
「ドラゴン特攻隊」
迷尓特攻隊
Fantasy Mission Force
1982
●ジャッキーが『プロジェクトA』で大忙しだった頃、台湾のジミー先生に林青霞(ブリジット・リン)らと共に拉致…もとい、呼ばれて作られた戦争アクションである。この作品の発端は、羅維プロで作っていた『醒拳』をジャッキーが放りだしてGHの『ヤング・マスター』に行ってしまった事から起きたトラブルが元で、このとき羅維とGHの仲介をしたのがジミー先生だとか。ジャッキーはその後も『炎の大捜査線』でジミー先生に脅され…もとい、特別出演している。
この色々ときな臭い製作背景ゆえか、本作はジャンルも定まっていないような滅茶苦茶な内容になっている。戦争モノをベースにキョンシーが登場!アマゾネス部族が登場!鄭少秋(アダム・チェン)も登場!ジャッキー作品中1、2の怪作である『神拳』も真っ青な闇鍋っぷりだ。
武術指導は趙中興率いる趙家班。名前だけではパッとしないが、実はあの袁家班の流れを組むグループなのである。彼等は台湾を本拠として活動しており、趙中興は監督としても活躍。『ミラクル・ファイター奇門遁甲』『少女戦士88』で袁家班と共に組み、『バカ拳』などの功夫片、『幽幻道士』『新・桃太郎』シリーズといったキョンシー系列の作品で頑張っていました。スタイルとしてはワイヤーを多用したアクションが主で、本作でもそれなりの仕事っぷりを見せています。
さて、本来の主役はジャッキーではなく林青霞ら特攻隊の面々であるのは有名な話だ。拉致された4人の将軍救出のために、ジミー先生に選抜された彼らがストーリーの主軸なので、当時ジャッキー目当てに見にきたガキンチョのブーイングを喰らった事は想像に難しくない。その筋書き自体も正直面白いものではなかった…が、最後に特攻隊の面々が倒れていくとこはちょっとだけウルっときました。
それでもって凄いのはクライマックスだ。かたや袴姿に日本刀を振り回しながら車を乗りまわすサムライ、こなた白い仮面にハーケンクロイツのペイントをほどこした車で疾走する、謎の軍団が現れたのだ(爆笑)!
いつしか激戦の末に生き残ったのはジャッキーだけで、実は黒幕だったジミー先生とのラストバトルへとなだれこんだ。最後にジミー先生を爆殺(!)したジャッキーはグルだった将軍を見捨て、「将軍がなんだ…戦争反対だ!」と吐き捨てて死地を後にする。私も吐き捨てておきたい…「もう勝手にやってくれ!」、と(爆

一網打盡/一網打尽
英題:The Thunder Kick
製作:1974年
▼功夫映画ドキュメンタリー『死闘伝説TRUBO!!』で最初にスタッフロールと共に流れるアクションシーンがある。染野行雄と濃い顔の李錦坤(ラリー・リー)が一進一退のバトルを繰り広げ、その場面は本編中にも李錦坤の項で再び登場する。実は本作こそがそのシーンがある映画で、監督は大怪作『癲螳螂』の葉榮祖が担当している。
■橋で通行料を搾り取っているチンピラどものところへ李錦坤が通りかかり、あっという間に連中を蹴散らした。しかし李錦坤の母は「ケンカはしないで」と嘆く…その裏にはかつて死んだ李錦坤の父の事があった。
ここまでの流れはいわゆる『ドラゴン危機一発』風だ。ケンカはしないと誓った主人公が拳を振るえず、悪党によって仲間や家族に間の手が伸び、そこでようやく主人公が立ち上がるというものだ。李小龍がブレイクした当時にバッタもん李小龍が横行したが、同様に李小龍の作品スタイルを倣った作品も数多く生まれた。それが『ドラゴン怒りの鉄拳』的な反日映画だったり、『ドラゴン危機一発』的な功夫片だった。本作の場合はここからがちょっと違うのだ。
さて、その後チンピラどもが李錦坤のお礼参りに現れた。今度は用心棒の楊斯(ヤン・スェ)も一緒だが、ちょうど李錦坤の父を尋ねてきた南宮勲(ナン・ゴンクン)とお供の火星(マース)が立ち上がった。続いて李錦坤も加勢して勝負は決し、李錦坤と南宮勲は改めて墓前で父を弔うのだった。
その後も南宮勲と親交を深める李錦坤とその家族だが、さる事情から南宮勲は彼らの元から去っていった(理由は不明)。そして実家(?)へと帰ってきた南宮勲だが、そこに染野さんら3人組の悪党が現れた。
染野さんは『龍の忍者』で真田広之に耳を切られた少林僧の役が有名だが、他にも数多くの仕事をこなしている。活動の本拠が台湾だったためか日本ではあまり知られていないが、映画出演以外にも台湾で自身の映画会社を起こし、『ゴーストパワーを持つ少女』などを製作し、現在は『忍者潜龍』のDVDインタビューで語られた豪華キャストによる大作、『大龍七戦』を製作中との事。
そんな染野さん一味に南宮勲が殺され、火星から訃報を聞いた李錦坤はさっそく染野の仕切る賭場へと偵察に向かった。そこでは日常的にイカサマが行われ、染野は不当な利益を貪っている。また、染野の手下である黄培基は阿片を横行させ、別の手下は身売りされた女を使って娼館を経営したりと、非道の限りを尽くしていた。かくして李錦坤は、黄培基・もう1人の手下・そして染野さんを次々と撃破し、南宮勲の仇を討つのだった。
▲生かし切れていない、という感じがする。李錦坤は相当な実力者である事が『死闘伝説TRUBO!!』で語られているが、本作での殺陣は全体的に思い切りが無く、非常にもっさりとしている。悪くはないが良くもなく、たまに目を見張るような連続蹴りが出てくるが、全体的にペースが守られていないのだ(見どころもラストバトルぐらい)。
クライマックスでの絡み役には劉家榮(!)・馮克安・袁信義といった凄いメンバーが確認できる。出演している黄培基もショウブラで武師の経験があり、武術指導も彼らが担当したのではないかと思われるが、私の所持しているバージョンはスタッフ等のクレジットが無いものだったため、よくわからない。その半端さ加減は作品でも生じており、特にこれといった山場も無いまま終幕している。
総括すると「もうちょっと贅沢を言ってもいいのでは?」と思うところ。この面子ならもっとグレードの高いものが望めたと思うのだが。胃もたれがするほど濃い風体の李錦坤(笑)についてはこれからに期待か?

功夫小子
英題:He Has Nothing But Kung Fu
製作:1977年
▼のちに様々な作品を世に送り出す劉家榮(リュウ・チャーヨン)の初監督作だ。実は彼の作品であまり面白いと思うようなものに出会ったことが無く、『魔宮拳』では劉家輝が劉家榮をこき使いまくって宝探しに利用し、『破戒大師』では逆に劉家輝が散々劉家勇らに振り回され、周潤發が悪役出演した『復讐は夢からはじまる』は文字通りのごった煮映画であった。
ちなみに彼の作品の中でも有数のヒット作である『魔界天使』もちょっと好きじゃないです。というのも、ホラーコメディと謳ってはいるがパッケージには気色の悪いメイクをしたゾンビみたいなのが大量に…それが気色悪くて、今も手に取っていない状態が続いています。
これ以外にはまだショウブラで監督した作品などが残っているが、本作はそんな彼の初監督作。色々と興味のあるところだが…?
■話はケチで調子のいい乞食坊主の汪禹(ワン・ユー…それにしても彼ってこんな役ばかりですねぇ)の七転八倒を描いている。金儲けに目の無い汪禹は方々で問題を起こすが、ある日記憶喪失の男・劉家輝と出会う。フーアムアイだが功夫の腕はかなり強い劉家輝に目をつけた汪禹は、劉家輝と共に功夫の修行をしながらも、以前痛い目に合わされた唐偉成の賭場でお礼参りに乱闘したりと相変わらずの調子のよさを見せる。
その後、汪禹と劉家輝は劉家輝の失われた記憶を探して旅をしていくのだが、その過程で劉家輝は良家の男で、江島の差し金によって放たれた刺客の唐偉成と銭月笙に谷へと突き落とされた事が発覚する。記憶の断片を探りながら迫り来る敵を撃破していく劉家輝と汪禹は、徐々に真相へ近付いていく…。
▲ストーリーの筋としてはこれだけだが、それにしても劉家榮は"珍道中"という展開が好きである。『魔宮拳』では劉家輝・李海生・劉家榮のトリオが羅烈を探し歩き、『破戒大師』では劉家輝・劉家勇・曾志偉のトリオが追いつつ追われながら機密文書を求めた。また、サモハンと共同で製作した『燃えよデブゴン/豚だカップル拳』も劉家榮とサモハンが互いに技を競い合いながら梁家仁と闘っていた。
本作はそれらの原点といってもいい作品だが、処女作だけに話は間延びしていたりとボチボチの出来だ。功夫アクションは天下の劉氏兄弟によるハイレベルな殺陣で、各所に李海生・劉家榮・唐偉成などといった劉氏系ではおなじみの猛者とのバトルを挟んで飽きさせない作りになっている。
しかし上記に物語の大体は解説してあるが、細部が解らずちょっともどかしい。ぜひとも日本語字幕入りで見直してみたいところだ。

「ニンジャ・キッズ」
「激闘!忍者暗殺軍団」
鬼面忍者/亡命少主/少主復仇
Ninja Kids
Venom of the ninja 1/Venom of the Ninja 2/Venom of the Ninja 3
Ninja Death 1/Ninja Death 2/Ninja Death 3
Ninja Tiger 1/Ninja Tiger 2/Ninja Tiger 3
1985(1987?・1983?)
▼郭南宏(ジョセフ・クオ)晩年の監督作である…が、この作品には謎が多い。
本作は上記の邦題がある通り日本でもリリースされた事がある。そして私が見たのは『Martial Arts 50 Movie Pack』に収録されているものだ。ところが『Martial Arts 50 Movie Pack』収録版はどういう訳か3つの作品に分かれている。これは『Martial Arts 50 Movie Pack』だけではなく、他の功夫映画やニンジャ映画のDVDパックでも同様のタイトルを確認したので、恐らく他でも3つに分割されたものが出回っていると見られる。
ちなみに出演は羅鋭(アレクサンダー・ルー)、台湾へと渡った"五毒"の鹿峰(ルー・フェン)と江生(チャン・シェン)、そして郭南宏作品の常連・龍冠武などだ。
■ストーリーはかなりややっこしい。なにしろ三本分の大容量なので仕方がないが、簡潔にすると(これでも簡潔に説明しています)こうだ。
羅鋭は娼館で小間使いとして働いていたが、育ての親である龍冠武が突如として無理矢理な修行を施し始める。実は羅鋭は日本の姫の忘れ形見で、龍冠武は姫を守りきれず、赤ん坊を伴って中国まで脱出してきたという。敵は鹿峰が率いる忍者軍団で、いよいよここまで嗅ぎつけてきたようだという。
忍者軍団の襲撃と過酷な修行の果てに羅鋭はめきめきと強くなるが敵は強い…そこで龍冠武が封印していた忍者装束に身を包み、鹿峰のアジトへ単身乗り込んだ。しかしそこに立ちはだかったのが鹿峰が笛で操る鬼面忍者だった。この鬼面忍者は龍冠武のかつての兄弟で、龍冠武は必死に呼びかけるが効果はなかった。
ピンチのところを仲間の黒忍者に救われ、羅鋭に事のあらましを説明した龍冠武は事切れてしまう…。ここまでが『Martial Arts 50 Movie Pack』に収録されている『Ninja Death 1』だ。
『Ninja Death 2』からは『Ninja Death 1』の映像を多数流用しつつ、羅鋭と黒忍者の妹(さくらという名前らしい)が、見てるこっちが恥ずかしくなるようなラブラブ修行(笑)でひとまずブレイク。そこに盲目の江生(かつての龍冠武の仲間で黒忍者の師匠)が登場し、今度は江生が羅鋭に修行を施した。
その後は黒忍者の妹が捕まったり、生きていた?姫が現れたり、鹿峰が襲撃したりと色々あって、忍者軍団に襲われた羅鋭は滝壷へ没する。そこで羅鋭は白髪の老人に助けられるが、寝惚けて老人の孫娘を手篭めにしてしまい(!)、とっとと江生たちのところへ帰ってしまう。
一方で逃げ出した黒忍者の娘は忍者軍団の追っ手から逃れていた。鬼面忍者はふんどし一丁で牢屋から脱走するわともうメチャクチャだ。
戸惑う視聴者をよそに話はどんどん進み、今度は黒忍者が龍冠武の持っていた覆面忍者を継いで鹿峰のアジトへ踏み込んだが、鹿峰が手強く一字退却を余儀なくされる。今度は帰ってきた羅鋭が江生と特訓していたが、そこに暴走殺人鬼と化した鬼面忍者が登場。これを鹿峰が回収する。
完全にストーリーが破綻しているにもかかわらず物語は続き、『Ninja Death 3』では羅鋭が江生に導かれて少林寺っぽいところで3人の妖しげな師匠と闘う。続いて鹿峰のアジトに姫の側近が忍び込むが、1人が殺されもう1人は命からがら脱出する。これまた忍者軍団の追っ手が迫るが、つくづく追っ手を放つのが好きな連中だ(苦笑
これ以降は追ったり追われたり裏切ったり裏切られたりとグダグダなストーリーが続き、最後は江生を殺された羅鋭たち3人がアジトに攻め込み大乱闘を展開する。正直粗筋だけを書くのも辛いぐらいだったが、ストーリーは以上である。
▲先に紹介した日本版ではこのグダグダな長いストーリーが一本(90分)に纏められていると聞くが、この全長版(と、一応呼称します)の尺の長さは異様だ。流用映像を抜きにしても軽く3時間近くはあるし、この状態で一本扱いだとすると本作はかなりの大長編という事になる。
作中のアクションはかなり高度なものをポンポンと展開しているが、それも全部過剰な早回し処理によって台無しになっている(これはいくつかの羅鋭作品でもいえる事)。それに最初こそは凄いと思っていても、3時間近い長尺なストーリーと共に追っていくのはいくらなんでもキツいものがある。アクションと物語の比率で言えばアクションの時間は2時間くらい続くのだ。
果たして、もともと90分だったものに追加撮影をしたものがこの『Ninja Death』シリーズなのか?
それとも、逆にこの3時間近い全長版を縮めて90分にしたのが『鬼面忍者』なのだろうか?
もしかしたら単に電視劇だったものを総集編的にまとめたのなのか?(もっとも、作中はかなりお色気シーンがいっぱいあったのでこの可能性は薄い)
そもそも、90分の日本でもパッケージ化されているものと全長版のどちらが正規のものなのか?
それを知っているのは、それこそ今や天の人となってしまった郭南宏だけなのかもしれない。
(日本版を見た事がある人がいたら、どんな感じだったか聞いてみたいところです)

「ブルース・リィの刑事物語」
原題:猛男大賊[月因]脂虎/老大[才并]命
英題:Image of Bruce Lee/Storming Attacks
製作:1978年
●英題の『Image of Bruce Lee』で知っている人も多い、何宗道(ホー・チョンドー)主演作である。
香港で偽札が横行しはじめ、さっそく捜査一課のヒゲ刑事・張雷が潜入捜査を開始する。が、そこには何故か何宗道の姿があった。実は何宗道も警察上層部が諜報員として放った凄腕警官で、上官は世界各国に張り巡らされた偽札のシンジケートとそれを仕切る各国の悪党たちの存在を仄めかし、事件の解決とシンジケートの壊滅を何宗道と張雷に委ねるのだった(この場面がもろ『燃えよドラゴン』タッチ)。
ストーリーはこれ以後、何宗道か張雷が組織に殴り込みをかける→いい勝負になるが逃げられる→また殴りこみ…のローテーションとなる。しかしこのシンジケートの面子が凄く、首領の韓英傑(ハン・インチェ!)を筆頭に、『ゴルゴ13・九竜の首』の丹娜(ダナ)、のちに成家班入りする張午郎(チェン・ウーロン)、そしてバッタもん作品にはお馴染みの楊斯(ヤン・スェ)と、そうそうたるメンバーである。
それもそのはず、本作はクオリティの高い作品作りに定評のある協利電影作品なのだ。
本作では韓英傑を出演させて"バッタもん李小龍VS本物の李小龍と闘った男"というありそうでなかった組み合わせを実現させている(これ以外に"バッタもん李小龍VS本物の李小龍と闘った男"という図式が実現されたのは『龍的影子』の何宗道VSダン・イノサントぐらいか)。なお、協利は『匯峰號黄金大風暴/闖禍』という作品でも何宗道を再び起用しており、他のバッタもん映画には無い新鮮味を加えている。
その後、警察に尻尾を掴まれた楊斯(今回は日本人役で役名はキムラ!)が組織に粛清される。何宗道と張雷は一味を追ってアジトに乗り込むが、捕まって2人ともガスで殺されそうになる。そんな彼らを助けたのはなんと丹娜!彼女は東京から来た潜入捜査官だったのだ!ここで流れるBGMが『Gメン75』の曲なのだが…なるほどそういう事ですか(笑
そして、最後は何宗道&張雷&丹娜VS韓英傑&張午郎という豪華な大乱戦で締めとなる。武術指導は不明だが、協利作品らしくなかなかのレベルのバトルを見せていて退屈しない。所々で何宗道が李小龍っぽい仕草をするものの、全体的なアクションはしっかりとしている。
韓英傑の最後がちょっと納得いかず、丹娜が幾度も披露するオールヌードであまり人にはオススメできない感じになっているのが惜しいが、何宗道作品では比較的マシな方。一見の価値はあります。