格闘映画総特集(4)『テロリスト・ウエポン/悪魔の最終兵器』 | 続・功夫電影専科

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「テロリスト・ウエポン/悪魔の最終兵器」
原題:Bloodfist VI: Ground Zero
製作:1994年

●再びドン・ザ・"ドラゴン"・ウィルソンの主演作だが、原題を見ても解るとおり本作もシリーズ物の一編である。ただし先の『キング・オブ・キックボクサー』系列が日本で勝手に続編にされたものであるのに対し、この『Bloodfist』シリーズは本家が勝手に続編にしたシリーズなのだ。
 まず、第1作である『Bloodfist』(未公開作)は1989年に作られた。この作品はドンがマーシャルアーツ映画に主演した記念すべき最初の作品で、敵役にあのビリー・ブランクスが起用されている点に目を惹かれる。次いで『Bloodfist II』が1990年に第2作として作られ、こちらでは後にドンと何度か共演する事になる格闘家のハワード・ジャクソンと最初のコラボを果たしていた。ところがこの『Bloodfist』シリーズ、なんと第3作からは何の関係も無い単発作品を作り出す「名ばかりのシリーズ」になってしまうのだ。
最初の2本は繋がりのある正当なシリーズで、それ以後のタイトルが無関係な作品で…と言えば、香港映画ファンなら『カンフーキッド/好小子』系列を嫌でも思い出すだろう。『好小子』系列は主演の3人と製作会社しかシリーズの共通点が無く、この『Bloodfist』シリーズも共通点は主演のドンと製作者のロジャー・コーマンだけであるが、実に奇妙な符合だ。徐楓(シー・ファン)とロジャー・コーマンには何か通じるものがあったのだろうか?(笑
 とまぁ徐楓の事はともかく、これ以降の『Bloodfist』シリーズは実にバラエティに富んだシリーズ構成を見せていく。第3作は1991年製作の『オーバーヒート・プリズン(Bloodfist III: Forced to Fight)』で、こちらは監獄モノの要素を取り入れた意欲作。翌年作られた第4作の『ドラゴンチェイサー(Bloodfist IV: Die Trying)』ではゲイリー・ダニエルズと共演し、第5作の『ヒューマン・ターゲット(Bloodfist V: Human Target)』はチャイニーズマフィアとの死闘が展開される。
その後も第7作『Bloodfist VII: Manhunt』、第8作『Bloodfist VIII: Trained to Kill』までシリーズは続いた(余談だが、かのマット・マリンズ主演『ストリート・ファイター2050』には『Bloodfist IX』という副題が存在する)。

 本作は第6作にあたり、軍事基地を舞台にした『ダイ・ハード』タイプの作品である。イスラム原理主義を唱えるテロリストグループにより、核ミサイル基地が占領された。そこにたまたまやって来たドン軍曹(元特殊部隊隊員の経歴アリ)がこの事件に巻き込まれ、頼りにならない特殊部隊を尻目にテロリストたちを叩きのめす…というのが本作のストーリーだ。
物語はお決まりの展開に添って進むオーソドックスなものだが、現場を混乱させるヒロインもいないし演出のテンポも悪くなく、格闘アクションもそれなりに頑張っており(ファイト・コーディネーターはおなじみアート・カマチョ)、休日の昼過ぎに見るには最適な作品と言える。
 この作品で注目すべきは、あのビリー・ブランクスの弟であるマイケル・ブランクスがテロリストのメンバーとして出演している点で、中盤にはドンとタイマン勝負を繰り広げている。マイケルがどれだけの戦歴を残しているかはよく解らないが、ドンはこれでビリーとマイケルの筋肉兄弟と対戦したことになるので、これもまたレア対戦のひとつとして数えられていいだろう。
残念なのは、これだけ素晴らしい動きをしているマイケルが最後の敵ではない事で、加えてラスボスが弱かったのもマイナスポイント。もしマイケルがボスの腹心で最後に戦う相手だったら…もっと本作の評価は上がっていたかもしれない。…ところで、ここまでくるとやはり『Bloodfist』シリーズも全部制覇しなくちゃいけないでしょうか?いやもうこればっかりは勘弁したいところですが…やっぱりやらなくちゃダメ?(爆