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続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


石破天驚
The Awaken Punch/Village on Fire/Buddhist Shaolin Avengers
1973

●この作品は二束三文でたまたま入手したもので、最初は典型的なB級功夫片…と思っていました。というのも、実は後から知ったのですが、本作には端役時代のジャッキーが出演しているらしいのです。主演は『カラテ愚連隊』の于洋(ヘンリー・ユー・ヤン)だが、本作の武術指導はなんと袁和平(ユエン・ウーピン)だ。作中には袁信義も出ているのでまさかと思ったが、袁和平らしき顔も劇中確認する事ができた。
話はよくある『ドラゴン危機一発』形式の物語で、流れ者だった于洋が父の死をきっかけに実家へと戻り、ケンカはしないと誓うが、悪党の嫌がらせに身内を殺され、最終的に返り討ちにするというありきたりな内容だ。
立ちはだかる敵は山怪や馮克安といった通好みの連中揃いで、驚いた事にその親玉が田豐(ティエン・ファン)なのだ。田豐といえば『ドラゴン怒りの鉄拳』『ヤング・マスター/師弟出馬』などで師範代や先生役をしていたお馴染みの顔だが、意外にも悪役仕事も多かったらしい(そういえば『用心棒ドラゴン』では倉田保昭を飼っている悪党のボスでしたね)。
でも、だからと言ってラスボスが田豐って微妙だなぁ…。馮克安あたりでかなりのバトルが作れそうだったんですが、その馮克安も瞬殺されてましたし、正直言って最後の于洋VS田豐はかなりタルいです。袁和平指導のアクションでそれなりには見れるんですが、夜から朝まで延々と殴りあう擬似マラソンバトルは特に面白いものでもありません。
ところでジャッキーなんですが、私の入手したバージョンはいくつか場面がカットされた形跡のある粗末なDVDだったので、これだと解るような場面はありませんでした。ざ、残念…。


「キラー・ドラゴン流星拳」
「ファイナル・ドラゴン」
原題:風・雨・雙流星
英題:Killer Meteor/Killer Meteors
製作:1977年

▼李小龍亡き後、ジャッキーがブレイクする前までの香港映画界では武侠片ブームが巻き起こっていました。特にショウ・ブラザーズでは楚原を始めとした優秀な監督たちによって次々と傑作が作られ、ブレイク前のジャッキーも『成龍拳』『神拳』などで武侠片に挑戦しています。…が、いまいち成功できずにいました。
本作はジミー先生が主役を演じた武侠片ですが、この作品でジャッキーは悪役として担ぎ出されてしまいます。ちなみに脚本を担当したのは、かの『楚留香』を生み出した有名な武侠小説家の古龍(クー・ロン)。彼は一連のジャッキー武侠片でもシナリオや原作を担当しています。
 かつての大スターと、武侠小説の大家による脚本。制作スタッフはこの2つを作品の売りにしようとしましたが、作品は失敗に終わりました。かたや都落ちした片腕ドラゴン、こなた奇天烈な超展開が大好きなライターが並び立った時点で、本作の出来は決まっていたのです。
こんな強烈すぎる2人に挟まれていた当時のジャッキーは、どんな気持ちで撮影に臨んでいたのでしょうか…(汗

■誰も見たことがない最強の武器・奪命流星を持つジミー先生のもとに、無花病と名乗る貴族・ジャッキーから殺しの依頼が舞い込んだ。ジャッキー曰く、自分を秘密裏に殺そうとした妻を殺害して欲しいというのだ。
依頼を受けたジミー先生であったが、彼の正体は秘密捜査官。5年前に起きた宝物強奪の容疑者であるジャッキーの尻尾を捕まえるべく、刺客に扮して接近を試みていたのである。彼は事件の真相を探ろうとするが、ジャッキーとその妻は突然の怪死を遂げ、全ては闇の中へと消えてしまった。
 ところが実はジャッキーの妻は生きていた。しかもその正体はジミー先生に指令を出した上官・[イ冬]林の娘で、宝物強奪から始まった一連の事件の黒幕こそが[イ冬]林だったのだ。ジミー先生は仲間の拳士と共に闘い、奪命流星で[イ冬]林の息の根を止めた。
すると、そこにこちらも生きていたジャッキーが現れる(全ては[イ冬]林とグルだった)。奪命流星の秘密を見たジャッキーは余裕の表情を見せるが、この武器には隠されたもう1つの機能が存在していた。かくして、ここに最後の戦いの幕が上がる!

▲武侠片はその複雑なストーリー上、謎解きの要素が入ることがよくあります。この謎解きこそが武侠片の醍醐味であり、本作もその要素を重視している…んですが、正直言ってコレはやりすぎです(苦笑
先の見えない無軌道な展開、ラストのグダグダなどんでん返しなど、本作の謎に関する描写はどれも突拍子無いものばかり。マジでやっているのかギャグなのか判断がつきかねるシーンも多く、ほとんど反則なジミー先生の最強武器にいたっては出てくる映画のジャンルすら間違っています(爆
 登場人物についても個性的なキャラだらけで、特に鳴り物入りで登場した四天王がジミー先生に一瞬で倒されるシーンは爆笑必至の迷場面です。ここまでムチャクチャだと、わざとウケ狙いで作ってるとしか思えません。
そんなわけでバカ映画としては最高、ジミー作品としては至高、ジャッキー映画としては微妙すぎる本作。純粋なジャッキー映画のファンは決して真面目に見ないことをオススメします(笑


神腿鐵扇功
Snuff Bottle Connection
1977

●この映画は呉思遠(ン・シー・エン)によって『酔拳』『蛇拳』の前に製作された作品である。スタッフも武術指導が袁和平(ユエン・ウーピン)と徐蝦、出演も劉忠良(ジョン・リュウ)&黄正利の『南拳北腿』コンビが、その他に『蛇拳』の宣教師であるロイ・ホランや『秘法・睡拳』の黄一龍などの顔が揃っている。
話は英語吹替え字幕無しのものを見たので詳しくは解らないが、時代設定は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』ぐらいの頃のようだ。ある密命を受けた劉忠良がスリで弟分の葉飛楊(と黄一龍)と協力し、ロシア使節団を率いるロイ・ホランの銃を狙う(?)。だが、真の敵は密命を言い渡した黄正利その人だった。
真実を知った二人に黄正利らの間の手が迫り、劉忠良の仲間たちも殺されてしまった。その後劉忠良はあえて黄正利に近付いてその狙いを看破。しかし劉忠良のいない間に葉飛楊が襲撃を受けてしまった。治療のために身を隠すが、その隙を狙ってロイ・ホランらの刺客に黄一龍が殺される。劉忠良と葉飛楊は全てのケリをつけるべく、黄正利とロイ・ホランたちに戦いを挑む!
主演の葉飛楊は"華の無い孟飛"な感じで地味だったが(これ以後目立った出演作が無いところを見ると、あまり売れなかったのか?)、劉忠良は得意の足技と次々と披露しており、クライマックスでの劉忠良&葉飛楊VS黄正利では見事な技のアンサンブルが楽しめる。やはり袁和平が指導していると功夫アクションは安心して見られるなぁ…。絡み役に元彪や元奎に銭月笙という豪華なメンツも見逃せないところでもあります(元奎はザコながら、ちょっとオイシイ役で登場します)が、本作の難点は話が良く解らない点だ。
ややこしい展開が続くのでビジュアルだけで判断するには解りづらい箇所があり、もっとストーリーが把握できていたら更に楽しめたと思うのだが…これだけはちびっと残念でした。


「サイキックSFX/魔界戦士」
奇縁
WITCH FROM NEPAL/A TOUCH OF LOVE/NEPAL AFFAIR
1985

●こりゃまた訳の解らない作品だなぁ…。ポニーキャニオンがリリースした「香港ファンタスティックビデオシリーズ」のうちの一本。あのシリーズで自分がまだ見ていないのは『人嚇鬼』『霊幻追鬼』『アーメン・オーメン・カンフーメン』ぐらいかな(とはいえ、全部見たいと思うようなものじゃないのだが)。
で、本作は『妖刀・斬首剣』に引き続いて程小東(チン・シウトン)がメガホンを取った作品だ。先のポニーキャニオン版予告編では主演の周潤發(チョウ・ユンファ)と朱寶意(エミリー・チュウ)のラブシーン、一瞬で爆散する狄威(ディック・ウェイ)、天井を突き抜けるエレベータ、ビルの間を吹っ飛ぶ周潤發などがあり、個人的には程小東版『AKIRA』か?と思っていたが、実際はかなりタルいものでした。
ヒマラヤ奥地の神の使いが悪魔の使い狄威に負け、新たな神の使い候補である周潤發に朱寶意が近付く。あの予告編を見ていたら、ここから超能力に覚醒した周潤發が程小東お得意のワイヤーアクションでビュンビュンと香港の大都会を飛び回るのでは…と思うところだが、実際は周潤發と朱寶意のイチャイチャが続き、話が動き出すのは一時間を過ぎてからだ。はっきり言ってかなりかったるい。
周潤發は何を根拠に行動しているのか良く解らないし、既に彼女がいるにも関わらず朱寶意とラブラブしまくっている図には違和感を感じた。全体的に演出も間延びしているし、いつもの程小東らしい素早さが感じられなかったのは痛かった。
ちなみに本作の武術指導は程小東を筆頭に、"五毒"の郭振鋒(フィリップ・コク)、『レディ・ウェポン』や『妖刀・斬首剣』でも程小東と組んだ劉志豪、独立プロの勇である徐忠信とそうそうたるメンバーぞろいだ。にもかかわらず本作のアクションシーンは大半がワイヤーでバサバサ飛んだり跳ねたりするだけで、肉弾戦は冒頭とラストにちょっとずつという有様だ。『少林寺三十六房』で童千斤を演じた呉杭生も出ているとのことだったが、冒頭登場する先代の神の使いがそれだろうか?だとしたら狄威とのショウブラ出身同士の対決として興味深いものがある。
が、スタッフは充実していてもこの出来じゃあ…なんだか先日の『闇武者』と似た印象を感じました。


「闇武者」
製作:2003年

●武術指導が『SPL/狼よ静かに死ね』の谷垣健治!ということで見てみたVシネ作品なんですが…これがまた、色んな意味でブッ飛んでた作品でした(爆
ストーリーは…ありません。これは誇張などではなく、ホントにストーリーが無いのです。琵琶に刀とロケットランチャーを仕込んだ主人公の耳なし芳一(なぜか水中眼鏡とヘッドギア装着)が、冥府魔道の怨霊たちを1人ずつ斬っていくだけで、話らしい話は存在しないのです(荒唐無稽さで言えばジミー先生の諸作品と同レベル)。
 ちなみに登場する怨霊は宮本武蔵、佐々木小次郎、アメフト装備の弁慶、足りない女っ気を補う為に性別を変更された牛若丸、三本の腕を持つ沖田総司、版権の関係で微妙な名前になった子連れ狼(作中では子連れ侍・頼一刀と小五郎)、そしてビリー・ザ・キッドという顔ぶれ。なんとなく『魔界転生』を彷彿とさせるメンバーですが、個々のキャラ付けはとことん薄味です。
物語はたまに前衛的なトリップ場面を挿入しつつ、最後は冥府魔道の主と最終決戦を迎えます。本作で谷垣導演は程小東(チン・シウトン)チックな殺陣を構築し、ワイヤーで主人公が空を飛び回る高度なアクションを演出していました。ラストは今まで倒した怨霊たちが復活してバトルロワイヤル…になりますが、敵が主人公そっちのけで小競り合いを始めたり、勝手に成仏したりとメチャクチャなことになっています(苦笑
オチは続編を匂わすものでしたが、流石にこのストーリー性の無さはキツ過ぎます。谷垣導演の担当したアクション以外に見るべきものが無く、ギャグともシリアスとも取れぬ演出が展開される様は、シュールを通り越して意味不明。個人的には一回見たらもう充分といった感じでした(汗

【2010年:追記】上記に「オチは続編を匂わす云々」とか書いてましたが、なんとまさかの続編『新・闇武者 魔道封印』がリリース決定!今回も谷垣導演が武術指導を担当しているようですが…み、見るべきかスルーすべきか……(滝汗