続・功夫電影専科 -130ページ目

続・功夫電影専科

香港映画を始めとした古今東西のアクション映画の感想などを書き連ねています。


「ストリート・クライム」
原題:Street Crimes
製作:1992年

●警察官のマイケル・ワースと相棒のデニス・ファリナ(定年間近)は、あるとき街のチンピラから果し合いを申し込まれ、古惚けたリングの上で雌雄を決した。このことがきっかけで他の警官もチンピラに勝負を挑まれる機会が多くなり、いつしか警官VSチンピラによる格闘イベントのようなものへと発展していった。
これによりチンピラたちに団結心が芽生え始め、なんとなくいい雰囲気になっていく。だが、マイケルの旧友で暗黒街の顔役であるジェームズ・T・モリスは、このイベントによって麻薬の売り上げが落ちている事に渋い顔をしていた。
 非情なジェームズは、マイケルたちのイベントにプロ格闘家を送り込んだりと揺さぶりを仕掛け、ついにはマイケルの友人となっていたチンピラたちのリーダーが殺されてしまった。全てを支配しようとするジェームズはマイケルの動きを抑えるべく、彼の恋人(パトリシア・ゼヘントマイル)を誘拐する。
なんとか彼女を助け出したマイケルは、全ての決着をつけようとジェームズに対決を挑むが…。

 マーシャルアーツ映画で主人公が警察官だと、アンダーカバー(潜入捜査)的な展開になりやすい傾向があります。ちょっと前にレビューした『ファイア・パワー』しかり、傑作の『アンダー・カバー/炎の復讐』しかり…。
そして本作もロス市警の警官が主人公なんですが、今回は他と違ってドラマ部分が強化されています。同僚との確執、マイケルとパトリシアの恋愛模様、娘であるパトリシアの恋路を見つめるデニス、アングラな事件などが本筋に絡んでくるのです。
こうしたドラマ部分の強化に加え、イベントを通じてワルたちと警官が仲良くなっていくユニークさもあり、本作は凡百のポリスアクションとは趣を異にしていました。また、この手の作品だとヒロインが邪魔だったりしますが、そうしたエピソードも本筋に無理なく融合されています。

 こうなると気になるのが格闘描写ですが、カメラワークに難のあった『ハードブロー』(同じマイケルの主演作)に対し、本作では視点を揺らさずアクションをしっかりとキャプチャー。殺陣もなかなか面白く、マイケルの伸びやかな蹴り技は本作でも健在でした。
ただ、立ち回りの感覚が少し間延びしていて、何よりもラスボスのジェームズが格闘映画にありがちな“マッチョなパワーファイターだが動きが遅い”キャラだったのにはガッカリ。とはいえ、全体的な格闘アクションのレベルは悪くなかったと思います。
 なお、本作でマイケルは時おり甲高い怪鳥音を発し、李小龍(ブルース・リー)っぽい仕草をしつつ闘っています。それもそのはず、本作では何とジークンドー指導という肩書きでジェリー・ポティート氏が関わっているのです。
彼は李小龍から実際に指導を受けた截拳道のインストラクターで、あの『ドラゴン/ブルース・リー物語』などにも参加しているようです。でも、本作でジークンドーが有機的に機能していたかと言うと…う~ん(苦笑


「ドラゴン・キッズ/七福星」
「カラテキッド七小福」
原題:七小福/7小福
英題:Lucky Seven/Seven Little Lucky/7 Ninja Kids
製作:1985年

●以前、"好小子"特集で様々な好小子系列の作品を紹介した事があるが、この作品はその時レビューが敵わず、見ることが出来なかった一本だ。言うまでも無いが本作は傑作だった『カンフー・キッド/好小子』の便乗作品であるのだが、本家との差別化を図って登場する好小子を7人にしたりするなど、一応はそれなりに考えられて作られているように見える。
しかし、物語は夏休みを楽しんでいた七人のガキがダイヤ争奪戦に首を突っ込むだけというもので、『カンフー・キッド』にあったような家族の絆といった筋の通った題材は無い。つまり、本作は「好小子たちがずっとはっちゃけて遊んでいる姿のみを撮っただけ」という感じの仕上がりになっているのだ。
出演している七人の好小子たちは、それぞれ女の子・猿っぽい子・デブ・ロッキー・スケボー・李小龍・ニンジャと、それぞれに個性を持たせようと特色を分けている。だが、さすがに七人という人数は多かったのではないだろうか。「特色を分けている」と書いたが、その特色はあまり上手に分けられてはいないのが実情だ。『カンフー・キッド』でさえ、デブの陳崇榮以外はキャラ立ちがあまり出来ていなかったのに、七人に増やすとはそれこそ自殺行為だったと言えなくもない。
ただ、功夫アクションについては本家に勝るとも劣らない勢いのあるアクションになっているのは流石だ。邱英洪の指導によるアクションは危険なスタントなどで本家に対抗。ここだけに関して言えば、『カンフー・キッド』に近い迫力だった(ちょっと早回しを多用気味だけど)。
そして本作で一番目を引くのは、やはり『カンフー・キッド』にも出演した台湾の黒人アクター、ユージン・トーマスだろう。本作でも子供を相手に容赦の無い蹴りを放っており、ニンジャ映画で羅鋭らと闘った威圧感を存分に示していた。
明らかに好小子が何人か人を殺していたり、いきなり殺伐とした展開になったりと細部に気になる点はあるものの、これはこれで面白いと思うのだが…。


神傘奇侠
英題:Swordsman with an Umbrella/Magnificent Swordsman
製作:1970年

▼解説の前に、本作の奇妙な点について触れたい。私の入手したバージョンは中英文二段字幕の出る英語吹替え版だったのだが、何故か効果音などが後から乗せられたような不自然な音質になっており、吹替え音声もかなり違和感がある。アクションシーンでは効果音も声も原語のものが使用されているようだが、この不思議な仕様は何なのだろうか…?
制作年代を見ても解るとおり、本作は少し古い作品だ。知っている顔もほとんど出てこない(敵の一味に李強が、敵の幹部に孫越がいるくらい)が、物語の方はサスペンス武侠片といった感じだ。

■武林で次々と殺戮が行われ、その現場にはいつも鐵傘書生と書き残されていた。武林の名士たちは暴挙に及んだ鐵傘書生の抹殺指令を下した。
一方、鐵傘書生はある女剣士と出会い、自分の過去を語っていた。かつて幼少のおり、鐵傘書生は額にキズのある男によって両親を殺され、自らも崖から落ちたという。そんな彼を助けたのが、のちに鐵傘書生の師匠となる老人だった。教えを請い、15年の間修行を共にした"鐵傘書生"はたくましく成長。鐵傘を鐵傘書生に受け継がせた師匠はその後自害し、鐵傘書生は師匠から託された容疑者リスト(?)を元に、仇を討つため闘っていたのだ。
鐵傘書生の前には武林の名士たちや投げ銭を使う女刺客など、様々な敵が立ちはだかる。そんな中、次に現れたのは「威震武林」を掲げて暗躍する、黒覆面の首領が率いる組織だった。さすがの鐵傘書生も物量には敵わず捕らえられてしまったが、先の女剣士が仲間と共に救援に駆けつけた。脱出に成功した鐵傘書生は女剣士に匿われるも、そこに投げ銭の女刺客が姿を見せる。鐵傘書生の寝込みを襲おうとしたが、不本意だったのか彼女は引き下がった。
その頃、女剣士は敵のアジトに置き去りになっていた鐵の傘を奪還し、追っ手を蹴散らしながら鐵傘書生のもとへ戻っていた。ここまでいいとこなしだった鐵傘書生は、女剣士からもらった拳法の指南書で修行の練り直しをし、後日傷が癒えてから再び黒覆面の組織との戦いにはせ参じた。大勢の敵をものともせず、黒覆面の首領と対峙する鐵傘書生だが…。

▲本作でまず気になったのは、主人公の鐵傘書生が強いのか弱いのかよく解らない点だ。武林の名士たちを一瞬で退けたかと思いきや、敵の下っ端に不意打ちを食らってもがいたりと、かなり描き方が曖昧である。曖昧といえば、ストーリーに関してもよくわからない部分が多く、額にキズのある男の件も黒覆面の首領の正体も曖昧なまま終わってしまっている。もっとも、これは台詞が解ればどうにかなるかもしれないが…。
アクションについては武術指導のテロップが無かったので不明だが、当時としてはそこそこ頑張っていたのではないだろうか。特に(悪い意味で)注目すべきはラストバトルで、かなり斬新な手法で撮影されている。というのも、スローモーションを使わずにスローな動きをやっているという失笑モノの場面が繰り広げられるのだ(爆
斬新な手法なのはまぁいいが、このラスボス戦がすぐ終わってしまったので、物足りなさを感じてしまったのが正直なところである。


「ドルフ・ラングレン ストーム・キャッチャー」
原題:STORM CATCHER
製作:1999年

●本作はドルフ・ラングレン主演のゆるーいスカイアクションである。
主人公のドルフは最新鋭ステルス戦闘機"ストーム・キャッチャー"のテストパイロットで、仲間にも上司にも家族にも恵まれた生活を送っており、休暇を家族や友人でステルスのオペレーターであるマイストロ・クラークと共に過ごしていた。ところが、ドルフの仲間である副パイロットがドルフの名を騙って"ストーム・キャッチャー"を強奪。ドルフは一時的に拉致られてステルス機強奪犯の汚名を着せられてしまった。
ところが、護送中のドルフを何者かが襲った。どうにか脱出したドルフはクラークに自分を襲った連中の正体を究明するよう頼むと、家族を避難させようといったん家へと戻った。が、敵はすぐさま襲撃に現れ、妻が傷付いてしまう。数少ない証拠から真実に迫っていくドルフとクラークはアメリカ軍内に潜む暗部へと辿り着くのだが、そこには思わぬ黒幕が待ち構えていた…。
本作はあまりにもお約束なストーリーで成り立っている。
クラークと上官が敵の正体について会話する場面でもう誰が黒幕なのか解ってしまうし(笑)、取ってつけたような国家・軍部批判もあからさまだ。また、そのせいなのか"お約束"以外の部分がスカスカなのである。思わせぶりに登場していたCIAの連中はほとんど意味の無いキャラだったし、逃亡犯になっているはずのドルフが普通に病院や飛行場にポンポン現れたりと、肝心なところでこの作品は詰めが甘いのだ。
特に気になったポイントは2点ある。まず事件の黒幕である組織も千人の構成員がいるというのに、始末されたのは親玉と手下が数人だけ(それほどの規模の組織なら、ボスがいなくなってもある程度やっていけそうな気がする)という点。そしてドルフは結局自分の汚名を晴らしていない(登場する悪党や真実に近付いた人間はほぼ全員死んでいるので、生き証人がいない)点だ。
特に後者に関しては、ラストのオチで台無しにしてしまっているのが気がかりだ。あんな最新鋭のステルス戦闘機なんだから、弁償するとなると幾らになるやら…。
アクションではクライマックスにドルフVS副パイロットのバトルがあるが、そこでドルフはなんと長椅子を武器にするのだ。ジャッキー映画ではよく椅子が武器として使用されるが、本作のような長椅子の使い方は、まずジャッキーにはできまい(苦笑
スカイ・アクションというだけあってステルス戦闘機の出番は沢山あり、こちらもこちらでそれなりに迫力がある。最新技術の結晶ということで、"ストーム・キャッチャー"は様々な機能を披露してくれる…が、最終的に劇中で破壊したのはボロっちい車1台というのは、いささか悲惨ではなかろうか(爆)。私は広大な敵の基地を派手に空爆するのかと思っていたので、これにはかなりガッカリさせられてしまいました。
なお、本作でドルフの声を担当したのは、セガールの声優でお馴染みの大塚明夫氏。なのでドルフがセガールに見えて仕方が無かったが、このほかにビッグネームがもうひとり出演している。それが『勇者王ガオガイガー』の獅子王凱役などで知られる檜山修之だ。彼は本作では敵の一味の1人で、ドルフを監視するため一緒にステルスに乗り込む男の役で出ているのだが、いやぁこれが目立つ目立つ(笑)。洋画だとこういうことがあるから面白いです。


The Real Bruce Lee
別題:Bruce Lee The Little Dragon/The Young Bruce Lee
製作:1977年

●マニアの間ではかなり有名な本作は、バッタもん李小龍の1人である巨龍(ドラゴン・リー)が発掘された初めての作品…なのかな?
李小龍のドキュメンタリーといえば、以前紹介した最低のエセドキュメント『ブルース・リー/恐怖の鉄拳 死の香り』が思い浮かぶが、本作は一応きちんとしたドキュメンタリーとなっている。内容も子役時代の映像を交えたり『麒麟掌』記者会見の映像を挿入したりと、ある程度見られるものに仕上がっているのだ。
ストーリーは李小龍の生涯をなぞっていく構成だが、前半30分を過ぎてからはバッタもん李小龍たちの紹介シークエンスとなり、ここで出てくるのが何宗道(ホー・チョン・ドー)や巨龍たちである(ちなみに呂小龍はポスターだけチラッと登場する)。
中盤10分ほどを何宗道の紹介に終始し、その後に巨龍の初主演作『最後の精武門』のダイジェストが映される。本作の3分の2はこの『最後の精武門』で占められており、巨龍がかなりクローズアップされた紹介をされている(本作で巨龍を売り出そうという目論みもあったのだろうか)。
『最後の精武門』に関してはストーリーを事細かに語るまでも無い。いつもの精武門系列にありきたりな日本人とのバトルが主な内容で、そこに謎の白いニンジャが絡んでくる…といった感じだ。
出てくる連中も金珠や崔旻奎(マーティン・チュイ)といった韓国産功夫片いつもの顔ばっかりだが、アクションのほうは初主演作というだけあって巨龍も頑張っており、ラストの大乱戦だけは中々面白い。ところで、日本人のアジトに飾ってあった傘を持つ女性が写ったポスターが気になるのは私だけであろうか?やけに爽やかな感じのポスターが場の雰囲気と全然あっていないような気がするのだが(爆
なお、本作に収録されている物はあくまでもダイジェストであるため、これとは別に全長版も存在するが…見たいような見たくないような(苦笑