
「リアル・キックボクサー」
原題:AMERICAN KICKBOXER 2
製作:1993年
●突然現れた謎の男たちによって、キャシー・シャワーは我が子を目の前で誘拐されてしまう。多額の身代金を要求されて警察も頼れぬ中、キャシーは2人の男に望みを託した。1人は彼女の離婚した夫であるデイル・"アポロ"・クック、もう1人は彼女の元恋人で
あるエヴァン・ルーリーだ。2人とも腕っ節の方は文句なしの実力者だが、過去の確執で決して馴れ合おうとはしなかった。しかし連れ去られた娘はクックかエヴァンどちらかの子であるため、2人は協力して敵に立ち向かっていく。ところが、真の黒幕は意外なところに姿を見せ…。
『バトル・ウルフ』に続き、再びクックの主演作の登場だ。原題を見ても解るとおり『アメリカン・キックボクサー』の続編である…ようだが、キックボクサーすら出てこないのでタイトルだけの続編ということなのだろう。
作品自体はひと捻りを加え、単なる格闘映画ではないストーリーを作り上げている。が、本作は最初の30分が全く面白くない。なにしろ短気な暴力夫のクックを筆頭に、女の事しか考えていないロクデナシのエヴァン、浮気しまくりなキャシーと、登場人物が揃いも揃ってアホキャラばかりなのだ。そのため前半30分がとても見辛くて鬼門なのだが、クックとエヴァンが協力し合うところから徐々に話は盛り上がりを見せていく。
作中の格闘シーンは上質で、クックとエヴァンのファイトスタイルもきちんと差別化が図れており、受けのスタントも含めて上々の出来である。特に素晴らしい動きを見せていたのがエヴァンで、ラストではクックを差し置いて格闘シーンの見せ場を一人占めしている。彼は他にも『ダブル・インパクト』『アンダー・カバー』『タイガークロー2(未公開作)』等、幾多の格闘映画に関わってきた経歴を持つ。いっそのこと、クックじゃなくてエヴァンが主役でも良かったと思うが(苦笑)きちんと2人の対戦も用意されており、格闘シーンへの配慮も行き届いている。
ただし、ラストバトルがゴチャゴチャしていてこれといった山場が無く、前述した登場人物の不備も含めて不満は若干残る。キャシーを巡るやり取りを半分ぐらいカットし、そのぶん格闘シーンに凝っていれば更に面白くなったはず。流石に『バトル・ウルフ』並みの傑作ではないが、この手の作品では良質な部類に入るのではないだろうか。

Thunder Ninja Kids: Wonderful Mission
別題:Thunder Kids 2: Wonderful Mission
製作:1990年
●IFDお得意のニコイチニンジャ映画のひとつで、何誌強(ゴッドフリー・ホー)がチャールズ・リー名義で手がけた作品だ。無論、本作がまともな作品でない事はタイトルを見ても一目瞭然。他にも『Thunder Ninja Kids』のタイトルを冠した作品があり、シリーズのように売られていた様子が伺える。
さて、そんな本作は『Zombie vs Ninja』と同様に、韓国産の功夫片に手を加えて作られている。しかし『Zombie vs Ninja』の時は鄭真化(エルトン・チョン)が出ていたおかげで元ネタが解ったが、今回の功夫片には知っている顔がほとんどおらず、解ったのは趙春(『蛇鶴八拳』の冒頭でジャッキーにケンカを売ったハゲの人)や白黄基だけという有様。なので今回はさすがに元ネタの特定までには至りませんでした。
話のほうは毎度の如く、カンフーキッド三人組の復讐記にニンジャトリオのバトルを挟み込んだブツ切りストーリーだ。元ネタのストーリーは黄金の仏像を狙う趙春の一団&日本人の軍団に、覆面を被った少年たちが立ち向かうというもので、本作はそこに新撮部分を加えて作られている。韓国映画にも好小子が存在したという事実には驚いたが、さすがにアクションのスケールは黄一龍などには及んでおらず、無愛想なのも減点だ(苦笑
また、作中における功夫アクションもそんなに多いわけではなく、突然パッと消えたりするなどヘンな動作が多いのも特徴である。本作がニンジャ映画に流用されたのは、ここらへんのアクションがニンジャ映画のものに近く、ニンジャ映画にしても違和感が少ない事などから選ばれたのだろうと思われる(事実、オリジナル部分にもニンジャらしきキャラが登場します)。
しかし本作で注目すべきなのは、元ネタよりもむしろ新撮部分の方である。いつもはリチャード・ハリソンとかブルース・バロンなどが使いまわされる新撮部分だが、今回はなんとスチュアート・スミス、ケン・グッドマン、スティーブ・タータリアという、少し豪華な連中が顔を見せているのだ。
スチュアートはフィルマークやIFD系のスターだが、たまに『ファイナルファイト/最後の一撃』のような普通の作品にも顔を出す人。ケンは『プロジェクト・イーグル』などに出演しているゴツめの人で、スティーブは『ワンチャイ/天地黎明』でユンピョウと闘ったキックボクサーといえばすぐ解るだろう。そんな彼らのおかげなのか、新撮のアクションシーンはそれなりに激しいアクションを展開しており、いつものようなひょろいチャンバラにはなっていない。
思い起こせば『Ninja Empire』でも、マイク・アボットがニンジャの格好で頑張っていた。スティーブたちのような外人スターが成功するまでには、こういうアンダーワールドな仕事を仕方なくやっていた時期もあるんだろうな…と、どことなく感慨深げな気持ちにならずにはいられません。これで作品が面白かったら報われてるんですが、まぁIFDと何誌強じゃあねぇ(爆

武僧
英題:Ninja Vs Shaolin Guards/Guards of Shaolin
製作:1984年
●前々回、羅鋭(アレクサンダー・ルー)のニンジャ映画のマンネリ化について多々触れたが、今回はその一因になっている出演陣へ注目してみよう。
『ニンジャ・シティ』のレビューでも書いた通り、羅鋭作品はいつも似たようなキャストがヘビーローテーションで動員されている。主に功夫片の場合は龍世家(ジャック・ロン)&龍冠武(マーク・ロン)が、現代劇の場合はユージン・トーマスが必ず登場し、これに常山&唐龍や五毒の江生&鹿峰が続く。言わば彼らは羅鋭レギュラーズともいうべき存在なのだが、今回はレギュラー陣を一切排除した画期的な作品で(スタッフには羅鋭作品常連の戴徹がいるが)、加えて韓国への遠征ロケを果たしている。その特異なロケーション効果の為か、本作はいつもの羅鋭作品とは少々タッチが違っているのだ。
さてその内容だが、ハッキリ言って本作はスケールの小さい『少林寺・怒りの大地』である。韓鷹(イーグル・ハン…『少林寺・怒りの大地』における干光榮(ユー・ロングァン)の役回り)とその仲間によって少林寺が襲撃され、羅鋭ら四人の弟子(というか羅鋭たち四人しか弟子がいない・笑)は死に際の館長から秘伝書を譲り受けた。韓鷹によって羅鋭たちは館長殺しの犯人とされ、次々と放たれる刺客と戦っていくのだが…と、話の内容はこれだけ。あとは延々と刺客との戦いが続いていくだけで、ストーリー面の評価はあまり良いものではない。
本作の監督である張旗は『大武士與小[金票]客』『詠春興截拳』等の呉思遠的な作品を手がけた人だが、それらと比べると本作はかなり落ちる。とはいえ、戴徹が関わっているだけあって功夫ファイトの方は良好だ。仲間の1人に王龍(マイク・ウォン)が、刺客の1人に羅鋭作品の縁の下の力持ち・李海興(アラン・リー)が扮しており、彼らが立ち会うアクションは中々面白い。しかも今回はあの早回し効果がほとんど使用されていないので、簡素な作風と相まって(いい意味での)オードソックスささえ感じるのだ。
ところでこの作品、「なぜ突然韓国ロケ?」と思うところだが、改めて羅鋭作品を振り返ると『ニンジャ・ハンター』の王龍や『ニンジャ・シティ』の李芸敏&崔旻奎、『スーパーニンジャ』の張一道など、韓国勢との共演がいくつか見られる事に気付かされる。これら韓国系の共演者を見るに、羅鋭作品には韓国と何らかの繋がりが存在していた事が伺える。そして今回のサプライズはあの韓鷹が出演している事だろう。
ラストでは羅鋭VS韓鷹という濃厚な顔合わせによるファイトが見られるが、先述した物語面での惰弱さがどうしても鼻に付く。張旗・戴徹・羅鋭・韓鷹という布陣なら、もうちょっとマシな作品が出来そうだっただけに惜しい限りである。

「極道おとこ塾」
製作:1995年
▼主演は『極道ステーキ』の清水宏次朗!助演には松田優!…ということでレンタルしてみた作品なんですが、これはちょっと期待外れ。内容的には『極道ステーキ』のようなバリバリの格闘アクションではなく、どちらかというとありふれたヤクザVシネの1つみたいな趣の作品でした。いちおう格闘シーンもあるにはありますが、数が少ない上に精鋭さに欠けていたような気がします(アクション指導は『ウルトラマンレオ』の二家本辰巳)。
■清水は黄桜組に属するやくざ者。そして仁義を重んじる好人物なのだが、現在黄桜組は横暴な若頭が組長の不在(入院中)をいいことにやりたい放題という状況だった。贔屓にしていた映画館が取り潰され、別の組と合併しようとするなど、そのやり方は清水にとって外道以外の何物でもなかった。
そこで組長に直談判した清水は、舎弟と共に枝分かれ(所属する組から独立し、以後は系列となり独立して活動すること)を決意する。清水は自分のような意思を持つ男たちを集め、真の極道を目指す「おとこ塾」設立を目指した(ちなみに本作は某ジャンプ漫画とは何ら関係ありません・爆)。
ところが仲間集めをしていた矢先、組長が突然病院で自殺したとの一報が転がり込んできた。もちろんこれはあの若頭の仕業だ。怒りに燃える清水は若頭を討ち、しばし塀の向こうへ行く事になった(ただし若頭は一命を取り留めた)。それから一年後、復帰した清水は仲間たちを引き連れ、黄桜組との対決へ乗り出すのだが、当然これが一筋縄でいくはずが無く…。
▲原作がある以上は仕方が無のですが、劇中で繰り広げられる物語はどれも既視感漂うものばかり。特に清水の舎弟が「今度おいらに子供が生まれるんスよ!名前は兄貴のを頂戴しました!」と語り、思いっきり嫌な予感がする展開になったときは思わず苦笑してしまいました(もちろんこの後はみなさんの予想通りの話で進みます)。
それに、あれだけ個性的な仲間を揃えておきながら、結果的に活躍したのはギャンブラーの眼鏡・格闘担当の松田優だけだったのも"持て余している"感じがして、あまり面白くありません。ラストは清水が敵地に乗り込んで憎き若頭を倒しますが、その結末に何の新鮮味も感じられなかったのは惜しいと思いました(やっている事は中盤と同じだし…)。
良くも悪くも"よくある作品"としか言えない本作ですが、そんな中で清水と松田はそれなりに格闘アクションで奮闘しています。襲撃された清水の元に松田が駆けつけるシーンはかなり盛り上がるし、最後の殴りこみで清水と松田の最強コンビが肩を並べて突入していく様も実に痛快です(ここでポン刀を抜く清水と、オープンフィンガー・グローブを装着する松田がとても格好良く撮れています)。
しかし若頭を含めて黄桜組にはザコしかおらず、ラストで組は清水たちによって瞬く間に壊滅してしまいます。せめて清水たちに対抗できるような好敵手がいれば、このような拍子抜けな展開にならなかったはず。キャスト面ではゲスト出演の梅宮辰夫がなかなかいい味を出していましたが、こんなことになるのなら梅宮がラスボスでも良かったのでは?

「アレクサンダー・ルーのザ・ニンジャ・シティ」
原題:猛龍殺星("殺"は旧字)/忍者在美国
英題:Ninja In The U.S.A.
製作:1985年(87年?)
▼羅鋭(アレクサンダー・ルー)のニンジャ映画は2つの種類に大別できる。
ひとつは『ニンジャ・ハンター』のように功夫映画へニンジャをプラスアルファした作品、もうひとつは『スーパー・ニンジャ』のように現代を舞台にした現代動作片だ。前者は香港での公開も視野に入れた内容であり、後者は海外市場向けに国際的なムードを取り入れ、マンネリにならないように差別化を図っている。本作は後者に属する作品で、アメリカを舞台に外人のキャストが多く参加しており、作品としては『スーパー・ニンジャ』に近い。
だがこの2つは方向性こそ違えど、根っこの部分は全く同じだ。アクションはいつもの過剰な早回しファイトだし、出演者も羅鋭作品で見た連中ばかり。作品自体のテイストも同様で、血とおっぱいと暴力の乱れ打ちという点は一貫されている。監督は『ニンジャ・ハンター』に続いて呉國仁が担当しているが、何故か今回の英名はデニーズ・ウー名義になっている(HKMDBによるとジェームズ・ウーという英名だったはずだが…?)。
■ニューヨークで続発する黒社会の抗争事件…その影には巨大麻薬組織を率いるジョージ・ニコラス・アルバーゴ(腹心にユージン・トーマスと唐龍)と、彼の指揮するニンジャ軍団が存在した。
捜査官の常山はこの事件を追うが、彼にとってジョージはベトナム戦争時に自分たちの命を救ってくれた恩人でもある。ジョージは事件の容疑者であったが、常山は過去の恩義から彼を疑う事は出来なかった。一方、常山と共にジョージに助けられた過去を持つ羅鋭は、李芸敏と崔旻奎(!)の元で静かに暮らしていた。記者の妻と結婚して幸せの絶頂にあった羅鋭。だが、ふとした偶然で手にしたフィルムを見たことで、羅鋭はジョージが麻薬組織の首領であることを知ってしまう。
フィルムの奪還を目論む組織は崔旻奎を叩きのめして羅鋭の妻を誘拐。羅鋭はジョージの組織に全面戦争を挑むが、立場と意見の相違から友人である羅鋭と常山は対立してしまう。その後、和解した2人はジョージと組織を一網打尽にすべく、襲い来る敵と死闘を繰り広げていった。
だが、組織から妻が乱暴される様を記録したビデオが届けられ、羅鋭は単身組織へ直接殴りこみする決意を固める。羅鋭はかつて江生(すっかり老人役がお似合いになってます・涙)から受けた教えを思い出し、ニンジャへ姿を変えるとジョージのお抱えニンジャ軍団を殲滅。ユージン・トーマスら幹部も始末し、いよいよ因縁のジョージとの対決を向かえる!
▲前置きから話は続くが、羅鋭のニンジャ作品はいずれも同じタッチで作られており、ロケ地もキャストの顔ぶれも功夫アクションも、ほぼ全部の点において大差は無い。また、本作では李芸敏と崔旻奎という韓国功夫片おなじみの顔がゲスト出演している点で目を惹かれるが、アクションをひとつも披露しないので何の意味も成していない(江生は『ニンジャ・キッズ』でも共演済みだし…)。
善役として羅鋭をサポートする常山、意外とキレのいい技を見せるジョージなど、見られる部分もあるにはある。が、それらがワンパターンな作品構成の中に埋没してしまっているのは頂けない。マンネリ回避の為に様々な策を弄してはいるものの、作品として新しいものは何一つ生み出せなかった…これが羅鋭のニンジャ作品に共通する欠点の全てである。
羅鋭はニンジャ映画以降、次第にサブキャストや武術指導に徹するようになるが、果たして彼にとってニンジャ映画とはどのような世界であったのだろうか。