格闘映画総特集(3)『キング・オブ・キックボクサー3』 | 続・功夫電影専科

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「キング・オブ・キックボクサー3」
原題:OUT FOR BLOOD
製作:1993年

▼昨年『キックボクサー』シリーズを制覇した私だが、似たようなもう1つのシリーズ制覇については消極的である。それが『キング・オブ・キックボクサー』シリーズだ。
『キング・オブ・キックボクサー』シリーズとは呉思遠が製作した『キング・オブ・キックボクサー』から始まった一連の作品群の事を指す。しかし『キング・オブ・キックボクサー』以後のシリーズに関連性は無く、ここが(一応は)繋がった話として成り立っていた『キックボクサー』シリーズと一線を画しているポイントである。まぁこれは考えると当然の話で、そもそもこの『キング・オブ・キックボクサー』シリーズは日本で勝手に作られたタイトル群なのだ。
このシリーズは『キング・オブ・キックボクサー』以下、『同2』『同3』『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』、そして第3弾扱いになっている『リング・オブ・ファイア』も合わせると、計5本の作品が存在する。そのうち3本がドン・"ザ・ドラゴン"・ウィルソンの主演作なのだが、呉思遠が関わった『キング・オブ・キックボクサー』と『キング・オブ・キックボクサー/ファイナル』意外は例によってアレな作品が多い。そんな訳で本作もドンの主演作にありがちな「格闘アクションは多いのにまったり風味の作風でお茶が濁されているタイプ」の作品だ。

■1年前のある事件で妻子と記憶の一部を失ったドンは、昼は敏腕弁護士として働き、夜は麻薬密売人や悪人を襲うという行為を繰り返していた。戦いの中で記憶を取り戻しつつあるドンだが、麻薬流通を取り仕切るトッド・カーティスは目障りな彼を倒そうと動き出す。そんな時、ドンはヒロインのシャリ・シャタックや芸術家のアキ・アレオンと親しくなるのだが、シャリに横恋慕する資産家ロバート・ミアノの横槍が激しくなり、更にドンの裏の顔にシャリが気付いてしまう。
板ばさみな関係の中でトッドのいる麻薬密造工場へ踏み込むドン。だが、その際に足がつく証拠を残したため警察の追及も迫りつつあった。しかも悪い事は重なるもので、シャリがトッドたちに誘拐されてしまう。飛行場でまみえた両者は素手の勝負に持ち込まれ、ここに至りドンはトッドたちこそが妻子を殺した犯人であると気付く。ところがそこに思いもよらぬ黒幕が姿を現し、事件は大詰めを迎えるのだった。

▲この作品は、以前から香港映画『検事Mr.ハー/俺が法律だ』との類似点が指摘されている。主役が裏の顔を持つ弁護士で、クライマックスにセスナを使ったスタントシーンがあることなど、言われてみれば確かによく似ている。相違点は主人公の行動動機とバッドエンドではない事ぐらいで、製作年度も本作の方が後発だし…やっぱしパクったのかPMエンターティメント?
さて作品の方の評価だが、これがまたなんとも中途半端。イヤミなおっさん刑事の正体やドンの閉ざされた記憶など、どんでん返しにインパクトがないので非常に味気ない。格闘シーンも同様で、あやふやな心理状態のドンが殺戮を繰り返す様は見ていて気持ちのいいものではないし、大義を持たぬ主人公の姿には何の爽快感も得られないのも問題で…というか、キックボクサーというタイトルを冠しているのにキックボクサー系の作品ですらないという方がよっぽど問題だろう。もし『キング・オブ・キックボクサー』を見た人が続編だと思って本作を見たら、その落差に唖然とするに違いない。これなら『シューティング・サンダー』とかをキックボクサーなんちゃらとして売り出したほうが、よっぽどマシだったはずだ。
ということで本作はタイトル詐欺も甚だしい普通のマーシャルアーツ映画なので、キックボクサー目当ての方はご注意下さい。しかしこれで『キング・オブ・キックボクサー』シリーズの未見作は『2』だけ。ドンは好きじゃないけどゲイリー・ダニエルズが出てるなら見てもいいかなぁ……?