
「となりの凡人組2」
製作:1994年
▼さて今回も倉田保昭が出演したVシネ作品の紹介ですが…なんと前作の感想を書いてから4年越しのプレビューと相成りました(爆)。今まで様々な映画について書いてきましたが、「そのうち見たい」と言いながら何年も塩漬けにしているパターンが多いので、今年はそういった作品の消化を心がけたいと思っています。
本作は新田たつお原作の漫画を実写化したもので、表の顔はマイホームパパ(←死語)・裏の顔はヤクザの大親分という二面性のある主人公を倉田さんが演じています。コメディ的な要素も強く、個性的なキャラクターの数々も本作の持ち味の1つといって良いでしょう。
ただ、前作は倉田さんがなかなか闘おうとせず、目立ったアクションがラストバトルくらいだったため、私としては不満の残る結果となりました。本作でも相変わらず倉田さんの見せ場は少ないですが、今回は演出が見直されてスッキリした作品に仕上がっています。
■ある夜、倉田の末娘がぜんそくの発作を起こしたが、お隣のご主人に助けられて無事に事なきを得た。ところがそのご主人の周りには、なにやら怪しい輩たちが…。事情を聞いてみたところ、彼は中神組という武闘派組織に脅されて麻薬密売の片棒を担がされているというのだ。
恩義あるお隣さんのため、倉田は中神組の密売を潰そうと動き始める。そのころ、倉田の娘・中山忍は荒貝組の若頭である菊池健一郎と交際していたが、ここ最近はどうも上手くいっていない様子。しまいには喧嘩別れになるのだが…。
一方、秘密裏に密売を阻止せんとした倉田だったが、身元がばれて事務所を襲撃されてしまう。菊池も介入しての争乱の末、中神組の組長・シーザー武志と倉田の一騎打ちで勝負をつけることになるが、血気盛んな連中が素直に約束を守るはずがなかった。
別件で中山の身にも危機が迫る中、倉田と菊池はそれぞれの守るべき者のために…今、立ち上がる!
▲前作での失敗は、何度も闘いが起こりそうなシチュエーションを用意しておきながら、倉田さんが動こうとしない生殺し演出に原因がありました。そこで本作は倉田さんをそういったシチュエーションから逆に遠ざけ、クライマックスのアクションだけに集中するよう心がけたのです。
この一転集中型の演出は成功し、余計なフラストレーションは今回あまり感じません(ラストバトルでは菊池が参加しないため、実質的に倉田さんの1人舞台と化しています)。ボスのシーザー武志があまり動けておらず、今回も倉田さんの本領が発揮されたとは言えないものの、呆気なく勝負が終わった前作よりはボリュームが増しています。
コメディ仕立てのストーリーも健在で、シリアスにもギャグにもなりすぎないよう丁度いい感じに調整されています。倉田さんと菊池の各々に見せ場を配置し、ラストは円満解決でとってもほのぼの。これでアクションがもっと派手だったら、格闘Vシネ作品としては良作になっていたかもしれません。
それにしても最初は気付かなかったのですが、絡み役にあの倉田プロ随一の筋肉俳優・中村浩二が混じっていて驚きました(笑)。公式サイトやwikiには第1作だけの出演と書かれてますが、本作では菊池にビリヤード場でボコボコにされるチンピラ役で顔を見せています。
もしかしたら第3作にも出ているかもしれないので、こちらもいずれチェックしてみたいですね。