
「ボディガード牙/修羅の黙示録」
DVD題:ボディガード牙2/修羅の黙示録
別題:修羅の黙示録2/ボディガード牙
製作:1995年
▼主人公・牙直人は空手道徹心会に在籍する空手の達人だが、その正体は巨額の報酬で動く凄腕ボディガードである。師・大東徹源の命によって任務を遂行する直人は、今日も様々な空手家たちと壮絶な死闘を繰り広げるのであった…これは梶原一騎原作の漫画『ボディガード牙』の大まかなあらすじです。
この『ボディガード牙』は、これまでに千葉真一と大和武士の主演による2つの実写版が作られていて、どちらも2作ずつ存在します。本作は大和武士版の第2作にあたり、なんと台北で海外ロケが行われています。
そのため、先に言ってしまいますが格闘シーンはなかなかの出来になっています。ちなみに功夫映画ファンとしては現地の出演者に注目したいところですが、特にこれと言って有名な俳優は出ていない模様。エンドテロップが全部英語で表記されるため、詳しく解らないのが残念です。
■今回、ボスの真樹日佐夫から大和に下された任務は「台北に1週間滞在する荒井乃梨子をガードせよ」というものだった。依頼人の荒井は多くを語らず、とりあえず大和は真樹センセイの道場(台北支部)に宿泊。支部長の高捷(『炎の大捜査線』で劉華の手下を演じる)と合流するが、いきなり謎の刺客に襲われてしまう。
一体彼らは何者なのか、そして荒井の目的とは?……実は、彼女の父親はかつて真樹センセイとの戦いに敗れ、自害した空手家であった。荒井は密かに徹心会空手への復讐を目論んでおり、兄である高捷とともに大和へ刺客を差し向けていたのである。
しかし、荒井は大和に惹かれつつあり、高捷もそれには気付いていた。そんな煮え切らない態度の兄妹に対し、世界中に支部のある徹心会空手を乗っ取ろうとしていた高捷のスポンサー・洪流は「アンタが弱いからワシの手でケリを付けるぞ」と、一方的に手を切ってしまった。
洪流は手下に荒井たちを襲わせ、敵の凶弾が大和の脚を貫いた。絶体絶命の2人であったが、真樹センセイの連絡でマニラから来た助っ人・菊池隆則(アナザーアギト!)が到着し、なんとか事なきを得るのだった。
駆けつけた高捷の口から真相が明かされ、彼は遺恨の精算にと徹心会空手との対戦を希望。大和が負傷しているので、菊池が代わって相手をすることになったが、一方で洪流らもケリをつけようと動き出していた。
菊池VS高捷の死闘、暗躍する洪流一派、そして大和と荒井…三者三様の思いを秘め、決着の時は来た!
▲先述の通り、本作の格闘アクションは出来が良いです。台湾側のゲストである高捷はもちろん、菊池の動きも力強さに満ちていて、この2人が闘うラストバトルも激しいものとなっています(本作のアクション指導は、真樹道場・沖縄支部の安里昌明氏と台北側の人が担当)。
ストーリーはいつものマキ印らしい話ですが、クライマックス以降の展開には少々疑問が残ります。というのも、本作にはストーリーの展開上ありそうな洪流組織との決戦が無く、手下たちの襲撃が失敗したことを知った洪流が悔しがったところで、唐突に終わってしまうのです。
作品の尺も1時間ちょっとしか無く、何故このようなオチで終わってしまったのか不思議でなりません。続編狙いのオチにしては不自然だし、仮にそうだとしても主人公が一切戦わないまま終わるのはもっと不自然です。
撮影中に何らかのアクシデントが発生し、大和がアクションシーンを演じられなくなったので、このような形で終わらせるしかなかったのかもしれませんが…。どうしてこんな謎だらけの結末になったのか、非常に気になるところであります。

「プロジェクトD」
「燃えよデブゴン9」
原題:醒目仔蠱惑招/肥龍功夫精/功夫精
英題;The Incredible Kung Fu Master
製作:1980年(79年・81年説あり)
▼やはり洪金寶(サモ・ハン・キンポー)は凄い、と改めて感じた作品である。本作が作られた当時、香港映画界ではコメディ功夫片が大流行しており、大手プロも弱小プロもその手の作品を製作しようと躍起になっていた。こうして生まれた作品は、ほとんどがジャッキーの『拳』シリーズっぽいものばかりで、どれもこれも似たり寄ったりの内容に終始している。
しかし、その点でサモハンは違った。彼の手掛けたコメディ作品は、「仇討ちとヘンテコ修行と乞食の師匠」というコメディ功夫片のお約束をわざと外し、独自の笑いに挑戦しているのだ。徹頭徹尾ギャグ満載の『燃えよデブゴン2』、凸凹コンビが騙しあう『燃えよデブゴン3』、お宝争奪戦を描いた『お助け拳』、驚きの展開を見せる『斗え!デブゴン』、1人2役に挑んだ『豚だカップル拳』…作品の質はともかく、どれもこれも型に捕らわれない楽しい作品ばかりだ(『猿拳』『燃えよデブゴン7』はコメディ功夫片の典型だけど、物語はちゃんとヒネってある)。
そして本作はサモハンが台湾のプロダクションに招かれて撮ったもので、今回も彼の独自性が発揮された作品となっている。本筋はヘンテコ修行を描いた作品だけど、ストーリーライン自体はなかなか凝っていて興味深い。しかも本作はサモハン主催の武術指導グループ・洪家班の初仕事だったりするので、サモハン映画としても重要な作品といえるかもしれないが…さて?
■陳龍と黄蝦の2人は大の仲良し兄弟。それでもって2人とも功夫道場の師匠なのだが、乱暴狼藉を働いた李海生(リー・ハイサン)を懲らしめた際、彼の余計な一言によって2人は仲違いしてしまう(ただし2人の子供である孟海と黄杏秀は恋仲)。そんな師匠コンビの元に、名士の高飛(コー・フェイ)から「息子の大細眼&鐘發をそれぞれの道場に入門させたい」との申し出があり、2人の師匠は対抗心を燃やす一方だ。
その頃、米屋で下働きをしていた董[王韋](トン・ワイ)は、配達先の道場で大細眼&鐘發とそれぞれ接触。彼らを偶然にも殴ったせいで、董[王韋]は一方的に逆恨みされてしまう。オマケに仕事もクビにされた董[王韋]は、友人だった孟海&黄杏秀の勧めで2つの道場に厄介になる…が、程なくして道場の二股が発覚したため、結局は破門される事となった(そりゃそうだ)。
行き場をなくした董[王韋]は、とりあえず町中で知り合った功夫の達人・サモハンのところへ転がり込んだ。サモハンによる修行はとても厳しかったが、功夫が習いたかった彼はこの困難に耐え抜き、立派な功夫使いへと変貌を遂げていく。大細眼&鐘發にもキッチリとリベンジするが、事態は董[王韋]の知らない所で動いていた。実は大細眼&鐘發は兄弟でもなんでも無く、高飛が2つの道場から技を盗むために派遣した刺客だったのだ。では高飛の目的とは…?
刺客の惠天賜を迎え撃つ一幕を挟み、遂に高飛の思惑が発覚する。高飛はあの李海生の弟で、兄の復讐を果たそうと2人の師匠の技を盗み、対策を立てた上で叩き潰そうと画策していたのだ。高飛は師匠コンビに挑みかかるが、倒すどころか逆に2人を和解させた挙句(笑)、董[王韋]に呆気なく倒された。だが、そこに李海生が私兵部隊を率いて姿を現した。董[王韋]はサモハンと一緒に、この強大な敵に立ち向かう!
▲師匠の話と董[王韋]の話があまり絡んでいない気がするが、クドすぎないコメディ描写と高度な功夫アクションが炸裂した傑作である。本作は主な登場人物が二対の存在として描かれていて、サモハンと董[王韋]の師弟関係・大細眼と鐘發のおバカっぷり・孟海と黄杏秀のほのかな恋模様・陳龍と黄蝦の関係修復・高飛と李海生の極悪兄弟の末路など、ほとんどのキャラが2人1組として扱われている。
ユニークな試みだが、これが成功したかといえばそうとは言えず、故に先述の「エピソードとエピソードの剥離」が生じてしまっている。これはちょっと惜しい気もするけど、その辺は功夫アクションで上手くカバーされているのでひと安心。本作のアクションは洪家班最初の大仕事というだけあって、縦と横の動きを取り入れることで一味違った殺陣を作り上げている。
その描写が最も顕著なのがクライマックスの集団戦で、私兵部隊から逃れようと駆け抜ける董[王韋]と、それを追って立体的な陣形を組む私兵部隊との闘いは、カメラ据え置きでビシバシ闘うだけでは表現できない、躍動感溢れるバトルとなっている。
もちろん最後の董[王韋]&サモハンVS李海生も非常に濃厚だし、功夫映画ファンは抑えておいて損のない作品。このへんのデブゴン映画は入手困難な作品もあるので、ジャッキーのDVDBOXみたいに全部まとめてDVD化して欲しいなぁ……あ、出来れば元彪の主演作セットと、恒生電影の何宗道主演作セットと石天龍の(以下、贅沢すぎる要望が続くので割愛)

鐵馬[馬留]/鐵猴子
英題:The Iron Monkey/Bloody Monkey Master
製作:1977年
▼ショウ・ブラザーズの看板スターであった陳觀泰(チェン・カンタイ)が、外部のプロダクションで製作した入魂の監督主演作である。ショウブラ側は専属のスターが勝手に他社で映画を作った事で激怒したらしいが、その後も陳觀泰はたびたび独立プロ功夫映画に出演し、またショウブラに対しても同社が崩壊する寸前まで付き従ったという。
陳觀泰がそこまでして製作したかったのは、彼自身が習得していた猴拳の一種・大聖劈掛門の映画だった。自らの大聖劈掛門に対する強い思い入れは、オープニングの激しい演舞シーンや、武術指導に同じ門派で修行した兄弟弟子の陳木川を起用している事からもよく解る。もちろん相手役も中途半端では意味がないので、同じショウブラで活躍していた梁家仁・戚冠軍・唐偉成に加え、金剛・史仲田ら台湾の強豪たちを出演させている。
それにしても、陳觀泰1人でここまでのスタッフを用意するのは並大抵の苦労ではなかったはずだ。戚冠軍も当時は売れっ子功夫スターの1人だったし、先輩の依頼だけで外部の作品へ出演するのはリスクが伴ったに違いない。本作に参加している鮑學禮が色々とアシストしてくれたものと思われるが、もしかすると秘密裏にあの"大導演"の後押しもあった……のかもしれない("大導演"は戚冠軍の『胡惠乾血戰西禅寺』にも関わっているらしいが、真相は不明)。
■時は清朝時代、鷹拳の達人である政府高官・金剛は、配下の梁家仁・唐偉成・史仲田に命じて反政府勢力の討伐を目論んでいた。
名家のドラ息子である陳觀泰は気楽な日々を送っていたが、彼の家族が反政府派に属していたことから、彼の運命は大きく変わっていく事となる。三幹部によって陳觀泰の一族は全て逮捕され、たまたま外出していた陳觀泰は九死に一生を得た。金剛は即座に陳觀泰の家族全員を処刑し、陳觀泰はこの日を境に復讐に生きる決意を固めるのだった。
朝廷にリベンジするのなら、やっぱりここは復讐鬼専門養成機関・少林寺の出番だ(笑)。少林寺のお供え物を盗んでいた陳觀泰は、俗家弟子の戚冠軍に説得されて少林寺に入門。復讐目的なので多くを語らない陳觀泰は、仲間内での折り合いは悪かったものの、ただひたすらに修行へ打ち込んでいった。
全ては一族の仇である三幹部と金剛を倒すため!ここまで復讐一筋という主人公も珍しいが、ストイックな陳觀泰がなかなか格好いい。その格好よさに館長も惚れたのか(違)、特別に猴拳を教えてもらえることとなった。猴拳師匠・陳木川は厳しい修行を課し、陳觀泰は死に物狂いでこれに耐え続けた。
そんなある日、朝廷から少林寺に「うちで働かないか?」とスカウトがやって来た。もちろん少林寺は断ったが、敵に近付くチャンスなので陳觀泰はこれに応募。あえて清朝の犬に成り下がることで、飼い主の喉元に噛みつこうとしたのだ。金剛に接近すべく、与えられた指令を黙々とこなしていく陳觀泰。いつしか部下を従える地位まで出世していたが、一方で金剛たちは少林寺を危険視しつつあった。
陳觀泰は面会に来た戚冠軍たちを殺すよう命じられるも、なんとか戚冠軍だけは逃がす事に成功する。しかし、今度は少林寺の焼き討ちに参加するよう要請されてしまい、もはやこれ以上の潜入工作は不可能だ…焼き討ちの前に全てを終わらせるため、陳觀泰は三幹部と金剛に決死の戦いを挑む!
▲大聖劈掛門は猴拳の一種だそうだが、本作のアクションは『モンキーフィスト・猿拳』『マッドクンフー・猿拳』のようなアクロバティックなものとは違い、地に足を付けた重みのあるファイトで見せている。作品そのものも復讐&特訓というお馴染みの展開ではあるが、ストーリーは細部まで丁寧に作られており、大人数のモブシーンや多彩なロケーションの効果もよく出ている。
また、復讐を目指す主人公の悲壮なまでの決意は、本作を製作するに至った陳觀泰自身の決意にも見え、実に興味深い。監督兼主演作にありがちな「オレ様映画」にもなっていないし、間違いなく本作は陳觀泰にとって代表作の1つとして数えられるべき作品といえるだろう。
功夫アクションについてもクオリティが高く、何よりも陳觀泰の力強い猴拳が素晴らしい。中盤までの小競り合いや修行もいい感じだが、ラストの四連戦で一気にヒートアップしていく。まず最初は一族を陥れた唐偉成との対戦で、暗器を使う相手に陳觀泰は快勝!続いて手技を駆使する梁家仁を難なく倒すと、史仲田とウェポンバトルに突入する。ここも三節棍で制し、雑兵を蹴散らすといよいよ金剛との決戦だ!
堅い槍をむしり取るほどの威力を持つ鷹爪拳に対して、陳觀泰は低い位置からの集中攻撃でこれに立ち向かう。この豪腕同士の対決は技の応酬が面白く、ラストに相応しい激戦となっている。これ以外にも陳觀泰VS戚冠軍や陳觀泰VS陳木川など、見どころとして足りうる名ファイトも多いので、功夫映画ファンは要チェックの作品か。こちらも是非国内版を出してほしいのですが……って、なんか傑作を見るたびに同じことを言ってるような気が…(爆

Bloodmoon
中文題:終極絞人環
製作:1997年
▼『酔拳』をプロデュースした香港映画界の名匠・呉思遠(ウン・スーユェン)は、80年代の中頃から欧米マーケット向けの動作片の製作に着手し、良質な格闘映画を世に送り出していた。最初に製作した『シンデレラ・ボーイ』は『ベスト・キッド』に便乗して作ったものだったが、呉思遠は次第に勢いを増していくマーシャルアーツ映画というジャンルに着目し、本格的なアメリカ進出を目指すこととなる。
そうして作られたのが『キング・オブ・キックボクサー』『レイジング・サンダー』『ブラッド・ブラザーズ』『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』『スーパーファイト』で、いずれもレベルの高い格闘アクションが構築されており、呉思遠がいかに海外市場へ力を入れていたか窺えるものとなっている。
そうした中、唯一日本上陸を果たせなかった呉思遠のマーシャルアーツ映画がこの『Bloodmoon』である。『シティ・ハンター』のゲイリー・ダニエルズが主演し、格闘家のチャック・ジェフェリーズが彼の相棒として参加。そして最大の敵として、『太極神拳』で豪腕を振るったダレン・シャラヴィといった豪華メンバーが出演している。
このキャストで監督兼武術指導が『スーパーファイト』の梁小熊(トニー・リャン)とくれば、作品の質は保証されたも同然だ。ちなみに本作は呉思遠が手掛けた最後のマーシャルアーツ映画で、思遠影業公司が製作した最後の動作片でもあるため(※同社は2008年に呉京(ウー・ジン)の『狼牙』を製作しているので厳密には違うのだが)、彼にとってもターニングポイントとなった作品…なのかもしれない。
■(全編英語だったので一部推測入ってます)
赤い満月の夜…ニューヨークでは格闘家を狙った連続殺人事件が発生していた。ボクサーのハキム・アルストン(『アルティメット・ディシジョン』の棒術使い)が、レスラーのロブ・ヴァン・ダムが、次々と格闘殺人鬼ダレンによって殺されていく。
この事件を担当したNY市警のチャックは、捜査に協力するよう元刑事のゲイリーに協力を要請するが、彼は過去のトラウマによって戦意を失っていた。しかしダレンの凶行は続き、ゲイリーの師匠?であったケン・ケンセイ(本名は片岡昇という日本人で、NYにて剣道クラブを開いているらしい)も殺害されてしまう。事ここに至り、現場に復帰したゲイリーは事件解決の為に戦うことを誓い、チャックとコンビを組んで捜査に当たるのだった。
先のケンセイ殺害現場はネットで生中継されていたので、とりあえず2人はネット廃人のオッサン(エロチャットしながら『スーパーファイト』を視聴中・笑)に助力を仰ぎ、動画を配信していた闇サイト「Blood on The Moon」のアクセスに成功する。相手とメールで会話しつつ住所を逆探知した2人は、敵の現在地を把握するなり直行…したのだが、そこには囮のパソコンだけが放置されていた。
道中、師匠の養女でゲイリーの姪?であるブランディ・ロッチが「お義父さんの仇を討ちたい!」と付きまとうので、2人はクラブで彼女を撒くことに。ところが、そこで彼女がチンピラと乱闘している現場を、あのダレンに見られていた。ロッチが襲われると察知したゲイリーたちは、彼女の自宅で大暴れを始めていたダレンを発見!なんとか奴を退けたが、ロッチは危険を避けるため捜査に同伴することとなった。
一方、今日もダレンによってキックボクサーが殺されていた。被害者のダイイングメッセージを見た3人は、これまでの被害者がみんな格闘技のチャンピオンだったと気付き、被害者全員があるチャンピオンシップに出場していた事を付き止めた。実はダレンも大会参加者の1人で、今や襲われていない参加者はダレンと他の1人だけとなっている。ゲイリーたちはこの2人のどちらかが犯人だと確信し、まず最初にダレンじゃない方の男を確保すべく動き出した(ちなみにダレンは仮面を着けて犯行に及んでいるので、誰も素顔を知らない)。
そのころ、安全のために同行を拒否されていたロッチが町中で偶然ダレンを発見!さっそく後を追い、敵の根城に潜入した彼女は、そこで敵の次なるターゲットがゲイリーである事を知った。すぐさまロッチはゲイリーたちに住所を伝えるが、現れたダレンによって奮戦むなしく殺されてしまう。
ダレンの目的は最強のチャンピオンになることで、彼にとって勝利とは試合の判定ではなく、相手を叩きのめして殺すことであった。先の格闘大会の参加者を襲ったのも、1度だけ手合わせをしたゲイリーやロッチを執拗に狙った動機も、全ては刃向かう相手を殺して勝ちを得ようとする、異常なまでの「勝利への執着」によるものだったのだ(たぶん)。
ゲイリーと雌雄を決するべく、別居中だった彼の妻子を人質に取ったダレンは「1人で廃工場に来い!」と脅迫する。ゲイリーは単身ダレンの元へと向かうが…?
▲やはり呉思遠は期待を裏切らない!今回も濃密な格闘アクションとケレン味溢れる展開が炸裂していて、まさにシリーズ最終章に相応しい傑作となっている。
「シリアルキラーが格闘家」というのは『タイガー・クロー』でもやっているネタだが、アクションのクオリティは本作が数段上で(ただし危険度は楊斯の方が上かも)、梁小熊の指導による格闘シーンは相変わらずハイレベルなものを残している。個々のファイトシーンはどれも趣向を凝らしていて、シチュエーションが被っているバトルは殆ど無く、さながらアクションの見本市と化しているのだ。
特に注目すべきはゲイリーとダレンの動きで、どちらも本作がベストワークといってもいい活躍を見せている。ゲイリーは開始20分を過ぎてからの登場となるが、事件現場で間違えてチャックと闘ったり、チンピラ連中を軽く蹴り飛ばしたりと切れ味のあるファイトを繰り広げ、まるで香港映画時代に戻ったかのような軽快なアクションをこなしていた。
一方のダレンも、ゲイリーとは対照的にオープニングからいきなり登場し、格闘家たちを容赦なく血祭りに上げていく傍若無人ぶりを披露。鉄の靴と鉄製の義指(これが本当の鉄指拳!)を武器にゲイリーと戦う様は圧巻であり、その変幻自在の蹴りは華麗さすら感じさせる。この2人が闘うラストバトルはシリーズの集大成というべき死闘で、廃工場を縦横無尽に駆け巡る様はなんとなく『ポリス・ストーリー2』のラストを思わせるものとなっている。
やっぱり呉思遠のマーシャルアーツ映画は面白い!これで当方が未見なのは『ブラッド・ブラザーズ』だけなので、こうなったら是が非でも入手して視聴にこぎつけたいと考えています。…ところで、本作にはキース・ヴィダリやジョー・ルイスが出演しているとの事ですが、当方はどこにいたのかよく解りませんでした(爆

「少林寺必殺舞扇拳」
「少林寺マスター」
原題:方世玉大破梅花椿
英題:The Secret of the Shaolin Poles/Prodigal boxer 2
製作:1977年
●少林英雄・方世玉こと孟飛(メン・フェイ)は、各地で暗躍する悪政に敢然と立ち向かっていた。政府は目障りな孟飛を潰そうと画策するが、民衆は政府と闘う孟飛を応援しており、更には「俺が方世玉だ!」と名乗る劉家榮(リュウ・チャーヨン)まで出てくる始末。朝廷の将軍・張翼(チャン・イー)は日本から用心棒・倉田保昭を雇い、孟飛にぶつけようと企んでいた。
一方、当の孟飛は政府によって兄たちが殺されたこと、自分の偽者が兄たちの死体を隠したことを知り、とりあえず龍君兒と一緒に劉家榮の居場所へ向かった。売春宿にいた劉家榮を問い詰めてみると、彼は孟飛に憧れて名を騙っていた模倣犯であり、死んだ兄たちを弔ってくれたことが判明する。本物と偽物の方世玉の間に友情が生まれるが…。
そのころ倉田と張翼は孟飛を挑発し、罠を張り巡らせた梅花椿(沢山の杭の上で闘うアレ)で待ち受けていた。まず最初は劉家榮がこれに挑戦するも、倉田の剛拳によって梅花椿の剣山に叩き込まれてしまう。実は劉家榮、孟飛を誘い込むために張翼が用意した囮だったのだが、倉田は彼を最初から殺すつもりであった。今わの際に劉家榮は「これは罠だ!逃げろ!」と叫ぶも、孟飛は「これでやっと俺たちは本当の親友になれた」と応え、真正面から倉田に挑みかかった(ここのやり取りが格好良い!)。
しかし、梅花椿に仕組まれた数々の罠によって重傷を負った孟飛は、村人の助力でその場から脱出。元少林拳士・譚道良(タン・タオリャン)も介入したことで事態は収まったが、いずれ倉田が追ってくることは明白だ。そこで龍君兒たちは孟飛が死んだと芝居を打ち、彼の身柄を譚道良に託された。結果として孟飛は九死に一生を得たが、龍君兒や孟飛の母たちは虜の身に……孟飛は譚道良の元で梅花椿対策を練り、来るべき決戦に備えた。そして3日後、孟飛は倉田&張翼との最終決戦に向かう!
本作は『武道大連合/復讐のドラゴン』の続編的(?)作品で、主演の孟飛を筆頭に前作と同じスタッフが結集し作られている(ただし製作プロダクションは別)。内容は特訓と復讐を描いたオーソドックスなものだが、男の友情や因縁の対決といった燃える要素も含まれているため、決して凡庸な作品にはなっていない。
前作と本作との最大の違いは、役者として大きな成長を遂げた孟飛にある。デビュー間もない時期に製作された『復讐のドラゴン』では、まだまだ功夫アクションも演技もぼんやりとした印象だった孟飛だが、本作では方世玉をフレッシュな魅力たっぷりに演じており、功夫アクションの腕前も格段に向上。劇中では序盤のVS郭振鋒(すぐ倒される刺客)を皮切りに、劉家榮との扇子バトル、倉田との初戦とリベンジマッチ、ラストのVS張翼に至るまで軽快なアクションを見せ、その実力を見せている。
また、今回は憎まれ役に徹した倉田保昭や、珍しく師匠的なポジションとなった譚道良の活躍も興味深く、倉田VS譚道良というレア対戦をやってくれているのもファンには嬉しいところ。欲を言うと譚道良にはもっと暴れてもらいたかったし、ヒロイン役だった龍君兒にも闘ってほしかったが、作品そのものは十分に面白い(やっぱり劉氏兄弟の武術指導はクオリティ高いなぁ…)。豪華なキャストとスタッフに見劣りしない良作なので、功夫映画迷は必見です!