
「バウンティ・ハンター/死の報酬」
BOUNTY TRACKER
1992
●そういえばロレンツォ・ラマスの主演作をあまり見ていない気がしたので拝見した作品だが、久々にこれは当たりだったかも。
ラマスは流浪の賞金稼ぎ。今日も賞金首を捕らえて意気揚々のラマスだが、脱税事件の証人となっていた兄とその奥さんが、事件の被告が雇った殺し屋一味によって殺されてしまう。怒りに燃えるラマスは賞金首になっている殺し屋一味のマシアス・ヒューズらを執拗に追いかけるが、マシアスたちは次なるターゲットを定めつつあった…。
というわけで、ストーリーは単にラマスが凶行を働くマシアスたちを追うだけというもので、前に紹介した『ハイボルテージ』もかくやといったシンプルな話だ。
だが本作は格闘アクションが豊富にあり、敵も味方も十分暴れてくれてバッチリ。そのうえアクション指導がジェフ・プルートと坂本浩一なので高クオリティを保障されたも同然だ(当然彼らも劇中に登場…今回はジェフより坂本さんが目立っていました・笑)。
特に本作で収穫だったのは、マシアスのアクションである。マシアスはいつも楊斯(ヤン・スェ)みたいなキン肉マンとして多くの作品に出ているが、パワーファイターというキャラクターのためか、彼の見ごたえあるアクションに出会ったのは『レイジング・サンダー』だけだった。だが本作でマシアスは結構いい動きを見せており、ラストバトルでのラマスVSマシアス戦もダレることは無かった(やはりこのへんは武術指導の勝利でしょうか)。
悪党は全員倒れ、当初の暗い雰囲気とは対照的なオチも印象的な一本。たまにこんな作品と出会えるからマーシャルアーツ映画はやめられません。

「ハイボルテージ」
HIGH VOLTAGE
1997
●監督がアイザック・フロレンティーンなので格闘アクション的なものを期待してしまいがちだが、本作は主なスタントがガンアクションに終始している。そのため、そっち方面の過剰な期待は禁物である。
主人公のアントニオ・サバト・Jrは仲間と徒党を組んで暗躍する強盗グループのリーダー。今日が最後の仕事と言って李香凝(シャノン・リー)の経営する小規模の銀行に押し入ったのだが、そこはマフィアの息が掛かった銀行だった。そのためアントニオたちは一銭の儲けもないままトンズラをこくハメになってしまったのだが、自分たちの顔に泥を塗られたマフィアたちはアントニオ一行を追って動き始めた…。
要するに本作はアントニオたちが追われるだけの内容だ。途中で李香凝が合流し、マフィアたちの追っ手と闘う道中記に徹しているため、ストーリーは『ブラック・ソルジャー』の時よりも薄くなってしまっている。とはいえ、作中で繰り広げられるガンアクションは気合いが入っててそれなりに見られる。格闘アクションは中盤とクライマックスで二度ほど行われるだけだが、こちらもアントニオや李香凝らが華麗な動きを見せてくれている。
惜しむらくは、途中で出てくる無法者夫婦が余計なキャラだったことと、ジェームス・リューがあんまり目立っていなかった事だろうか。ちなみにマフィアの親分を演じていたアジア系のおっさんは、確か『リーサル・ウェポン4』で李連杰(ジェット・リー)の手下を、『ラッシュ・アワー』でスーヤンを送っていた運転手を演じていた人(だと思う)だ。
このおっさんが同じ『リーサル・ウェポン4』で活躍したジェームスを従えているという構図に、なんとなく運命めいたものを感じたりしちゃいました(笑

四狼
Four Wolves/Horror Holiday
1983
●(※…画像は本作を収録したDVDパックです)
空港のトイレで1人の男が四人組(うち1人が張華)の男に暴行されて死んだ。そこに居合わせた張午郎(チャン・ウーロン)は死に際の男からあるフィルムを譲り受けたが、それを四人組は見逃さなかった。
胡慧中(シベール・フー)を連れ立って街を闊歩する張午郎は、喫茶店で譚道良(タン・タオリャン)とその連れの女と知り合う。折りしも街はお祭りでにぎわっているが、四人組の追求は止まらない。果たして四人組の目的と、託されたフィルムの正体は…?
本作はサスペンスタッチの現代アクションであるが、色々と珍しい点の多い作品だ。
まず譚道良の現代劇という時点で珍しいし、あの胡慧中が普通のキャーキャー言ってる女の子を演じているというのもかなり珍しいといえるだろう(笑)。胡慧中はストーリー中盤で退場してしまうものの、張午郎とイチャイチャしたり顔面にケーキをぶつけられたりと、『大福星』でのクールな彼女を見慣れているとビックリするような姿を見ることができる(ちなみに胡慧中が『大福星』に出演するのはこの二年後)。
ストーリーは硬軟織り交ぜた感じのもので、しきりにお祭りや行事のカットが挿入される(観光タイアップ作品か?)のが気になるが、とりあえずは無難な作りの作品だ。
この手の作品には珍しくカースタントや爆破シーンなどで画面を彩っているが、残念ながら功夫アクションはそんなに多くない。功夫アクションの見せ場はクライマックスだけで、譚道良は今回フラッシュ・レッグを見せないし(譚道良自身のアクションシーンも少なめ)、ラストはバイクスタントで終わってしまっている。
恐らくは現代劇ということで功夫を控えめにして泥臭さの回避を目指したのだろうが、足技の無い譚道良なんて肉の無いチンジャオロースのようなもの。これにはちょっとガッカリしてしまいました。

「キョンシー大魔王」
茅山學堂/靈幻祖師/中華第一隻彊屍
The First Vampire in China
1986
●本作は典型的な『霊幻道士』フォロワーで、日本でビデオが出た際には石堅(シー・キェン)が出演している事がウリとされたが、実際には色んなスターが出演している作品なのである(後述)。
石堅が長を務める霊幻道士の道場がある村に、新任の警察長官・曹査理がやって来た。幽霊を信じない曹査理に、村長の楚原(チュー・ヤン)をはじめとした人々は困惑するばかり。そんなある日、洞窟で玉のかけらを見つけて欲に目がくらんだ曹査理は、あろうことか墓を爆破。そこから曹査理は玉と金で装飾されたミイラを運び出してしまうのだが、このミイラこそ中国最古のキョンシーだったのだ。
このことが発端となってキョンシーが復活を開始。石堅は弟子の浩光(アンソニー・タン)と潘健君(トニー・プーン)を伴って曹査理の屋敷に潜入するが、とっくに曹査理が掘り出したキョンシーは蘇えっていた。どうにかキョンシーを退けた石堅一行は襲撃に備えるのだが、敵はすぐそこまで迫っていた…!
先述したとおり本作は便乗作品なのだが、製作が恒生であるためか特殊効果やアクションなどはそれなりに作りこんである。確かに『霊幻道士』よろしく糸を使ったバトルや、息を止めて右往左往したりする場面などがあったりするが、『幽霊道士』のようにスタントをケチったりすることは無い。また、クライマックスのバトルが集団戦であるという点も珍しく、恐らく当時の便乗作品の中ではそれなりに面白い方だと思われる。
本作では林正英の役を石堅が、錢小豪に相当する役柄を浩光と潘健君(彼は本作の武術指導を江道海と共に兼任)が担当。李賽鳳に当たるヒロイン枠には2人の女優(名前不明)を配し、樓南光のポジションを曹査理が務めている。
みんなそれなりに持ち味を発揮してはいるが、やっぱり曹査理だけはしっくりこない。それどころか、どうにか笑いを取ろうと奮闘している様が逆に痛々しく感じてしまったほどだ。『幽霊道士』の項でも触れたが、あのイヤミなのにどこか愛嬌のある樓南光の役は、袁小田が演じた赤鼻じいちゃんのように、容易に真似できるようなものではないのかもしれない(そう考えると、樓南光って凄い人なのかも…?)。
そんな曹査理だが、劇中ではかなり生命力が強いことが示唆され、劇中で彼を襲おうとした幽霊はことごとく弾き飛ばされてしまっている。別にこれがその後の展開に生かされるわけではないのだが、この曹査理にやられた面子が凄まじい顔ばかりなのである。
まず、冒頭で手違いによって召還されてしまった落ち武者の霊が出てくるが、これを演じているのは何と黄正利(ウォン・チェン・リー)!そして曹査理が踏み入った幽霊屋敷で登場する絵の幽霊を演じているのは、ショウブラの名悪役・王龍威なのだ!
彼らの登場に初見の際はかなり驚いたのだが…正直、こんなビッグネームのお二方が曹査理に吹っ飛ばされるだけの役だなんて、全然納得がいきませんでした。ちなみに黄正利と王龍威のアクションシーンは無いです…って、何のためにこの2人を出演させたんだよ!

「サイボーグコップ」
CYBORG COP
1992
●麻薬取締官であるデビッド・ブラッドリーは人質事件を解決するものの、射殺した犯人が新聞王の息子だった事からマスコミにバッシングを喰らいまくって首にされてしまう。
それから月日は流れ、同じく取締官である兄のトッド・ジェンセンが、麻薬王の精製工場壊滅の指令を受けてカリブの孤島へ飛ぶ事になった。だが、トッドら潜入部隊の作戦は頓挫し、部隊も全滅を喫してしまう。
兄を助けなかった上官(『WHO AM I?』で敵のボスを演じた人)を張り倒し、単身敵の元へと乗り込むデビッド。道中記者の女と出会いながら真相に近付いていくデビッドだったが、実は麻薬王はサイボーグの開発にも手を出しており、既にトッドもサイボーグに改造されてしまっていた…。
パッケージを見ての通り、本作は『ターミネーター』もどきのサイボーグが暴れまわる映画である。
こう書くと期待できそうな気がするが、しかし所詮はバッタもん。特殊効果はしょぼいわ、サイボーグの腕がもろハリボテだわ、動きはぎこちないわとマイナスポイントばっかり。クライマックスにおけるトッドVSルファス・スワートのサイボーグ同士の闘いも迫力が無く、そこらへんに関してはあまりいい評価ではない。
しかし、スタントやアクションはそれなりに健闘している。トッドたちが精製工場を襲撃するシーンでは景気よく大きな爆発が起きるし、格闘シーンはデビッドがいい動きで魅せてくれていた。このテンションをそのまんま一貫してくれたら一番良かったのだが、残念ながら話が進むに連れて徐々に失速していき、最後のデビッドVSルファスのバトルは腰砕けな結果に終わってしまっている。
ストーリー面でもテンションの低下は影響しており、取ってつけたように始末される上官や、トッドが目覚める場面の演出など、ショボさだけが目立つ結果になっている。特にトッドのくだりは演出次第でかなりドラマチックになりそうなシチュエーションだっただけに、あんなサラリと決着させてしまったのは頂けなかった(どうせなら兄弟対決をやった末に覚醒する…とかなら説得力があったのだが)。
ところでこの作品、精製工場のシーンで作業員の女たちが裸で作業している場面がある。これは全く同じ様な場面が『プロテクター』のUS版にも存在しているが、もしかするとこれは単なるサービスシーンではなく、本当にこうするものなのかもしれない…って、さすがにそれは無いですよね(爆