皆様、こんばんは
今回は先にこちらのお写真を見てください

(あとからごそごそとゴミ箱の奥から引きずり出してきたので、針が曲がっていたり、シリンジの先にビヒ割れがあったりしますが、そこではありません!)
少し前の出来事です。
法令線基部の骨膜上にヒアルロン酸を注入しようとした際に(俗称:貴族注射などと呼ばれるやつです)、針先が血管内に入っていないか確認する目的で逆血テストを行なうと、針先の空間に戻ってきました・・・真っ赤な動脈血

基本、法令線基部への注入は安全のためカニューレを使うのですが、たまに法令線基部の骨膜上のスペース(Deep Piriform Space)にカニューレがど~しても入らない方がいらっしゃいます。
原因としては色々ありますが、ど~してもカニューレが入りづらい場合、やむなく鋭針を使用するケースが年に数回あります。
理論上は、鋭針でもしっかり針先を骨膜上に固定して注入すれば安全ということになりますが、現実はそうではありません
。
まずはカニューレで注入する場合、ざっくりですが図で示すとこんな感じです。

塞栓のリスク血管である顔面動脈はスペースの上を走行しているので、カニューレをちゃんとスペース内(Deep Piriform Space)に挿入していれば、100%安全!(これを顔面動脈にぶっ刺すと、恐ろしいことになるのは前記事で書きました)
スペース内にちゃんと針が入っているかは、慣れると手の感覚で分かります。(それでも基本に忠実に安全確認は怠らないように)
次に、鋭針を使用する場合はこんな感じです。

針先をしっかり深部まで挿入し、そこで固定して注入すれば、通常は安全ということになります。
では、なぜそれでも血管内に針先が入ってしまうのか?
人間の体って、必ずしも解剖の教科書通りではありません。
生まれつき、後天的な手術や外傷など、さまざまな理由でスペース(Deep Piriform Space)がとても狭くなってしまっていることがあります。そうすると、針先を深部まで挿入したとしても・・・

こんな感じで、顔面動脈に偶発的に針が刺さってしまうことがあるんです。
なので、鋭針を使用しないといけないときは、いつもよりさらに緊張感が増します
。
大事なのは、手の感覚とゆっくり針を進めること、でしょうか。
長年毎日注入を行なっていると、ある程度太い血管を刺してしまった場合、言葉で上手く説明出来ないのですが、「あ、血管当たった
」という感覚が分かるようになります。これはもう慣れです。
このときも、「
」といういつもと違う感覚がありまして、
もしや・・・・と、いつもより長めに吸引テストを行ないました。吸引テストはかなり長く吸引しないと血液が戻ってきません。
採血の注射器と違って、シリンジの中~針先まで粘弾性のあるヒアルロン酸が充填されている注射器なんだから、血管に針が刺さっていても、採血みたいにしゅわ~っとは血液が戻ってきませんわ。
手元に嫌な感覚があったので、いつもより長く吸引してみたところ、10秒以上経過してやっとチョロっと血液が戻ってきました。
真っ赤な酸素たっぷり、動脈血~
ここであわわ~~~
となって慌てて針を引っこ抜くと、皮下で内出血して腫れてしまうことがあるので、慌てずもう片方の手にガーゼを用意してからゆっくり針を抜いて、すぐにガーゼで圧迫すれば大丈夫です。
こういうとき、医師側が「わっ
」とか、「やばっ
」とか声を発したり、ビビってジタバタすると患者様に余計な不安を与えてしまうだけなので、基本「素の顔」のまま、慌てず対処することも大切です。(
医師向けアドバイス)
誤解しないでいただきたいのは、カニューレを挿入する穴を開けるときに針で皮膚を刺しますが、この時に穿刺用の針が血管に当たってしまうことは頻繁にあります。また、鋭針での一般的な注入(法令線の浅いシワなど)時にも、毛細血管に針が当たってしまい、それが原因で少し腫れたり内出血が出ることがよくありますが、これとリスク血管に針を刺して血管内にヒアルロン酸を注入してしまう塞栓とはまったく別ものです。
話を戻して、
では最悪、吸引テストを9秒しかせずに「大丈夫!」と思ってそのまま血管内にヒアルロン酸を注入してしまった場合はどうなる?
この場合でも、非常にゆっくり少量ずつ注入を開始すれば、ちょっと入れた時点で「なんか変だ!」ということに、経験豊富な医師であれば気がつくと思います。
まず、血管内に注入するのと皮下組織内に注入するのとでは、プランジャーを押す感覚(圧)が違う。そこで、まず「あれ?」ってなるはずだし、注入しているのにその分皮膚が盛り上がってこないとか、周囲の皮膚が虚血で白くなるとか、患者さんが異常に痛がるとか(←ただし通常の注入でも痛がりさんには痛い
)・・・、いろんなサインが拾えるはず。
そして、注入量が0.1ml以下であれば、もし血管内に誤注入したとしても重篤な結果になることはほぼありません。
失明や皮膚壊死などに至っている例は、注入手技が早くて雑、注入量も多い。
基本に忠実にやっていれば、塞栓事故は事前に回避できます。
それでもやっぱり鋭針はできるだけ使いたくないし、2~3年に一度ぐらいは、安全なはずの層でこうやって動脈に針が刺さることがある。全例、注入前に気が付いて回避できていますが、やはりヒヤッとしますね
。
またこういう注意喚起もアップしていきたいと思います。



いわクリ日記もよろしくお願いします

美容治療予約専用ダイヤルはこちら
080-7551-0618
症例写真やクリニックからのお知らせはこちら

わたくし個人的な趣味の風景写真はこちら

我が家のにゃんこたちはこちら

フォローしていただけると嬉しいです
。