続・功夫電影専科 -33ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」
製作:2009年

▼成龍(ジャッキー・チェン)の華麗なアクションに魅せられ、倉田保昭が創立した倉田アクションクラブに入門。のちに渡米し、『アンダーカバー』系列や『バウンティ・ハンター/死の報酬』でアクション指導を担当した日本人が存在します。
その名は坂本浩一…ハリウッドと日本をまたにかけるアクション監督で、ワイヤーワークを得意とするアルファ・スタントを設立した中心人物の1人でもあります。今月はそんな坂本監督が手掛けた、数々の特撮ヒーロー作品に触れていきたいと思います。
 氏は『パワーレンジャー』シリーズでアクション監督に着任し、やがてプロデューサーや監督として作品に携わっていきました。監督としては『Devon's Ghost: Legend of the Bloody Boy』などのマーシャルアーツ映画も撮っていますが、そんな彼に日本で初めてメガホンを握る機会が巡ってきます。
『パワーレンジャー』シリーズの展開がひと段落した2009年、坂本監督は40年以上の歴史を誇る円谷プロの代名詞・ウルトラマンの新作映画に参加。同志の野口彰宏をアクション指導に招き、これまでにはなかった派手なアクションでスクリーンを彩りました。
内容としては、ウルトラ兄弟を中心に展開していた『ウルトラマンメビウス』の世界観に、未来の地球人が怪獣を操って戦う『大怪獣バトル』をドッキングしています。オープニングに各作品の説明があるので、未見の人でも安心して作品を楽しめるはずです。

■かつてウルトラの星を襲った巨悪・ウルトラマンベリアルが復活。ウルトラの父はウルトラ戦士たちと共に人工太陽・プラズマスパークを守ろうと奮戦する。が、プラズマスパークの動力源であるエネルギーコアを強奪され、星ごと氷漬けにされてしまった。
なんとか生き残ったウルトラマンメビウスは、地球人のレイオニクス(怪獣を操って戦う者)・南翔太と協力。残されたプラズマスパークの光でパワーを補充し、初代ウルトラマンやウルトラセブンとともに怪獣墓場へ向かった。
 そこではベリアルがギガバトルナイザーという道具を使い、100体もの怪獣を使役していた。ウルトラ戦士たちは応戦するが怪獣軍団とベリアルのパワーは強大であり、おまけに南がベリアルにそそのかされて悪に魅入られてしまう。そしてセブンが…。
そんな絶体絶命の状況の中、ひとりのウルトラ戦士が戦場に降り立った。彼こそが、ウルトラセブンの息子にして新世代のヒーロー・ウルトラマンゼロだった!

▲…それにしても、今まで色んな作品のあらすじを書いてきましたが、ここまで実際の役者の名前が出てこない文章を書いたのは初めてかも知れませんね(笑
背景は9割がCG、登場人物の大半が人間じゃない等、本作は従来の地球を舞台にしたウルトラ作品とは雰囲気が違います。そのため、巨大ヒーローとしての存在感や神秘性が欠如していますが、戦闘シーンをテンポよく繋いでいるのであまり気にはなりません。
 アクションに関してもレベルが高く、とりわけ前半のベリアルによるウルトラの星襲撃シーンは出色の出来です。ややウルトラ戦士の噛ませ犬化が顕著ですが、これでもかと出てくるウルトラ戦士・怪獣の姿は見ているだけでも楽しめました。
しかし、純粋に格闘アクションを堪能したいというのなら、本作は不適当だと言えます。確かに格闘描写は見事ですが、戦っているのは宇宙人や怪獣ばかり。数少ない人間による格闘シーンでも、相手がみんな宇宙人なのでマスカレイド(仮面舞踏)のような雰囲気が漂っています。
 同じマスカレイドでも、人間が変身する等身大のヒーローならまだ感情移入の余地はありますが、本作で戦うのはすべて人外の存在です。個人的にはどうしてもこの一点が気になってしまい、いまいちアクションに乗り切れなかったですね(殺陣そのものは良質なんですが…う~ん)。
この他にも釈然としない点は幾つかあるものの、子供向け・ウルトラ作品ファン向けのお祭り映画としては間違いなく傑作の部類に入る本作。ちなみに坂本監督はこの翌年、『パワーレンジャー』を生み出した東映で大仕事をすることになるのですが……続きは次回にて!


「となりの凡人組3」
製作:1994年

●表の顔は平凡なマイホームパパ、裏の顔はヤクザのドンである倉田保昭。そんな彼の前へ、20年前に手を付けた兄貴分の女・近藤理枝が姿を現した。
慌てる倉田と顔を引きつらせる妻だが、今度は近藤の娘である春木みさよまで登場する。一気に修羅場に突入か!?と思われたが、この2人は複雑な事情を秘めていた。
 春木は倉田の兄貴分・椎谷建治の娘であり、当の椎谷は娘の出産に反対。この一件がきっかけで近藤は広島に移り住み、内緒で出産した春木とつつましく暮らしていたが、広島連合会のボス・黒部進に目を付けられてしまう。
事情を知った椎谷は黒部のもとに攻め込み、追われる身となったため近藤が倉田に助けを求めたのである。自分の組からも尻尾を切られ、行き場をなくしていた椎谷を保護した倉田は、カタギになって家族と暮らすよう勧めた。
 だが、あくまで黒部を討とうとする椎谷はこれを拒否。やむなく倉田は大親分の助力を乞い、彼を強引に引退させて手出しされないようにするのだった。
この采配に椎谷は憤るが、執念深い黒部は近藤と再会した彼を襲撃し、報復の銃弾を撃ち込んだ。幸い、春木は荒貝組の若頭・菊池健一郎と会っていたおかげで難を逃れ、あとの2人もどうにか一命は取り留めた。
怒りに燃える倉田は、たった1人で大勢の敵が待つ広島連合会の事務所に向かっていく。伝説の”黄金の唐獅子牡丹”を背負って……。

 和製ドラゴン・倉田保昭が主演を務めたVシネシリーズの第3作にして、最終作となる作品です。今回はコメディ描写が前半のみで、椎谷が中心となる後半からはシリアス一色となっています。
どちらのパートも悪くない…と言いたいところですが、椎谷と春木が和解するまでの工程が非常にザックリとしており、ラストの展開がやや唐突に見えてしまいました。
また、前作までのレギュラーだったお隣さんやあき竹城の不在、クライマックスの展開に菊池が絡んでこない点など、スケールダウンしている感も否めません。
 気になる倉田さんのアクションは今回も最後だけで、殺陣のレベルは普通のヤクザVシネ程度。なので立ち回りの派手さは控えめですが、槍使いの用心棒とのラストバトルは上々の出来だったと思います。
ちなみに前作前々作にチラッと登場していた中村浩二ですが…今回もしっかり出ていました!エンドテロップにこそ名前は無いものの、最終決戦で倉田さんが敵の事務所に突入する際、締め上げられて放り出されたのが彼です(一瞬アップになります)。
スーツアクターとして、アクション俳優として日々躍進を続けている中村浩二。その初々しい姿を見たい方は本作をチェック…しなくてもいいかな?(苦笑


「暗黒街/若き英雄伝説」
原題:馬永貞
英題:Hero
製作:1997年

▼本日、5月17日で功夫電影専科は7周年を迎えました。開設当初は何もかもが手探りの状態でしたが、ここまで長く続けることができて本当に嬉しく思っています。
ちなみに昨日までの時点で紹介した映画・TV作品・Vシネマの総数は、なんと合計750本!とはいえ、初期の頃は手癖で書いたような記事や文章が多く、今も修正作業中だったりするんですけどね(苦笑
そんな当ブログにおいて、一番最初に投稿した記事は元彪(ユン・ピョウ)『モンキーフィスト・猿拳』でした。今回はそれに倣い、彼の存在感が光る作品を紹介してみましょう。

■第2次世界大戦当時、上海租界では2つの組織が覇権を争っていた。一方は英国人と組んでいる元彪の一派、もう一方は警察官僚と結託している元徳(ユェン・タク)のグループだ。
そんな街に、成功を夢見て金城武元華(ユン・ワー)の兄弟がやって来た。金城はひょんなことから元彪と知り合い、彼の生き様に惹かれていく。
 あるときクラブで襲撃事件に遭遇し、歌姫の宣萱を助けた金城は彼女をデートに誘った。しかし衣服をパクッたせいで警察に捕まり、そこで元彪の暗殺計画を知ることとなる。
金城たちは窮地に陥った彼を救い出すが、デートをすっぽかされて傷付いた宣萱は、ほどなくして叔父の元奎(コリー・ユン)とともに上海を去ってしまう。
 そのころ金城は、元彪にクラブを任されて勢力を拡大。上海にその名を轟かせるが、元彪の愛人である周嘉玲(ヴァレリー・チャウ)にたぶらかされ、次第に増長していった。
元徳はこの状況を利用して金城を襲い、元彪に濡れ衣を着せて失脚へと追い込んだ。利用された周嘉玲もボロ衣のように捨てられ、完全に元徳の天下となった。
重傷を負った金城は宣萱たちに助けられ、死刑執行が迫る元彪の救出へと向かう。そして市長就任が決まり、邪魔者を一掃して有頂天となった元徳のもとに、復讐を誓った金城たちが現れた…!

▲本作はショウ・ブラザーズで張徹(チャン・チェ)監督が手掛けた不朽の名作、『上海ドラゴン 英雄拳(馬永貞)』をリメイクした作品として知られています。
しかし、キャストは金城と七小福メンバーが中心となっていて、監督は出演も兼ねている元奎。オリジナルに関わった俳優も不在で、話の筋も違う部分があるようです(『英雄拳』は未見)。
 こう書くとオリジナルを蔑ろにしている印象を受けますが、本作はハードな演出と激しいアクション描写が見事に融和しており、実に見ごたえのある作品に仕上がっていました。
何を置いても素晴らしいのが元彪の存在で、男気あふれる黒社会のボスを堂々と演じ切っています。主役の金城も存在感では元彪に食われてしまったものの、体当たりのファイトでこれをカバー。元華や元奎のとぼけた演技も見逃せません。
 アクションも張徹作品に負けないほどの殺気に満ちており、クライマックスでは初っ端から人間が爆発し、銃撃戦で死体の山を築いたところで最終決戦が勃発します。この金城・元彪VS元徳がまた壮絶で、文字通り”死闘”と呼ぶに相応しい名勝負でした。
オリジナルの流れに囚われず、自分なりの馬永貞を打ち出すことでリスペクトとした元奎の手腕に唸らされる逸品。こうなると原典である張徹の監督作も、ぜひぜひチェックしてみたいですね。


「ジャン=クロード・ヴァン・ダム/アサシン・ゲーム」
原題:ASSASSINATION GAMES
製作:2011年

●殺し屋のスコット・アドキンスを雇い、非合法な手段で事件を解決したインターポールの汚職捜査官たち。彼らはスコットの口封じを目論み、マフィアのイヴァン・ケイを囮として釈放した。
イヴァンはかつてスコットの恋人を襲い、植物人間にした過去を持つ外道だった。インターポールの裏工作で依頼を受けたスコットは、一度は断ったものの復讐する決意を固める。
 一方、スコットの蹴った依頼はベテランの殺し屋、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが引き受けていた。2人はターゲットを巡って争うが、最終的に共闘するという方向で落ち着いた。
だが敵もイヴァンと手を組み、2人の共同戦線を断ち切ろうと画策する。愛する者の復讐を誓う男と、孤独の中で愛する者と出会った男の運命は…?

 前回はセガールだったので、今回はヴァンダム作品でひとつ。本作は『ザ・プロテクター』に続き、彼とスコットが2度目の共演&対決を果たした作品です。
ストーリーは可もなく不可もなくといった感じですが、スコットとヴァンダムの一筋縄ではいかない関係、女の扱いが不器用なヴァンダムのキャラクター像など、悪くないポイントも幾つか見られました。
 また、2人とも殺し屋なのでガン・アクションがメインですが、ちゃんと格闘シーンも用意されています。さすがに『ザ・プロテクター』の熱戦には及ばないものの、スコットVSヴァンダムのリターンマッチも実現していました。
ただ非常に残念なのが、ようやく2人の主役が並び立ったラストバトルで格闘戦らしい格闘戦が無いという点です。意外な小道具の登場で驚かせてくれますが、ここは大立ち回りで決めて欲しかったなぁ…。
 また、最後に全ての決着が付く流れも「見せすぎ」な感があり、このあたりは匂わせる程度の演出(新聞に掲載された悪党たちの死亡記事&ロウソクを背に立ち去るヴァンダムとか)で良かったと思います。
作品としての出来は並ですが、格闘シーンに過剰な期待はしないほうがいい本作。ちなみにヴァンダムの息子であるクリストファー・ヴァン・ヴァレンバーグも出ていますが、敵の使いっ走りというショボい役でアクションすら披露していませんでした(苦笑


「沈黙の報復」
原題:RENEGADE JUSTICE/URBAN JUSTICE
製作:2007年

●デビューから今に至るまで大量の主演作が日本公開されているスティーヴン・セガール。近年はTVドラマ関連のリリースも進み、出演した作品のほとんどが網羅されているといっても過言ではありません。
こうしたセガール作品の邦題は、初期の出演作を除いて完全にパターン化されています。1つは漢字二文字とアルファベットを組み合わせたもので、『DENGEKI 電撃』『斬撃 -ZANGEK-』『奪還 DAKKAN アルカトラズ』などが該当する…のですが、ご覧のように表記はバラバラです。
一方、もう1つのパターンである”沈黙の○○”は統一感があり、副題や表記の揺れは一切なし。その代わり適当に付けられたタイトルも多く、内容とかみ合っていない作品も多々あります。そう考えると、この『沈黙の報復』は非常に的を得た邦題といえるでしょう。

 本作は息子を何者かに殺されたセガールが、仇を探して2つのギャング団と抗争を繰り広げる!という感じのお話。内容はいつものセガール作品と変らず、相変わらず無敵のセガールが悪党を虐殺していくだけの話となっています(苦笑
ほんの少し違うのは、セガールが信念を持って報復に臨んでいるということ。本作の彼は事件の黒幕などに興味はなく、あくまで息子殺しの犯人を討つことだけを考えています(身に降りかかる火の粉は徹底的に振り払いますが・笑)。自身の行動が正義に基づいていないのも承知の上で、彼はこの主義を最後まで貫き通すのです。
 このセガールの人物像はストイックで格好いいんですが、それなりに話の解るダニー・トレホ(今回アクションは無し)はともかく、小悪党のエディ・グリフィンに示したラストの行動は意外に思えました。でもこのオチだと、協力してくれたカルメン・セラーノの身柄が危ないんじゃ…?
ちなみに格闘シーンの出来もいつも通りで、彼の容赦ない攻撃には誰も太刀打ちできないまま倒されます。とはいえ、近年のスタントマンを多用してしまいがちなセガールのことを考えれば、本作は十分動けていた方だと思いますね。
セガールが何者なのか明示されない・どのザコも不用意にセガールへ近付きすぎ・息子を殺した犯人の正体がバレバレなど、粗は目立ちますが出来は悪くない本作。これで息子殺しの犯人がきちんと闘える相手だったら、なお良かったんだけどなぁ……。