院受診。

 

当院を受診されたときには、ヒアルロン酸注入から4日(ヒアルロニダーゼ注射より3日)経過しており、腫れはかなりマシになってきているものの、食事のたびに腫れがぶり返すということでした。

 

これは経過を聞いただけで一発で診断が付く事案です。

 

 

耳前窩への注入のリスク

 

 

まず、頰の外側の凹みですが、ここは非常に重要な注入部位です。下矢印

 

 

カニューレを使用して正しい層に注入を行なえば安全性は非常に高い部位なんですが、安全な層の下には耳下腺と耳下腺管があります。

鋭針で少し深めに刺してしまうと、耳下腺管にダイレクトにヒアルロン酸を注入してしまうリスクがあります下矢印

 

耳下腺管は唾液の通り道なので、ここにヒアルロン酸が詰まってしまうと唾液の流れが妨げられ、耳下腺内に唾液が貯留してぷく~っと腫れてきます。噛めば噛むほどに腫れます!

 

食事をしたら腫れてきた!ということ、痛みは軽度で虚血を疑うような皮膚色の変化が一切ないことなどから、誤って耳下腺管内にヒアルロン酸を誤注入してしまい、耳下腺管が詰まっているのだろうということは、臨床経験がある程度あれば容易に診断できます。

 

 

治療法は?

 

では、診断がついた後の対処法は?

 

 

ヒアルロニダーゼを注射する・・・というのは絶対間違いであるとは言い切れませんが、血管塞栓のケースのように、第一選択の治療ではありません。(※ヒアルロニダーゼを血管周囲に撒くと、血管内に浸透して血管内のヒアルロン酸を溶解することができます。では耳下腺管内にヒアルロニダーゼが浸透するのか?という論文が見当たらなかったのですが、おそらく少しは浸透するのではないかな?)

 

 

まず、血管と耳下腺管の大きな違いは、

 

 

血管は閉鎖空間であるのに対し、耳下腺管は長さが数センチしかなく端っこが口腔内に開放している、という点です。つまり、耳下腺管は下水が溝に排出されるように、耳下腺で作られた唾液が耳下腺管を通って口腔内に排出されます。

 

耳下腺管内に唾石という白っぽい石が出来ることがたまにありますが、まず試みるべき治療法は非常にシンプルで

 

口の中に人差し指を入れ、親指と人差し指で皮膚を挟み込むようにし、耳下腺管の走行に沿って、後ろから前へ優しくマッサージ!

 

これだけで、口腔内の奥の方(耳下腺乳頭)からコロンダッシュと石が出てきます。

 

診断も治療法も、非常に容易でシンプル。治療費のコストもゼロ(マッサージに使う手袋代だけ)です。

 

ヒアルロン酸が耳下腺管に詰まった場合も、マッサージで容易に排泄することができます。

 

 

ただし、唾石の治療の経験がないと診断もマッサージのやり方も分からない無気力

 

 

一方、ヒアルロニダーゼはとても高価な薬剤です。(なぜかヒアルロニダーゼを注射する治療費、数万円も患者様負担だったそうです・・・絶望

 

 

直美(ちょくび)で保険診療の診療経験が乏しいと、こういうときに診断ができない、診断できても正しい対処ができない、ということになります。

 

 

だから、直美(ちょくび)はいかん!のよね 緊急時の対処が出来ない施術はしてはいけませんNG

 

 

この患者様もその場で口腔内マッサージをさせていただいたところ、嘘のように症状が治りました。(治療費ゼロ、治療時間1分でした泣き笑い)※診察代のみ頂いております。

 

クリニック選びは慎重に、安価な治療費や派手な宣伝に惑わされないように、ご自身の安全はご自身で守りましょう。

 

 

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今回は先にこちらのお写真を見てください下矢印

 

(あとからごそごそとゴミ箱の奥から引きずり出してきたので、針が曲がっていたり、シリンジの先にビヒ割れがあったりしますが、そこではありません!)

 

少し前の出来事です。

 

法令線基部の骨膜上にヒアルロン酸を注入しようとした際に(俗称:貴族注射などと呼ばれるやつです)、針先が血管内に入っていないか確認する目的で逆血テストを行なうと、針先の空間に戻ってきました・・・真っ赤な動脈血ガーンガーン

 

基本、法令線基部への注入は安全のためカニューレを使うのですが、たまに法令線基部の骨膜上のスペース(Deep Piriform Space)にカニューレがど~しても入らない方がいらっしゃいます。

 

原因としては色々ありますが、ど~してもカニューレが入りづらい場合、やむなく鋭針を使用するケースが年に数回あります。

 

理論上は、鋭針でもしっかり針先を骨膜上に固定して注入すれば安全ということになりますが、現実はそうではありません注意

 

 

二重丸まずはカニューレで注入する場合、ざっくりですが図で示すとこんな感じです。

 

 

塞栓のリスク血管である顔面動脈はスペースの上を走行しているので、カニューレをちゃんとスペース内(Deep Piriform Space)に挿入していれば、100%安全!(これを顔面動脈にぶっ刺すと、恐ろしいことになるのは前記事で書きました)

 

スペース内にちゃんと針が入っているかは、慣れると手の感覚で分かります。(それでも基本に忠実に安全確認は怠らないように)

 

 

二重丸次に、鋭針を使用する場合はこんな感じです。

 

 

針先をしっかり深部まで挿入し、そこで固定して注入すれば、通常は安全ということになります。

 

 

では、なぜそれでも血管内に針先が入ってしまうのか?

 

 

人間の体って、必ずしも解剖の教科書通りではありません。

 

 

生まれつき、後天的な手術や外傷など、さまざまな理由でスペース(Deep Piriform Space)がとても狭くなってしまっていることがあります。そうすると、針先を深部まで挿入したとしても・・・

 

こんな感じで、顔面動脈に偶発的に針が刺さってしまうことがあるんです。

 

 

なので、鋭針を使用しないといけないときは、いつもよりさらに緊張感が増します右上矢印

 

 

大事なのは、手の感覚とゆっくり針を進めること、でしょうか。

 

 

長年毎日注入を行なっていると、ある程度太い血管を刺してしまった場合、言葉で上手く説明出来ないのですが、「あ、血管当たった驚きびっくりマークという感覚が分かるようになります。これはもう慣れです。

 

 

このときも、!!といういつもと違う感覚がありまして、

 

 

もしや・・・・と、いつもより長めに吸引テストを行ないました。吸引テストはかなり長く吸引しないと血液が戻ってきません

 

 

採血の注射器と違って、シリンジの中~針先まで粘弾性のあるヒアルロン酸が充填されている注射器なんだから、血管に針が刺さっていても、採血みたいにしゅわ~っとは血液が戻ってきませんわ。

 

 

手元に嫌な感覚があったので、いつもより長く吸引してみたところ、10秒以上経過してやっとチョロっと血液が戻ってきました。

 

真っ赤な酸素たっぷり、動脈血~不安

 

 

ここであわわ~~~あせるとなって慌てて針を引っこ抜くと、皮下で内出血して腫れてしまうことがあるので、慌てずもう片方の手にガーゼを用意してからゆっくり針を抜いて、すぐにガーゼで圧迫すれば大丈夫です。

 

こういうとき、医師側が「わっあせるとか、「やばっあせるとか声を発したり、ビビってジタバタすると患者様に余計な不安を与えてしまうだけなので、基本「素の顔」のまま、慌てず対処することも大切です。(左矢印医師向けアドバイス)

 

 

誤解しないでいただきたいのは、カニューレを挿入する穴を開けるときに針で皮膚を刺しますが、この時に穿刺用の針が血管に当たってしまうことは頻繁にあります。また、鋭針での一般的な注入(法令線の浅いシワなど)時にも、毛細血管に針が当たってしまい、それが原因で少し腫れたり内出血が出ることがよくありますが、これとリスク血管に針を刺して血管内にヒアルロン酸を注入してしまう塞栓とはまったく別ものです。

 

話を戻して、

 

では最悪、吸引テストを9秒しかせずに「大丈夫!」と思ってそのまま血管内にヒアルロン酸を注入してしまった場合はどうなる?

 

この場合でも、非常にゆっくり少量ずつ注入を開始すれば、ちょっと入れた時点で「なんか変だ!」ということに、経験豊富な医師であれば気がつくと思います。

 

まず、血管内に注入するのと皮下組織内に注入するのとでは、プランジャーを押す感覚(圧)が違う。そこで、まず「あれ?」ってなるはずだし、注入しているのにその分皮膚が盛り上がってこないとか、周囲の皮膚が虚血で白くなるとか、患者さんが異常に痛がるとか(←ただし通常の注入でも痛がりさんには痛い汗)・・・、いろんなサインが拾えるはず。

 

そして、注入量が0.1ml以下であれば、もし血管内に誤注入したとしても重篤な結果になることはほぼありません。

 

失明や皮膚壊死などに至っている例は、注入手技が早くて、注入量も多い

 

 

基本に忠実にやっていれば、塞栓事故は事前に回避できます。

 

それでもやっぱり鋭針はできるだけ使いたくないし、2~3年に一度ぐらいは、安全なはずの層でこうやって動脈に針が刺さることがある。全例、注入前に気が付いて回避できていますが、やはりヒヤッとしますね不安

 

またこういう注意喚起もアップしていきたいと思います。

 

 

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皆様、こんばんは音譜

 

バタバタしていて1ヶ月もあいてしまいましたが、前回記事の続きです下矢印

 

 

 

 

なぜ塞栓に気づけなかったのか?

さて、血管塞栓の兆候が明確にあったにも関わらず、なぜこの医師は塞栓を疑うことなく放置してしまったのか?

 

 

その理由はなんと、

 

 

ヒアルロン酸注入という施術によって血管塞栓による皮膚壊死という副作用が起こりうることを知らなかった・・・

 

 

ええ~~~っポーン、いやいやいやいや~おいで(予想の斜め上をいく展開)

 

 

いうたら、信号で止まらないといけないことを知らずに車の運転してるのと同じレベルです。いくら信号が灯っていようとも、で止まらないといけないことを知らなかったら止まれませんもんね。

 

 

これ聞いたときは、椅子から転げ落ちそうになりましたチーン

 

 

医師の経歴

 

通常あり得ない原因(?)が分かり、そのクリニックのホームページを見てみました。

 

大手ではないけれど、全国にチェーン展開している美容クリニック。

 

すべての分院の医師の経歴を調べると、全員が「直美(ちょくび)」とまではいかないけれど、他科からの「転美(てんび)」でした。

 

 

研修医を終えたあと他科でしばらく働いた後に、いきなり美容をやり始めるという、直美と並んでこれも最近多いパターンです。

 

 

それまで何科(外科系?内科系?)でどんな仕事をしていたなどは一切不明(記載なし)で、「○○年~某美容クリニックで勤務」みたいにいきなり美容の経歴が始まる感じ。

 

経歴詐称みたいなのも多い中、そこは正直に記載してあったので、そこはまぁまだ悪徳クリニックとまでは言いがたいかもしれんけども。

 

総院長らしき医師もそんな経歴で、誰ひとりとして形成外科や皮膚科の診療経験一切なし。つまり指導できる医師がひとりもおらん、ということです。

 

百歩譲って、

 

それでも学会や書籍などで少しでもヒアルロン酸注入について学んでいれば、学ぼうとしていれば、塞栓のリスクや怖さについて、知ることが出来ていたはず。(逆に塞栓のリスクを知らないまま、どうやって施術を学んだのか謎でしかない真顔

 

 

で、結局こういう事故を起こしても自分で後始末できないから、他院に丸投げあせる

 

 

この患者様に関しては残念ながら結果的に鼻翼を救済できず壊死してしまい、総合病院の形成外科で再建手術をすることになりました。

 

一生、鼻の変形が残ります。・・・一生です。

 

 

こういう悲惨な事例を少しでも減らしたい、と思って私も長年せっせと書籍を書いたり、学会で講演したりしてきたけど、結局この手の輩には一切届かないという虚しさが・・・。(学会来ないし)

 

 

このケースは、全国で起こっているほんの一例に過ぎません。

 

 

注意喚起のために、また実際に起こった事例を今後もご紹介してゆきたいと思います。

 

派手な宣伝や謳い文句、安価な施術費用に釣られて、このような危ないクリニックで施術を受けないように注意してください。

 

つい最近も友人の先生が雑誌「形成外科」に論文を投稿されていましたが、その内容が

 

レーザー脱毛のコースを契約したところ無料でヒアルロン酸注入がついてきて、結果、血管塞栓により失明までは至らなかったものの、複視を生じてしまったというケースでした。(無料といいつつ、高額な脱毛コースにその料金も入っていると思います)

 

手を変え品を変え、勧誘しますね~。

 

 

※特定のクリニックや医師を糾弾することが目的ではありませんので、該当クリニック名などのご質問には一切お答えできません。

 

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