続・功夫電影専科 -49ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「刑事ベルモア 共謀者」
原題:LAST MAN STANDING
製作:1995年

▼『アンダー・カバー/炎の復讐』や『マーシャル・コップ』など、数々の傑作格闘映画に出演しているジェフ・ウィンコット。これらの作品はIMAGEというプロダクションで作られましたが、実をいうと私はそれ意外の会社で作られた彼の主演作を見たことがありません(苦笑
そこで今回は、B級アクション映画に定評のあるPMエンターテイメントが製作し、カーチェイスと爆破スタントに彩られた本作をチェックしてみたいと思います。PMエンターテイメントとは、ゲイリー・ダニエルズの主演作などを作ったアメリカの映画会社で、過去にも当ブログで同社製作の『アベンジャー』という作品を紹介しています。

■正義に燃える刑事のジェフは、相棒のジョナサン・バンクスとともにジョナサン・フラー率いる銀行強盗グループを逮捕するが、連中は悪徳警部補のスティーヴ・イースティンによって釈放されてしまう。憤るジェフだが、警察の内情を知るフラーは「警部補を無闇に突っつくのは止めとけ」と忠告する。
だがその後、とある事件で人質にされたバンクスがスティーヴのミスによって死亡。上司のマイケル・グリーンは、適切な対応が出来なかったとしてジェフを謹慎処分にし、現場から引き離してしまう。やがてジェフのことを邪魔に思ったスティーヴは、彼に罪を着せて抹殺してしまおうとするが…?

▲本作はまさに刑事アクションの典型、あるいは王道と言ってもいい作品です。解りやすい死亡フラグを立てて死ぬ相棒、陥れられて孤軍奮闘を強いられる主人公など、いろんな刑事アクションで見られたパターンが一堂に会しているのです。
とはいえ、パターンどおりに構成するだけでは芸が無さすぎます。そこでPMエンターテイメントは、自身の十八番であるカーチェイスを景気よく挿入し(序盤・中盤・後半の3回)、これでもかと車をクラッシュさせまくっていました。『アベンジャー』もそうでしたが、本当にこの会社はカーチェイスが好きなんですね(笑
 しかしカーチェイスにばかり懲りすぎたせいで、ジェフの見せる格闘アクションはあまり多くなかったりします。タイマンで戦えそうなフラーは事故って死ぬわ、最後に戦うスティーヴはただの中年オヤジで動けないわと、対戦相手にもとことん恵まれていません。走る車に引き回されるなど、危険なスタントもあるんですが…。
とりあえず作品自身のテンポは良いので、格闘シーンに過度な期待さえしなければ気楽に楽しめるはずです。ところで、本作にはスティーヴをはじめとして様々な悪党が登場しますが、邦題の「共謀者」って誰のことを指しているんでしょうか?(爆


「スティル・ブラック」
原題:碧血藍天
英題:THE BLACKSHEEP AFFAIR
製作:1998年

●中国軍の工作員である趙文卓(ウィン・ツァオ)は、たった1人でハイジャック事件を解決したものの、独断専行の積を問われてラベニアにある中国大使館に飛ばされてしまう。着任早々、彼は親友の王合喜(ケン・ウォン)と共に某カルト教団教祖・連凱を逮捕するが、ラベニアは対アジア感情が最悪な国であり、手柄を現地の保安局に横取りされることに…。
そんな中、趙文卓はかつて天安門事件で国外脱出した元恋人・舒淇(スー・チー)と再会する。しかし国家に忠義を尽くす彼は国を捨てた彼女を許す事ができず、辛く当たってしまった。一方、密かにテロを支援していたラベニア保安局長は、連凱に自分の正体をばらされることを恐れ、彼を抹殺しようと企んでいた。
 そしてラベニアの教団支部もまた、教祖を救出するため暗躍を開始していく。連凱は趙文卓を仲間にしようとするが断られ、その報復として各地でテロを引き起こした。まさに修羅場と化すラベニア国内だが、中国大使館としてはラベニア沖に停泊している中国の難民船を救助したい思いもあった。
そこで保安局長は難民船を助ける交換条件として、連凱の護送という厄介な任務を中国大使館に(半ば脅迫する形で)押し付けた。教祖救出のために暴れまわるラベニア教団支部、この混乱に乗じて邪魔者を一掃しようとする保安局長、そして己に課された任務を遂行すべく戦う趙文卓たち。三者三様の想いが交錯する中、戦いは意外な結末を見せる…。

 90年代の古装片ブームから現在までコンスタントに主演作を連発する、趙文卓主演のクライムアクションです。この作品で武術指導を担当したのは、数々の古装片でワイヤーアクションを演出した程小東(チン・シウトン)ですが、本作では地に足を着けたリアル・ファイトを構築していました。
当時の程小東はワイヤーで人を飛ばすことに執着しており、武侠片でも現代劇でもその傾向は顕著でした。しかし本作では飛行機内で展開される趙文卓VS熊欣欣(ホン・ヤンヤン)から始まって、地下鉄の駅と終盤で2度に渡って展開される趙文卓VS連凱など、白熱した肉弾戦を構築しています。
 海外ロケの効果も抜群で、政情不安な北欧の小国という混迷したシチュエーションを、迫力ある群集シーンや爆発で見事に描ききっていました。また、天安門や日本で起きた例の事件、そして当時話題になっていた難民船などの時期ネタを取り入れ、ストーリーに緊張感を加味しているのも興味深かったですね。
しかし、やたらと本作にはご都合主義的なシーンが多く、先述の長所を潰してしまっています。主人公の親友と元恋人が辺境の国にいるという偶然、バーのマスターである曾江(ケネス・ツァン)が教団支部長という唐突な設定、ラストで何の伏線もなしに保安局長の悪事が露見するなど…欠点を挙げたらキリがないのです。
主人公の足を引っ張ってばかりの舒淇といい、もうちょっと人物の書き込みが欲しかったと言わざるを得ません。逆に言えば、そこさえ徹底していれば傑作になれた可能性が十分あったのですが…。


「ICHIGEKI 一撃」
原題:OUT OF REACH
製作:2004年

●『DENGEKI 電撃』に引き続き、これまたスティーブン・セガールが香港系のスタッフと組んで製作した作品です。2000年代前半のセガールは香港を意識していたのか、香港にゆかりのある作品に多く関わっていました。
『奪還 DAKKAN アルカトラズ』では武術指導に熊欣欣(チョン・シンシン)を招き、『沈黙の標的』では功夫使いと対決。『沈黙の聖戦』では程小東(チン・シウトン)の指導を受け、『イントゥ・ザ・サン』では成家班のエースである慮恵光(ロー・ワイコン)と戦い、ついには香港で『ドラゴン・スクワッド』の製作に乗り出します。
 そんな中で本作は、1979年に香港で年間配収3位を記録した『ザ・ポップマン』を手掛け、周潤發(チョウ・ユンファ)主演で『風の輝く朝に』を生み出した名匠・梁普智(レオン・ポーチ)を監督に招いています。武術指導には七小福の元(ユエン・タク)が就き、とても香港映画に近い布陣で製作されているのです。
おかげで本作は従来のセガール作品とは違った(なおかつ『電撃』とは違う方向性の)雰囲気で満ちています。ストーリーは、カナダで隠遁生活を送る元特殊工作員のセガールが、文通相手であるワルシャワ在住のアイダ・ノヴァクスカを救うため、国際的な人身売買組織と戦うというものです。

 まず、セガールの行動動機が家族の仇や己の正義感ではなく、「1人の少女を助けようとするため」というひたむきさが泣かせます。孤児院の少年との交流など、ここまで子供と親密になるセガールはなかなか見られません。
異国情緒あふれるワルシャワの地、そして最終決戦の舞台となる真っ白な城など、派手すぎない色調でまとめられた情景もイイ感じでした。
ただ、こういった落ち着いた雰囲気はセガールに似つかわしくない…というのもまた事実。非常に攻撃的なイメージを持つ彼と本作では、あまりにも毛色が違いすぎます。本作でセガールは滅多にアクションを見せず、カーチェイスすら行いません。爆破シーンも無く、これでは彼を主役にした意味が無いといっても過言ではないでしょう。

 ストーリー部分にも穴が多く、最終的に組織を壊滅させたのはいいんですが、バックにいた連中や黒人の刺客を送り込んだ偉そうなジジイを放置したまま終わっています。アイダ以外の子供たちがどうなったかも描かれず、身内の描写だけで話が完結してしまうのには思わずツッコミを入れてしまいました(爆
アクション描写についても派手さを抑えた描写が裏目に出ています。個々の動作は地味で、いったいどこを元が指導したのかすら解らない始末。ラストは組織のボスであるマット・シュルツとのソードバトルですが、こっちもすぐに決着がつくので迫力不足でした。
もう少し演出にメリハリを持たせて、主演がセガールではなく落ち着いた雰囲気の俳優であったなら、現状よりも化けた可能性がある本作。いっそのこと思い切って周潤發にやらせていたら面白かったかもしれないですね(笑


「DENGEKI 電撃」
原題:Exit Wounds
製作:2001年

▼多くのハリウッド作品で撮影監督を手掛け、アクション映画向きのカメラワークに定評のあるアンジェイ・バートコウィアクという方がいます。彼は監督業にも進出し、2000年代の始めごろにヒップホップ歌手のDMXと組んで3本の映画を製作しました。
それが『ロミオ・マスト・ダイ』と『ブラック・ダイヤモンド』、そしてこの『DENGEKI 電撃』です。最初と最後は李連杰(ジェット・リー)が、本作ではスティーブン・セガールがそれぞれメインを担当。どの作品もヒットを記録していて、アクション映画としては成功した部類に入ります。
しかし彼の監督作はどれも大味で、よくアクション演出などに詰めの甘さがが見られました。『ブラック~』では李連杰VSマーク・ダカスコスの決戦をブツ切りカットで台無しにし、『レジェンド・オブ・チュンリー』では人気キャラの設定を改悪。本作でもその兆候は見られ、最後の最後で大きなミスを犯しています。

■セガールはロス市警に務める型破りな刑事。実力はあるのだが、襲撃された副大統領を助けるために河へ叩き込むなど、あまりに無茶をしすぎたため左遷されてしまう(笑)。犯罪多発地帯の第15分署に飛ばされた彼は、謎の麻薬密売人・DMXを捕まえるべく、たった1人で捜査を開始する。
そんな中、記録保管センターから押収されていた麻薬が強奪される事件が発生。セガールはこの事件にきな臭いものを感じ、一方で警察署内に怪しい連中がウヨウヨしている事にも気付く。そのころDMXは取引相手のボスと接触していたが、その正体はセガールの同僚であるマイケル・ジェイ・ホワイトであった。
 調査を続けるうちに、セガールもDMXがただの密売人ではないこと、そして署内の同僚たちが麻薬密売に加担していることを察知。やがてDMXと接触したセガールは、彼が無実の罪で投獄された弟を助けるため、警察汚職を摘発しようと密売人に化けていたことを知らされる。
協力してくれた署長のジル・ヘネシーが命を落とす中、セガールは麻薬取引の現場に踏み込み、DMXとともにマイケル一味を一網打尽にしようと目論んだ。凄まじい銃撃戦の中、2人はそれぞれの倒すべき敵と相対する!

▲まずストーリーですが、こちらはセガール作品らしく実に適当です(爆)。DMXの正体にまつわる部分は謎めいているものの、怪しい奴がそのまま悪人だったりする真っ正直な展開が多いため、サスペンス性は皆無。珍しくセガールが落ちこぼれであるという特徴も、物語が進むにつれて忘れ去られてしまいます。
とはいえ、これらの点は特に問題ではありません。個性的な登場人物、満遍なく配置されたアクションやカースタントが作品を適度に盛り上げていて、本作に平均的なセガール映画から頭ひとつ抜けた印象を与えているのです。
 これについては格闘シーンも同様で、セガール的な合気道ファイトにワイヤーワークが加わり、いつもと違ったアクションが構築されていました。動作設計は香港から招かれた林迪安(ディオン・ラム)なので、セガールの動きを尊重しつつ新鮮味を加えるのは、彼にとってお手の物だったでしょうね。
しかし腑に落ちないのは、ラストのセガールVSマイケルの一戦です。ともに武術を得意とする俳優同士であり、格闘映画ファンにとって夢の対決が実現した瞬間ですが、この戦いは使用していた刃物が落ちたところで唐突に中断。マイケルはさっさと逃走し、実に呆気ない結末を迎えてしまいます。
 明確な勝ち負けが決まらないばかりか、素手での勝負をスルーしてしまうとは片手落ちもいいところです。DMXが「紐を引っかけた銃を投げて撃つ」という、『タイガー・オン・ザ・ビート』で周潤發(チョウ・ユンファ)がやったのと同じ動作を見せたりと、どうもこの最終決戦はおかしな部分が目に付きます。
ある程度の品質は保っているのに、かゆい所に手が届かない演出のせいで損をしているアンジェイ監督の作品群。本作もラストと適当な展開さえ気にしなければ気楽に見られるのですが……う~ん。


「となりの凡人組2」
製作:1994年

▼さて今回も倉田保昭が出演したVシネ作品の紹介ですが…なんと前作の感想を書いてから4年越しのプレビューと相成りました(爆)。今まで様々な映画について書いてきましたが、「そのうち見たい」と言いながら何年も塩漬けにしているパターンが多いので、今年はそういった作品の消化を心がけたいと思っています。
本作は新田たつお原作の漫画を実写化したもので、表の顔はマイホームパパ(←死語)・裏の顔はヤクザの大親分という二面性のある主人公を倉田さんが演じています。コメディ的な要素も強く、個性的なキャラクターの数々も本作の持ち味の1つといって良いでしょう。
ただ、前作は倉田さんがなかなか闘おうとせず、目立ったアクションがラストバトルくらいだったため、私としては不満の残る結果となりました。本作でも相変わらず倉田さんの見せ場は少ないですが、今回は演出が見直されてスッキリした作品に仕上がっています。

■ある夜、倉田の末娘がぜんそくの発作を起こしたが、お隣のご主人に助けられて無事に事なきを得た。ところがそのご主人の周りには、なにやら怪しい輩たちが…。事情を聞いてみたところ、彼は中神組という武闘派組織に脅されて麻薬密売の片棒を担がされているというのだ。
恩義あるお隣さんのため、倉田は中神組の密売を潰そうと動き始める。そのころ、倉田の娘・中山忍は荒貝組の若頭である菊池健一郎と交際していたが、ここ最近はどうも上手くいっていない様子。しまいには喧嘩別れになるのだが…。
 一方、秘密裏に密売を阻止せんとした倉田だったが、身元がばれて事務所を襲撃されてしまう。菊池も介入しての争乱の末、中神組の組長・シーザー武志と倉田の一騎打ちで勝負をつけることになるが、血気盛んな連中が素直に約束を守るはずがなかった。
別件で中山の身にも危機が迫る中、倉田と菊池はそれぞれの守るべき者のために…今、立ち上がる!

▲前作での失敗は、何度も闘いが起こりそうなシチュエーションを用意しておきながら、倉田さんが動こうとしない生殺し演出に原因がありました。そこで本作は倉田さんをそういったシチュエーションから逆に遠ざけ、クライマックスのアクションだけに集中するよう心がけたのです。
この一転集中型の演出は成功し、余計なフラストレーションは今回あまり感じません(ラストバトルでは菊池が参加しないため、実質的に倉田さんの1人舞台と化しています)。ボスのシーザー武志があまり動けておらず、今回も倉田さんの本領が発揮されたとは言えないものの、呆気なく勝負が終わった前作よりはボリュームが増しています。
 コメディ仕立てのストーリーも健在で、シリアスにもギャグにもなりすぎないよう丁度いい感じに調整されています。倉田さんと菊池の各々に見せ場を配置し、ラストは円満解決でとってもほのぼの。これでアクションがもっと派手だったら、格闘Vシネ作品としては良作になっていたかもしれません。
それにしても最初は気付かなかったのですが、絡み役にあの倉田プロ随一の筋肉俳優・中村浩二が混じっていて驚きました(笑)。公式サイトやwikiには第1作だけの出演と書かれてますが、本作では菊池にビリヤード場でボコボコにされるチンピラ役で顔を見せています。
もしかしたら第3作にも出ているかもしれないので、こちらもいずれチェックしてみたいですね。