
「サイレント・アサシン」
原題:SILENT ASSASSINS
製作:1987年
●本作は『ショウダウン』同様に前々から見たかった作品の筆頭だった一本だが、期待通りの手ごたえを感じた『ショウダウン』とは打って変わって、本作はちょいと期待はずれだったなぁ…と思ってしまう作品でした(爆
刑事のサム・ジョーンズは凶悪犯のグスタフ・ヴィンタスを取り逃がし、そのうえ相棒までも殺されてしまった。失意の彼は警官を辞め、リンダ・ブレアと共に田舎にでも引っ越そうかと考えていたが、その矢先に再びグスタフが事件を起こしたとの報せを聞いて現場に復帰する。話によると、グスタフは忍者軍団と手を結んで科学者と居合わせた中国人の少女(親はその際に殺害された)を拉致し、何か良からぬ事を企んでいるようだ。殺された中国人の兄弟だったジュン・チョンと共に事件の捜査に乗り出したサムだが、敵は予想以上に強大であり、リンダや上司にも危害が及んだ。
ジュンはヤクザのマコ岩松に協力を頼み、彼の息子であるフィリップ・リーも一時は反発したが仲間に加わった。敵の目的が細菌兵器の開発で、アジトの場所が何とか解ったのも束の間、今度はマコまでもが殺されてしまう。ここに至りサム・ジュン・フィリップの3人は、グスタフや黒幕が潜む敵地に飛び込む!
…とまぁカッコよくストーリーを追ってみたが、実際の作品は非常にお粗末な出来だ。「ジュンやフィリップがニンジャに立ち向かう」という粗筋を聞いた時はもっと派手なものを想像したが、作中で彼らが見せる格闘シーンは後半に集中しており、内容もあまり上質とは言えない。本作でジュンとフィリップは日本刀や棍を駆使して闘っているが、正直言って持て余している感がとても強い。どうせなら得意のテコンドーキックを全面に押し出した殺陣にしていれば、見栄えも更に良くなったはずである。
時折挟まれるスプラッタな演出も邪魔以外の何物でもなく、しこりを残したままのオチも個人的には頂けなかった(ヒットしたら続編でも作る気だったのか?)。作品の方向性にもその迷走っぷりが映し出されており、ニンジャを出すなら荒唐無稽に徹すればいいのに、どっちつかずな作風のままで作品が完結しているのも×。これなら過去にレビューした『ストリート・ソルジャー』や『L.A.ストリートファイターズ』などの方がよっぽどマシだ。前二作を見た人は本作に過度な期待は禁物、とだけ言っておこう。
ところで、ニンジャの中にケン・ナガヤマやサイモン・リーがいるらしいが…どこにいたっけ?

「テロリスト・ウエポン/悪魔の最終兵器」
原題:Bloodfist VI: Ground Zero
製作:1994年
●再びドン・ザ・"ドラゴン"・ウィルソンの主演作だが、原題を見ても解るとおり本作もシリーズ物の一編である。ただし先の『キング・オブ・キックボクサー』系列が日本で勝手に続編にされたものであるのに対し、この『Bloodfist』シリーズは本家が勝手に続編にしたシリーズなのだ。
まず、第1作である『Bloodfist』(未公開作)は1989年に作られた。この作品はドンがマーシャルアーツ映画に主演した記念すべき最初の作品で、敵役にあのビリー・ブランクスが起用されている点に目を惹かれる。次いで『Bloodfist II』が1990年に第2作として作られ、こちらでは後にドンと何度か共演する事になる格闘家のハワード・ジャクソンと最初のコラボを果たしていた。ところがこの『Bloodfist』シリーズ、なんと第3作からは何の関係も無い単発作品を作り出す「名ばかりのシリーズ」になってしまうのだ。
最初の2本は繋がりのある正当なシリーズで、それ以後のタイトルが無関係な作品で…と言えば、香港映画ファンなら『カンフーキッド/好小子』系列を嫌でも思い出すだろう。『好小子』系列は主演の3人と製作会社しかシリーズの共通点が無く、この『Bloodfist』シリーズも共通点は主演のドンと製作者のロジャー・コーマンだけであるが、実に奇妙な符合だ。徐楓(シー・ファン)とロジャー・コーマンには何か通じるものがあったのだろうか?(笑
とまぁ徐楓の事はともかく、これ以降の『Bloodfist』シリーズは実にバラエティに富んだシリーズ構成を見せていく。第3作は1991年製作の『オーバーヒート・プリズン(Bloodfist III: Forced to Fight)』で、こちらは監獄モノの要素を取り入れた意欲作。翌年作られた第4作の『ドラゴンチェイサー(Bloodfist IV: Die Trying)』ではゲイリー・ダニエルズと共演し、第5作の『ヒューマン・ターゲット(Bloodfist V: Human Target)』はチャイニーズマフィアとの死闘が展開される。
その後も第7作『Bloodfist VII: Manhunt』、第8作『Bloodfist VIII: Trained to Kill』までシリーズは続いた(余談だが、かのマット・マリンズ主演『ストリート・ファイター2050』には『Bloodfist IX』という副題が存在する)。
本作は第6作にあたり、軍事基地を舞台にした『ダイ・ハード』タイプの作品である。イスラム原理主義を唱えるテロリストグループにより、核ミサイル基地が占領された。そこにたまたまやって来たドン軍曹(元特殊部隊隊員の経歴アリ)がこの事件に巻き込まれ、頼りにならない特殊部隊を尻目にテロリストたちを叩きのめす…というのが本作のストーリーだ。
物語はお決まりの展開に添って進むオーソドックスなものだが、現場を混乱させるヒロインもいないし演出のテンポも悪くなく、格闘アクションもそれなりに頑張っており(ファイト・コーディネーターはおなじみアート・カマチョ)、休日の昼過ぎに見るには最適な作品と言える。
この作品で注目すべきは、あのビリー・ブランクスの弟であるマイケル・ブランクスがテロリストのメンバーとして出演している点で、中盤にはドンとタイマン勝負を繰り広げている。マイケルがどれだけの戦歴を残しているかはよく解らないが、ドンはこれでビリーとマイケルの筋肉兄弟と対戦したことになるので、これもまたレア対戦のひとつとして数えられていいだろう。
残念なのは、これだけ素晴らしい動きをしているマイケルが最後の敵ではない事で、加えてラスボスが弱かったのもマイナスポイント。もしマイケルがボスの腹心で最後に戦う相手だったら…もっと本作の評価は上がっていたかもしれない。…ところで、ここまでくるとやはり『Bloodfist』シリーズも全部制覇しなくちゃいけないでしょうか?いやもうこればっかりは勘弁したいところですが…やっぱりやらなくちゃダメ?(爆

「キング・オブ・キックボクサー3」
原題:OUT FOR BLOOD
製作:1993年
▼昨年『キックボクサー』シリーズを制覇した私だが、似たようなもう1つのシリーズ制覇については消極的である。それが『キング・オブ・キックボクサー』シリーズだ。
『キング・オブ・キックボクサー』シリーズとは呉思遠が製作した『キング・オブ・キックボクサー』から始まった一連の作品群の事を指す。しかし『キング・オブ・キックボクサー』以後のシリーズに関連性は無く、ここが(一応は)繋がった話として成り立っていた『キックボクサー』シリーズと一線を画しているポイントである。まぁこれは考えると当然の話で、そもそもこの『キング・オブ・キックボクサー』シリーズは日本で勝手に作られたタイトル群なのだ。
このシリーズは『キング・オブ・キックボクサー』以下、『同2』『同3』『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』、そして第3弾扱いになっている『リング・オブ・ファイア』も合わせると、計5本の作品が存在する。そのうち3本がドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソンの主演作なのだが、呉思遠が関わった『キング・オブ・キックボクサー』と『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』意外は例によってアレな作品が多い。そんな訳で本作もドンの主演作にありがちな「格闘アクションは多いのにまったり風味の作風でお茶が濁されているタイプ」の作品だ。
■1年前のある事件で妻子と記憶の一部を失ったドンは、昼は敏腕弁護士として働き、夜は麻薬密売人や悪人を襲うという行為を繰り返していた。戦いの中で記憶を取り戻しつつあるドンだが、麻薬流通を取り仕切るトッド・カーティスは目障りな彼を倒そうと動き出す。そんな時、ドンはヒロインのシャリ・シャタックや芸術家のアキ・アレオンと親しくなるのだが、シャリに横恋慕する資産家ロバート・ミアノの横槍が激しくなり、更にドンの裏の顔にシャリが気付いてしまう。
板ばさみな関係の中でトッドのいる麻薬密造工場へ踏み込むドン。だが、その際に足がつく証拠を残したため警察の追及も迫りつつあった。しかも悪い事は重なるもので、シャリがトッドたちに誘拐されてしまう。飛行場でまみえた両者は素手の勝負に持ち込まれ、ここに至りドンはトッドたちこそが妻子を殺した犯人であると気付く。ところがそこに思いもよらぬ黒幕が姿を現し、事件は大詰めを迎えるのだった。
▲この作品は、以前から香港映画『検事Mr.ハー/俺が法律だ』との類似点が指摘されている。主役が裏の顔を持つ弁護士で、クライマックスにセスナを使ったスタントシーンがあることなど、言われてみれば確かによく似ている。相違点は主人公の行動動機とバッドエンドではない事ぐらいで、製作年度も本作の方が後発だし…やっぱしパクったのかPMエンターティメント?
さて作品の方の評価だが、これがまたなんとも中途半端。イヤミなおっさん刑事の正体やドンの閉ざされた記憶など、どんでん返しにインパクトがないので非常に味気ない。格闘シーンも同様で、あやふやな心理状態のドンが殺戮を繰り返す様は見ていて気持ちのいいものではないし、大義を持たぬ主人公の姿には何の爽快感も得られないのも問題で…というか、キックボクサーというタイトルを冠しているのにキックボクサー系の作品ですらないという方がよっぽど問題だろう。もし『キング・オブ・キックボクサー』を見た人が続編だと思って本作を見たら、その落差に唖然とするに違いない。これなら『シューティング・サンダー』とかをキックボクサーなんちゃらとして売り出したほうが、よっぽどマシだったはずだ。
ということで本作はタイトル詐欺も甚だしい普通のマーシャルアーツ映画なので、キックボクサー目当ての方はご注意下さい。しかしこれで『キング・オブ・キックボクサー』シリーズの未見作は『2』だけ。ドンは好きじゃないけどゲイリー・ダニエルズが出てるなら見てもいいかなぁ……?

「ショウダウン」
原題:SHOWDOWN
製作:1993年
●田舎から引っ越してきたケン・スコットは新しいハイスクールに入学するが、そこは荒んだ不良の巣窟だった。とりあえず同級生のジョン・マロリー・アッシャーにあれこれ話を聞くが、「女子のクリスティーン・テイラーにだけは近寄るな」と忠告を受けた。
クリスティーンは清楚な娘なのだが、彼女のボーイフレンドであるケン・マクラウドという男がとんでもなく凶暴な奴だという。しかしケンはうっかり彼女と接触してしまい、マクラウドに目を付けられてしまった。
この男はパトリック・キルパトリックが主催する拳法道場のエースであり、パトリックが王者に君臨する格闘賭博でも活動している。当然ケンが敵うような相手ではなかったが、そんな彼の窮地を救ったのは元警官の用務員・ビリー・ブランクスであった。
クリスティーンの為にも強くなりたいと願うケンの思いに答え、ビリーは彼に格闘技を教え込む。次第に腕を上げていくケンだが、一方で彼を自陣に引きこまんとするパトリック側も動き出していた。
格闘賭博の存在を知ったビリーは、青少年たちを食い物にしようとする連中に憤慨し、かつての同僚と協力して賭博の摘発に乗り出す。が、逆に敵の怒りを買って刺客(うち1人がジェームス・リュー)を差し向けられてしまい…。
そのころ、ケンはマクラウドと最後の対決を迎えつつあった。闘わないでと懇願するクリスティーンに、ケンは「これは僕自身の戦いだ」と言うとビリー不在のまま試合へ挑む。果たしてケンは憎きマクラウドを破り、平穏を取り戻す事が出来るのだろうか?
“黒い楊斯(ヤン・スェ)”ことビリー・ブランクスが、イブシ銀の魅力で見せる注目の作品です。作品としては『ベスト・キッド』系のスポ根アクションではあるものの、話もアクションも抜かり無しの傑作で、『キング・オブ・キックボクサー』に並ぶビリーの代表作といっても過言ではありません。
本作におけるビリーは主人公を導く存在で、ケンの師匠として頼もしい姿を見せています。私はビリーとの初接触が『キング・オブ・キックボクサー』だったせいか、今まで正義の味方として活躍するビリーになんとなく違和感を抱いていました。
ところが本作でのビリーはとても格好良く、むしろ彼は主演よりもこういうサブキャストでの方が光るのでは?…と、本作を見て思った次第です(『キング・オブ~』を剛のビリーとするならば、本作は柔のビリーといったところでしょうか)。
さて、本作でもビリーは豪快な格闘シーンを見せ、ジェームスとのバトルなどで美味しい活躍ぶりを発揮。もちろん主演のケン・スコットらも負けておらず、鋭い蹴りを繰り出してアクシーンを大いに盛り上げています(スタントコーディネーターを担当したのはジェフ・イマダ)。
愛する者や守るべき者の為に闘い、勝利を手にする主人公の姿に心打たれる快作。ビデオソフトが消え行く中、本作も入手にはかなり苦労させられましたが(苦笑)、探すだけの価値はある逸品です。マーシャルアーツ映画ファンなら必見の作品といえるでしょう。

「アンダー・カバー」
原題:Martial Law II: Undercover/Karate Cop
製作:1991年
▼というわけで、今回から当ブログ2周年を記念してマーシャルアーツ映画特集の第2弾を開催していきたいと思います。この作品は久々の紹介となるジェフ・ウィンコット主演作で、『ハード・リベンジ』の続編にあたる作品だという事はご存知の通り。今回もカード・アンダーソンが監督を務め、前作から引き続き登場しているシンシア・ラスロックらが充実したサポートぶりを見せている。
■ジェフとシンシアは武闘派警官。今日も銃の取引現場を押さえて手柄を立て、その功績でジェフは刑事に昇格し、別の署で武術指導教官の任に当たることとなった…が、転任早々に旧友だった警官が不審な死を遂げてしまう。ジェフはこの事故に不信感を抱き、死の真相を探ろうと単独で捜査に乗り出した。残された遺留品からシンタックスというクラブが怪しいと睨んだジェフは、休暇中のシンシアに協力を仰いでクラブへの潜入捜査を依頼。ジェフ自身は旧友がある事件を追っていた事を知り、青年実業家のポール・ヨハンソンが裏で糸を引いている事に気付く。
どうやらポールはエヴァン・ルーリーやレオ・リーら用心棒を従え、近々摘発される予定の麻薬を奪う漁夫の利作戦を企んでいるようだ。しかし、この件を嗅ぎまわっているジェフの存在が目障りなポールは、なんとかジェフを潰そうと暗躍を続けていた(ただし全て失敗に終わっていたのだが)。そして遂に麻薬組織摘発の日…警察が押収した麻薬を内通者の悪徳刑事が輸送し、それを強奪せんとポールたちが動き出す。事ここに至り、潜入しているジェフとシンシアも立ち上がって最後の決戦が始まった!
▲若干ストーリーが間延び気味で、ポールの企む悪事もいまいち不明瞭。ラストもあんまり気持ちの良いものではないが、全体的な出来は中々の作品だ。武術指導はお馴染みのジェフ・プルートと坂本浩一コンビで、いつもの痛いスタントシーンは控えめだが、格闘シーンについては一切の妥協が無く、相変わらずの高品質なファイトに仕上がっている。
ジェフがレオ・リーとカリスティックを用いて闘うシーンは中盤のクライマックスで、ラストの決戦も連戦に次ぐ連戦は見応え十分。その連戦でジェフは3人の敵に挑むのだが、この対戦相手の顔ぶれもまた凄い。まず最初に立ちはだかるのはジェフ・プルート!実は対戦する3人の中で一番いい動きをしているのだが(笑)、何気にジェフとプルートの一騎打ちは本作が初だったりする。続いて対戦するのは『リアル・キックボクサー』のエヴァン・ルーリーで、本作ではポールの用心棒として幾度も格闘アクションを披露し、ここでも濃厚なアクションを展開している。惜しむらくはこの対戦がアッサリ目で、最後のVSポール戦が前のエヴァンやプルートと比較すると、少々物足りない点であろうか。
ちなみにラストにおけるシンシアの見せ場は少なく、こちらもアッサリ目の活躍で終わってしまったのは実に残念だ。前作『ハード・リベンジ』でのシンシアはラストバトルでフィリップタンと一騎打ちを展開し、完全に主演のチャド・マックィーンを喰うファイトを見せていた。ところが本作でのシンシアの見せ場は前作とは打って変わって激減。敵のパツキンねーちゃんと闘うのかと思いきや、そのパツキンねーちゃんはあっという間に倒されてしまうし、その後は延々とザコと闘うことに終始している。
このザコの中には坂本浩一やジェームス・リューなどが参加しているが、どうせなら彼らを中ボスにしてシンシアにぶつけていれば、もっとダイナミックなバトルが見られたんじゃないかなぁ…。とはいえ、格闘アクションそのものは申し分無いので、そっち目当てなら大いに楽しめる事だろう。