続・功夫電影専科 -75ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


龍猫燒鬚
英題:Lethal Contact
製作:1992年

●さてこれは珍しい鄭則仕(ケント・チェン)&樓南光(ビリー・ロウ)の監督兼主演作です。
 鄭則仕は性格俳優として幾多の映画に参加している人で、その芸の幅はとてつもなく広い。黄飛鴻の弟子をコミカルに演じた『ワンチャイ/天地黎明』、その黄飛鴻だった李連杰(リー・リンチェイ)と肩を並べた『ターゲットブルー』、そして悪役としてジャッキーに立ちはだかった『新・ポリスストーリー』等々…元々はヒューマンドラマから人気を博したスターなだけに、善役でも悪役でもボケ役でも堂に入った演技を見せており、その卓越した演技力を垣間見せている。
もう1人の監督兼主役である樓南光は、鄭則仕とは対照的にコメディ一筋で生きてきた俳優であり、日本公開された出演作も多い。中でも『霊幻道士』の警察隊長役は強い印象を残していて、「イヤミったらしくてクドいんだけど憎めない」という独自のキャラを確立している。その奔放な芸風はいろんな作品で見られるが、時には『イースタン・コンドル』のようにシリアスな演技を見せることもある。
多芸な人物が多い香港映画界において、自分だけの演技スタイルを貫いた鄭則仕と樓南光。そんな2人がメガホンを取り、劉鎮偉(ジェフ・ラウ)プロデュースによって作られたのが本作なのだ。

 ストーリーはあまりよく解らないが、鄭則仕と樓南光の刑事コンビ+捜査官の林俊賢が、犯罪組織を摘発すべく奮闘する様を描いている。3人は聞き込み調査を続け、どうにか組織に接近しようとするが、協力者が暗殺されるなどして捜査は難航。遂には組織の刺客によって、鄭則仕たちの目の前で林俊賢が殺されてしまう。その後、2人の元に謎の美女・朱慧珊(ジャクリーン・チュウ)が現れ、不審な行動を見せていく……という感じの話である。
粗筋だけ見ると典型的な刑事アクションに思えるが、鄭則仕&樓南光のやり取りで物語を勧めているため、アクションの割合はそれほど多くない。この2人が主役なのでコメディ的な描写もあるが、作風は一貫してシリアスな感じになっているので、ストーリーとギャグとの間にかなりの温度差が生じている。コメディにするのかシリアスにするのか…その辺りを割り切れなかったことが、本作を中途半端なものに至らせてしまったようだ。

 しかし、それでいて本作が佳作のカテゴリに入っているのは、ひとえに作中の功夫アクションが見事だったからに他ならない。
林俊賢や上司として登場する胡慧中(シベール・フー)はもちろん、主役の鄭則仕&樓南光まで格闘シーンに挑んでおり、この2人がラストにタイマン勝負までこなすのだから驚きだ。本作の武術指導は『マジック・クリスタル』の梁小熊(トニー・リャン)で、今回も質の高いアクションを構築している。
 個人的には林俊賢のド派手な立ち回りが良かったが、それらを吹っ飛ばすほどのインパクトを残したのが、敵として参戦しているジェフ・ファルコンだ。ジェフは組織の実働部隊のリーダー?で、登場するなり鋭い蹴りをビシバシと部下に叩きこむ強烈なアクションを披露。続いて林俊賢を接戦の末に射殺し、朱慧珊を助けに来た胡慧中まで一瞬で倒すなど、その無敵っぷりを存分にアピールしている。
クライマックスでは鄭則仕たちと銃撃戦になるが、なんとジェフVS鄭則仕のガチンコバトルという異色すぎる対戦に突入していく(笑)。胡慧中との決着を期待していた身としては少々残念だけど、あまりに突飛なカードなのでこれはこれで面白い。ジェフのクールな悪役っぷりはもとより、彼の女装姿(!)や意外な対戦もあるので、ジェフのファンは要チェックな作品かも…?


「テラコッタ・ソルジャー」
原題:極地皇陵
英題:Undiscovered Tomb
製作:2002年

▼ほんの10年ぐらい前まで、日本では『リーサル・パンサー』や『最後の少林寺』や『ファイヤー・ドラゴン』など、好きな人以外には一切価値の無さそうな未公開作が次々とソフト化されていた。だが、現在では頻繁に未公開作がリリースされなくなっているようで、レンタルショップに行っても置いてあるのは有名なタイトルか華流作品ばかり。功夫片とか動作片の未公開作は、それこそ微々たる数しか並んでいない。
 香港映画の国内におけるリリース状況そのものは、ショウブラや協利電影の作品が日本発売されるという快挙を成し遂げ、この上ないほどに盛り上がりを見せている。しかし、無名の未公開作に関しては韓流や電視劇に立場を取って代わられた感があり、正直言ってないがしろにされているような気がするのだ(もちろん、韓流や電視劇にも優秀な作品があることは解るけど…)。
販売する業者にしてみても、需要の見込めない映画を輸入するよりは、流行の作品を売った方が確実に儲かるだろう。商売としてはそれで正解なのかもしれないが、あえて無名の作品を楽しみたい香港映画迷にとっては寂しい状況となってしまったのも事実。そんな中、本作のような動作片がパッケージ化されるのは大変珍しいことであり、こういう作品をもっと売り出してほしいんだけど…やっぱり難しいのかなぁ?

■本作は中国の国境地帯を舞台にしたアドベンチャーで、不老不死の力が宿る剣を捜し求めて2つの勢力が闘う、というストーリーの冒険活劇である(若干『トゥーム・レイダー』入ってます)。
 原子と李昭(コイヌマ・ミユキ…日本人?)はトレジャーハンターコンビで、不老不死の剣を探している島田楊子の命によって国境地帯へと向かった。目的は剣の在りかが記されているという石版で、一方の島田は香港でもう1枚の石版を回収しようとしていた。前半はこの2つのパートが同時進行しながら物語が進む構成となっている。
原子らは道中、お調子者のガイド・釋小龍(!)や考古学者と名乗る張晉と出会い、部族や大蛇に襲われつつもジャングルを突き進んでいた。一方、島田は石版を持つ男・王合喜と力を合わせ、原子たちの後を追っていた。しかし、謎の組織が石版を狙って暗躍しており、その襲撃によって王合喜が殺されてしまう(この展開はまさか…)。
 その頃、原子たちは探していた石版を偶然発見し、島田との合流にも成功する。が、怪しい感じだった張晉はやっぱり敵のスパイで、原子たちは彼を振り切って財宝まであと一歩というところまで迫った。危ないことに巻き込まないようにと釋小龍とも別れ、原子一行はいよいよ財宝の眠る洞窟へと潜入する。が、案の定あとからやって来た張晉が現れて争いとなり、島田が毒蛇に噛まれるというアクシデントまで発生してしまう。
とりあえず2枚の石版によって手に入れた地図を手に、再び洞窟へと入っていく原子。離れ離れになっていた李昭と再会し、またも現れた張晉を退けて不老不死の剣を探すぞ!というその時、安置されていた兵馬俑みたいな像の1体が突然動き出し(!?)、今度は原子&李昭VS像のバトルが勃発する。本作はこのあたりから加速度的にメチャクチャになっていきます(苦笑
 途中、何故か改心したっぽい張晉が闘いに加わり、そのまま斬り殺されるという(あまり意味の無い)一幕を交え、なんとか像は倒す事ができた。ところが、今度は外に出てみると敵のボスが銃口を向けて待ち構えていた。その正体は…やはり王合喜だ(バレバレです)!とはいえ、『スティル・ブラック』で趙文卓とガチンコバトルした王合喜なのだから、ここはやはりラストバトルに期待が膨らむところだが…って、釋小龍がちょっかい出したせいで1分もしないうちに死んだー!(爆
そんなわけで、悪党は全員死んで一件落着。あとは毒蛇に噛まれた島田がどうなるかだが、画面は突然パソコンの前で起き上がる原子のカットに移る。そして彼女が「…妙な夢だった」と呟いてエンドロールが流れ……………………えっ?

▲というわけで、ご覧の通り本作はかなりツッコミどころ満載な内容となっているが(爆)、その一方で功夫アクションは(CGが違和感バリバリだけど)質の良いものに仕上がっている。
殺陣は地に足を付けたフリーファイト式で、90年代の動作片っぽい激しい蹴りの応酬が見られる。あまり有名な俳優は出ていないが、原子を筆頭に主要キャストはみんな動けており、とりわけ原子&李昭VS張晉のバトルが良い感じだ。これで王合喜が最後に大暴れをしてくれれば最高だったんだけどなぁ…。
 しかし、王合喜よりも重症なのが釋小龍である。彼は子役としてブレイクし、台湾を中心にコメディ動作片へ出演したスターなのだが、日本で彼の主演作は『ビビアン・スーの恋しくて…』のようにアイドルの便乗映画として売られている。そのため、現地での人気の割りに日本では知名度がゼロに近いという不遇なスターなのだが、本作でもその扱いは不遇そのものであった。
釋小龍は功夫アクションをある程度見せてくれるが、クライマックス直前で原子たちの元から離れるため、一連のアクションシーンには参加せず。最後に王合喜と対面するが、こちらもすぐに決着が付いたので何もできないまま終わっている。せめてラストは釋小龍VS王合喜のタイマン勝負が見たかったが、久々の日本公開作でこんな役回りとは…つくづく不遇なスターである(日本限定で)。


迷蹤霍元甲/迷踪霍元甲
英題:Young Hero
製作:1980年

▼コメディ功夫片が全盛を極めていた80年代初頭は、七小福にとって最も忙しい時期であった。七小福とは、かつてジャッキーやサモハンらが在籍していた事で知られる京劇グループで、ここから多くの優秀な人材が巣立っている。
『酔拳』のヒット以降、七小福に着目した映画人たちはこぞって彼らの主演作を作り、第2のジャッキーを発掘しようと躍起になっていた。その結果、サモハンとユンピョウは見事に成功を収めたが、主役級のスターとなれたのは彼らぐらい。その他の七小福は中堅俳優や武術指導家としての地位を確保し、スーパースターにこそなれなかったが、現在も様々な分野で活躍している。
 話を80年代に戻すと、当時は孟元文・呉明才・元徳・呉元俊などの主演作が作られていた。本作でも七小福から2名を主役として迎えているが、元武と元菊が主人公とは随分と冒険をしたものである(爆
元武は主にサモハン映画などへ出演し、『燃えよデブゴン7』で韋白(ウェイ・パイ)と闘った棒術使い…といえばご存じの方も多いはず。元菊は映画出演そのものが少ないが、そのアクションセンスは七小福らしくしなやかで華麗。「カンフー映画大全集」で谷垣健治導演が語ったところによると、今は九龍城の定食屋にいるそうだ。

■本作はそんな七小福の起用だけに留まらず、『酔拳』に出演した多数の俳優を呼び寄せ、『酔拳』のように実在の達人・霍元甲を取り上げたりと、とにかく『酔拳』を意識しまくっている。ただしコメディ要素は控えめで、霍元甲が題材なだけに抗日要素を含んでおり、復讐が復讐を呼ぶシリアスな話になっている。
元武は武術の名門・霍家の末っ子で、功夫の腕もそこそこ止まり。トラブルで元菊と闘ったときも、女性である元菊にまったく歯が立たなかった。同じ頃、元武の家に日本人武術家・黄正利(ウォン・チェン・リー)が現れていた。彼は蒋金や陳流を従え、手下と共に各地の武館を荒らし回っており、元武の父・權永文も敗北を喫してしまう。
 元菊が霍家の家庭教師の孫娘だったと判明する中、その霍家では黄正利との再戦に備え、激しい特訓が続いていた。しかし未熟な元武は修業を許されず、兄の王將たちを尻目に机に向かう毎日だ。ところが、元武に勉強を教えている家庭教師が功夫を知っていて、元菊と一緒に教えてくれた(このへんの展開は倉田保昭の『激突!キング・オブ・カンフー』と同じ)。
權永文は「黄正利の足技に負けたからこっちも足技だ!」と足技の強化特訓をスタート。一方で元武もメキメキと腕を上げ、王將とのコンビネーションで黄正利の手下を撃破した。…が、これがまずかった。激怒した黄正利一派が霍家を襲撃し、なんとか退けたものの、家庭教師や王將など多くの人々が犠牲になってしまう。
 霍家で生き残ったのは元武・元菊・權永文の3人だけとなった。生前の家庭教師の教えを胸に、猛特訓を開始する元武と元菊。その後も色々な出来事を経て、道場も「精武會」と名を変えて再建された。だがしかし、そこに黄正利一派が姿を見せ…。

▲コメディ功夫片ブームの際、実在の人物を扱った作品は幾つか存在したが、本作はその題材選びで失敗してしまった作品である。本作でフィーチャーされた霍元甲は迷踪拳の達人で、精武門を創始した存在としても有名だ。だが、日本人による毒殺説や『ドラゴン怒りの鉄拳』の影響により、彼が関係する映画作品は必ずといっていいほど抗日的な要素を含んでいる。
こんなシリアス一辺倒なキャラでコメディ功夫片が作れるはずもなく、本作では話が進むにつれて次々と人が死んでいく悲惨な物語が展開されている。キャスティングに気を配り、ロケ地も『酔拳』と同じ場所を選んだりと、かなり力を入れているのは解るのだが…いかんせん題材が悪かったとしか言いようがない。
 功夫アクションは權永文や王將が自ら担当しているが、ちょっと立ち回りの繋ぎが粗く、アクションのバリエーションもそんなに豊富ではない。が、やはり七小福出身の元武と元菊の動きには目を見張るものがあり、權永文の力強いテコンドーキック、珍しく完全な悪役である蒋金の動き、そして黄正利のパワー溢れる蹴りの数々など、決めるべき所はしっかりと決めている。
ラストバトルは精武會での乱闘から始まり、元菊が死亡して(彼女まで殺さなくても良かったと思うのだが)元武&權永文VS黄正利の対決となる。なぜかロッククライミングや身の隠し合いなどを交えつつ、最後は捨て身の死闘が繰り広げられるのだが、この闘いもなかなか悪くない。…つくづく題材のミスマッチさが惜しい作品である。


「天使行動3」
原題:天使行動之三魔女末日/再戰天涯
英題:Angel 3/Iron Angels 3
製作:1989年

▼女闘美アクションの傑作だった第1作、スタントアクションを極めた第2作と続いてきた『天使行動』シリーズも、遂に本作で最終回となる。キャストは李賽鳳(ムーン・リー)と方中信(アレックス・フォン)、第2作で仲間になったカリーナに加え、新たに陳成貴(お調子者だが腕っ節は強い)とマーク・ステインボーン(自称コンピューター)の2人が新メンバーとして登場している。
しかし、残念ながら呂少玲(エレイン・ルイ)は降板し、武術指導も唐季禮(スタンリー・トン)から徳榮にバトンタッチ(ただし唐季禮は徳榮と一緒に執行導演として参加)。また、前作では担当パートが割り当てられなかった李賽鳳が、本作でまたしても…な憂き目に遭っているのだ(涙

■物語は開始早々いきなりベトナムの外交官が爆殺される場面からスタート。この犯行は、タイの発展を快く思わぬ第三世界の某国がテロリストに指示して実行させたもので、エンジェルズはテロ組織の要人暗殺を食い止めようと奔走することになった。
手始めに李賽鳳がテロ組織へ潜入し、首領のキャシー・ヒックマンに接近する。一方で方中信たちも、各地に潜むテロ組織の刺客を次々と潰していくのだが、李賽鳳の調査で敵の目的が4人の大臣暗殺だと察知。テロ組織は大量の兵隊を投入し、パーティーに列席した大臣たちを暗殺すべく迫りつつあった。これに対し、方中信と陳成貴はジェットパック(ロス・オリンピックの開会式で空を飛んだアレ)で舞い降り、キャシーと側近×2に立ち向かうのだが…。

▲銃撃戦に集中していた第2作から打って変わって、今回は功夫アクションに尺が裂かれている。殺陣のレベルは全体的に高く、功夫スターこそ出ていないがファイトシーンは良質なものを構築していた。特に、中盤で繰り広げられる方中信VSパンナー・リットグライのムエタイ対決、李賽鳳の華麗なヌンチャクアクションは本作最大の見所だ。「普通の動作片」として見るなら、本作は出来の良い部類に入るだろう。
 …しかし、本作はあの『天使行動』シリーズの最終作である。高度なスタントと銃撃戦によって、他の女闘美アクションとは一線を画してきた本シリーズなら、当然そういったシーンが沢山あって然るべきはずであったのだ。
だが、本作ではスタントも銃撃戦もカーチェイスも少なく、前2作と比べると明らかにインパクト不足だ(ラストの銃撃戦は凄かったけど…)。ストーリーについても単なるテロリストとの攻防戦でしかなく、男の友情を描いた前作との凄まじい落差を感じてしまうし、何の新鮮味も得られなかったのは実に痛い。
 そして最大の問題は、本作でまたも李賽鳳がないがしろにされているという事実だ。今回の李賽鳳はテロ組織のアジトに潜り込み、アクションにお色気に奮闘しているので悪くないように思えるが、何故かラストバトルには参加していないのである。ちょうどタイマン勝負できそうな敵が3人もいるというのに、どうして李賽鳳がいないまま最終決戦に突入してしまったのだろうか?
恐らく、この処遇には『群狼大戦』が影響しているのではないかと思われる。『群狼大戦』で爆発に巻き込まれた李賽鳳は、重度の火傷を負ったため入院生活を余儀なくされた。本作はその『群狼大戦』とほぼ同時期に製作されていたので、ラストバトルに参加できなかった理由はそのへんにあるのかもしれない。

 …『皇家師姐』とは違ったアプローチで女闘美アクションを描き、様々な名勝負を生み出した『天使行動』3部作。レンタルショップからビデオが撤去され、本作に出会える機会がめっきり少なくなってしまったが、命懸けのアクションに挑み続けたヒロインたちの軌跡は、今も決して色あせてはいないのだ。


「天使行動2」
原題:天使行動之二火鳳狂龍
英題:Angels 2/Iron Angels 2
製作:1988年

▼ド派手な銃撃戦と功夫アクションに彩られた快作『天使行動』。本作はその続編にあたり、降板した西城秀樹に代わって方中信(アレックス・フォン)が主役に起用されています。
しかし、前作の方中信は敵に捕まったりラストに出てこなかったりと扱いが酷く、主役としてのインパクトに欠けています。そこで製作サイドは、思い切って物語のメインを李賽鳳(ムーン・リー)から方中信へと変更。彼にまつわる熱いドラマを用意することで、シリーズの新たな顔役・方中信を印象付けようとしたのです。
さらには前作を越えるアクションシーンを構築すべく、ジャッキー映画に参加する前の唐季禮(スタンリー・トン)を武術指導に抜擢。まさに気合十分で製作された本作ですが、どうも何か忘れているような気が…(後述)

■李賽鳳・方中信・呂少玲らエンジェルズ一行は、休暇を利用してマレーシアを訪れていた。そこで彼女らは偶然にも、方中信の旧友で現在は大富豪の陳庭威、同じく旧友で現在はCIA捜査官の蕭玉龍と出会った。
親友たちと再会し、和やかな時間を送る方中信だが、その平穏はあっさり破られる事となる。実は陳庭威は反政府ゲリラの首領で、現政権を打破して理想国家の建国を目論んでいたのだ。ゲリラの調査をしていた蕭玉龍は拘束され、なんとか親友を説得しようと試みるのだが…。
 その頃、失踪した蕭玉龍に代わって調査を依頼されたエンジェルズは、陳庭威の正体を知って愕然としていた。彼に思いを寄せていた呂少玲は、潔白を証明しようとゲリラのアジトに単独で潜入する。しかし、そこで彼女を待ち受けていたのは、己が理想のために蕭玉龍を殺めた陳庭威の姿であった。
呂少玲がゲリラに捕まり、政府の掃討作戦が目前に迫る中、エンジェルズは新たな仲間・カリーナと合流。大勢の敵兵が待つ密林地帯に降下するも、皮肉な結末が彼女たちを待ち受けていた…。

▲前作では功夫アクションに重点を置いていた本シリーズですが、今回はコマンドアクションやスタントに力が入れられています。
序盤はいきなり銃撃戦で幕を開け、マレーシアの町中や密林を駆け巡るカーチェイスを挟みつつ、クライマックスはジャングルでの大銃撃戦! これがまた前作に負けず劣らずのムチャクチャさで、爆発した小屋から兵士が燃えながら吹っ飛ばされたり、高所からの落下スタントなどが次々と飛び出していました。
当然、主役の3人は今回も大規模なスタントを演じていて、とりわけ李賽鳳が爆破された小屋から飛び降りる所と、その直前に呂少玲が滑車で脱出する場面が最高にデンジャラスです。
もちろん格闘戦もしっかり用意されており、ラストの李賽鳳VS陳文清(唐季禮の助手)と李賽鳳VS元徳は珠玉の好勝負でした。功夫シーンもスタントもテンポが良く、本作を見るとジャッキーがなぜ唐季禮を手元に置いたのかがよく解ります。

 また、ストーリーも善悪の攻防戦だった前作から進化し、3人の男を中心とした男泣かせのドラマが繰り広げられています。
友を信じて殺された蕭玉龍、理想のために暴走した陳庭威、友を止めようとする方中信…このへんの描写はよく出来ていて、なんとなく『刺馬』の主人公たちを連想させるものがあります。この3人に呂少玲の恋路も絡み、物語は衝撃的な結末を迎えますが…はて、誰か忘れているような…。
 そう、実は本作のスタッフはすっかり李賽鳳のことを忘れてしまい、完全にストーリーから弾き出してしまっているのです(爆)。作品の本筋は3人の男たちがメインだし、恋愛パートは呂少玲が担当。印象的なラストにおいても李賽鳳は居合わせてすらいません。
最も活躍しているはずのキャラクターが、最もドラマに絡んでこないという異常事態…果たして、製作中に誰か李賽鳳のことに気付かなかったのでしょうか?(汗

と、いうわけでストーリー部分に疑問符を残している本作ですが、アクションに関しては文句なしの出来であることだけは間違いありません。新たな仲間とスタッフを加え、シリーズはいよいよ最終章に向けて動き出しますが、それについては次回にて。